マンションの地盤はどう調べるのか 築古物件の耐震性を建物だけで判断できない理由編

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築古マンションを購入するとき、耐震性を確認するために建築された年代や耐震基準、建物の構造などを見る人は多いでしょう。

特に1981年の新耐震基準が一つの目安として知られています。

しかし、地震に対する住宅の安全性を考える場合、建物だけを見れば十分というわけではありません。

その建物がどのような土地の上に建っているかも重要です。

同じような構造のマンションでも、地盤の状態によって地震時の揺れ方や液状化などのリスクは異なります。

しかも、室内設備や間取りはリノベーションによって変えることができますが、マンションが建っている土地を購入後に変えることはできません。

築古マンションを選ぶときには、建物の耐震性と地盤を一体として考えることが重要です。

地盤の固さとは何か

建物は地面の上に建っています。

その地面の下には、土や砂、粘土、岩盤などさまざまな地層があります。

一般に地盤が固く、建物を十分に支えることができれば、建物の荷重を安定して地中へ伝えることができます。

一方、軟らかい地盤では建物を直接支えることが難しい場合があります。

その場合には、杭などを使って建物の重さをより深い場所にある支持層へ伝える方法が採用されることがあります。

したがって、軟弱な地盤に建っているというだけで、直ちにそのマンションが危険という意味ではありません。

重要なのは、その土地の地盤条件に合わせて建物の基礎が適切に設計されているかです。

地盤によって地震の揺れ方が変わります

地震が起きると、地下の岩盤などから地震波が伝わり、地表や建物を揺らします。

このとき、地盤の性質によって地表での揺れ方が変わることがあります。

一般に軟らかい地盤では、地震の揺れが増幅される場合があります。

一方、比較的固い地盤では揺れの増幅が小さくなる場合があります。

つまり、同じ地域で同じ規模の地震が発生しても、地盤条件によって建物が受ける揺れは一様ではありません。

中古マンションの耐震性を考えるときに、建物の耐震基準だけでなく地盤も確認した方がよい理由の一つです。

液状化とは何か

地盤について特に知られている地震リスクの一つが液状化です。

液状化とは、地下水位が高く、砂を多く含む地盤などが強い地震動を受けたときに、地盤が一時的に液体のような状態になる現象です。

地震によって地中の砂粒の結び付きが弱まり、地下水の圧力が高まることで発生します。

地表に水や砂が噴き出したり、地盤が沈下したりすることがあります。

道路や上下水道などのインフラに被害が生じることもあります。

マンションの場合、適切な杭基礎などによって建物本体への影響が抑えられていても、周辺の地盤や道路、配管などに被害が発生する可能性があります。

液状化は建物だけを見ていても分からないリスクなのです。

埋立地だけが液状化するわけではありません

液状化というと、海岸部の埋立地をイメージする人が多いかもしれません。

確かに埋立地などでは注意が必要な地域があります。

しかし、液状化の可能性がある場所は埋立地だけとは限りません。

昔の河川や池、沼、水田などだった場所が造成され、現在は住宅地になっていることもあります。

現在の街並みだけを見ても、その土地が昔どのような場所だったのか分からない場合があります。

そのため、現在の地図だけでなく、地形や過去の土地利用などについて調べることも地盤を理解する手掛かりになります。

地盤情報は公開データから調べられます

マンション購入者が地下の地盤を自分で掘って調査することはできません。

そこで利用したいのが公開されている地盤情報です。

国や自治体、関係機関などが、地質や地盤に関するさまざまな情報を公開しています。

記事で紹介された国土地盤情報センターの情報などから、周辺の地盤について調べることもできます。

ボーリング調査のデータが公開されていれば、地下のどの深さにどのような地層があるのかを知る手掛かりになります。

ただし、近隣地点のデータが、そのマンション敷地の地盤状態と完全に同じとは限りません。

公開データは物件の地盤を理解するための材料の一つとして利用することが重要です。

ハザードマップも確認します

中古マンションを購入するときには、自治体などが公開しているハザードマップも確認したいところです。

ハザードマップでは、洪水や高潮、土砂災害など、地域によって想定される災害リスクを確認できます。

液状化について予測図などを公開している自治体もあります。

