居住用マンションの家賃は、原則として消費税が非課税です。
では、マンションと一緒に駐車場を貸している場合はどうでしょうか。
例えば、駐車場を利用する入居者について、駐車場代を別に請求せず、駐車場利用料込みで月額12万円という家賃を設定しているケースがあります。
家賃と駐車場代をまとめて請求しているのだから、12万円すべてが住宅家賃として非課税になるようにも思えます。
しかし、消費税では単に請求書を1つにまとめれば全額が非課税になるわけではありません。
住宅の貸付けは非課税になる
消費税では、住宅の貸付けは原則として非課税とされています。
例えば、マンションの居住部分について月額10万円の家賃を受け取っているのであれば、その10万円について原則として消費税はかかりません。
一方、土地や施設を駐車場として貸す取引については、住宅の貸付けとは性格が異なります。
そのため、駐車場の貸付けは原則として消費税の課税対象になります。
問題になるのは、住宅と駐車場をセットにして貸しているケースです。
駐車場まで非課税になる場合がある
集合住宅に付随する駐車場だからといって、必ず課税されるわけではありません。
一定の条件を満たしていれば、駐車場部分を含めて住宅の貸付けとして非課税になる場合があります。
例えば、マンションのすべての入居者について1戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されているとします。
さらに、自動車を所有しているかどうかにかかわらず駐車スペースが割り当てられ、住宅家賃とは別に駐車場使用料を徴収していない場合です。
このようなケースでは、駐車場が住宅の貸付けに付随するものとして扱われ、全体を非課税とすることができます。
入居者が駐車場を選べると取扱いが変わる
注意したいのが、入居者が駐車場を利用するかどうか選択できるケースです。
例えば、駐車場を利用しない入居者の家賃が月額10万円、駐車場を利用する入居者については駐車場込みで月額12万円だとします。
この場合、駐車場を利用することによって支払額が2万円増えています。
形式上は駐車場込みの家賃として12万円を請求していたとしても、実質的には2万円が駐車場を利用するための対価だと考えることができます。
そのため、住宅部分の10万円は非課税でも、駐車場使用料相当額の2万円については消費税の課税対象になります。
家賃込みという名称だけでは決まらない
ここで重要なのは、契約書や請求書にどのような名称を書いているかだけで消費税の取扱いが決まるわけではないことです。
駐車場代込み家賃と記載したとしても、入居者が駐車場を利用するかどうか選択でき、利用者だけが高い家賃を負担する仕組みであれば、駐車場部分を区分して考える必要があります。
反対に、すべての入居者に駐車スペースが割り当てられ、自動車を持っているかどうかに関係なく同じ住宅家賃を支払う仕組みであれば、住宅の貸付けに含めて非課税となる可能性があります。
消費税では、請求方法よりも取引の実態が重要です。
駐車場代を別に徴収すれば原則として課税される
さらに分かりやすいのが、住宅家賃とは別に駐車場使用料を徴収しているケースです。
例えば、住宅家賃10万円、駐車場使用料2万円として契約している場合です。
この場合、住宅家賃10万円については原則として非課税ですが、駐車場使用料2万円については原則として課税対象になります。
同じ入居者から受け取るお金でも、住宅を貸した対価なのか、駐車場を貸した対価なのかによって消費税の取扱いが分かれます。
賃貸物件の収入を一括処理しない
不動産賃貸業では、1つの物件からさまざまな収入が発生することがあります。
住宅家賃だけでなく、駐車場使用料やその他の施設利用料などが含まれる場合があります。
これらをすべて住宅賃貸収入として一括処理すると、本来課税売上げとして処理すべきものまで非課税としてしまう可能性があります。
特に駐車場については、入居者が利用を選択できるのか、使用料を別途徴収しているのか、各戸に駐車スペースが確保されているのかといった契約条件を確認することが大切です。
課税売上割合にも影響する
住宅家賃と駐車場使用料の区分は、単に受け取った消費税を計算するだけの問題ではありません。
住宅家賃は非課税売上げとなる一方、課税される駐車場使用料は課税売上げになります。
そのため、課税売上割合の計算にも影響する可能性があります。
不動産賃貸業では課税売上げと非課税売上げが混在しやすいため、それぞれの収入を正しく区分して管理することが重要になります。
結論
居住用マンションの住宅家賃は原則として消費税が非課税ですが、駐車場については必ずしも同じ取扱いにはなりません。
すべての入居者について1戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保され、自動車の保有にかかわらず割り当てられ、駐車場使用料を別途受け取っていない場合には、駐車場部分を含めて住宅の貸付けとして非課税となることがあります。
一方、入居者が駐車場を利用するかどうか選択できる場合や、駐車場使用料を別途徴収している場合には、駐車場使用料相当部分は原則として課税対象になります。
家賃込みという名称だけで判断せず、入居者が駐車場を選択できるのか、駐車場を利用することで支払額が変わるのかという取引の実態を見ることが重要です。
参考
税のしるべ 2026年9月7日 令和8年・役に立つ消費税実務問答集