マンションは鉄筋コンクリート造で高層階に住むから水害とは関係ない、と考えるのは適切ではありません。

住戸そのものが浸水しなくても、エントランス、電気設備、機械式駐車場などが被害を受ける可能性があります。

停電や断水によってエレベーターが使えなくなることも考えられます。

建物の強さだけでなく、災害後もそこで生活を続けられるかという視点が必要です。

マンションの基礎も重要です

地盤が軟らかい場合でも、建物が適切な基礎によって支えられていれば、建物を安定させることができます。

マンションでは、地盤の条件などに応じて直接基礎や杭基礎などが採用されます。

杭基礎では、地中深くまで杭を設け、建物の荷重を支持力のある地盤などへ伝えます。

そのため、地盤が軟らかいという情報だけを見て、そのマンションは危険だと判断することはできません。

どのような地盤に、どのような基礎で建てられているのかを組み合わせて考える必要があります。

専門的な内容になるため、必要であれば建築士などの専門家に確認することも選択肢になります。

建物の構造と地盤を一緒に見ます

築古マンションの耐震性を考えるときには、複数の要素を組み合わせて見ることが重要です。

旧耐震基準か新耐震基準か。

壁式構造かラーメン構造か。

一階にピロティがあるか。

耐震診断や耐震改修を行っているか。

どのような地盤の上に建っているか。

どのような基礎が採用されているか。

こうした情報を総合して判断します。

一つの条件だけを取り上げて、安全か危険かを決めることはできません。

築古マンションほど、建物と土地の両方を見る視点が重要になります。

地盤はリノベーションでは変えられません

築古マンションのリノベーションでは、住戸内部のさまざまな問題を改善できます。

古いキッチンや浴室は交換できます。

壁紙や床も新しくできます。

間取りも建物の構造上可能な範囲で変更できます。

断熱性能についても内窓などによって改善できる場合があります。

しかし、マンションが建っている地盤を区分所有者が変えることはできません。

その意味では、地盤は購入後に変えられない条件の代表例です。

リノベーション前提で築古マンションを選ぶ場合ほど、自分で変えられる室内より、後から変えられない立地や地盤を購入前に重視するという考え方が重要になります。

周辺環境も合わせて確認します

地震や災害への備えを考える場合には、マンション敷地だけでなく周辺環境にも目を向けます。

大きな地震が発生すれば、建物が無事でも道路や鉄道、上下水道などが被害を受ける可能性があります。

避難場所までの経路、周辺道路の状況なども確認しておくとよいでしょう。

築古マンションは駅に近いなど、現在では新たにマンションを建てにくい好立地に存在することがあります。

立地の利便性は大きな魅力ですが、その土地が持つ災害リスクも同時に確認する必要があります。

便利な立地と災害リスクを両方理解したうえで判断することが重要です。

購入前に専門家へ確認する方法もあります

公開されている地盤情報やハザードマップは、一般の購入者でも確認できます。

一方、建物の基礎や構造と地盤との関係を詳しく評価するには専門的な知識が必要です。

特に築年数が古く、旧耐震基準で、建物の形状などにも気になる点がある場合には、建築士などの専門家へ相談する方法があります。

中古マンションは大きな買い物です。

購入後に変更できない条件ほど、契約前に時間をかけて確認する意味があります。

室内の設備を見る内覧だけで終わらせず、建物全体とその建物が立っている土地まで確認することが重要です。

結論

築古マンションの耐震性は、建物だけを見て判断できるものではありません。

マンションが建っている地盤の状態によって、地震時の揺れ方や液状化などのリスクが異なるからです。

地盤については、国や自治体、関係機関などが公開している地盤情報やハザードマップなどから調べることができます。

ただし、地盤が軟らかいから危険、固いから絶対に安全という単純な判断もできません。

建物がどのような基礎で支えられているのか、どのような耐震基準や構造で建てられているのかなどを組み合わせて考える必要があります。

築古マンションでは、室内の設備や内装は購入後に変えることができます。

一方、建物の基本構造や立地、地盤は一人の区分所有者では変えることができません。

だからこそ購入前には、リノベーションで変えられる部分よりも、後から変えることのできない地盤や建物の安全性を確認することが重要です。

参考

日本経済新聞 2026年8月18日 夕刊 築古物件 リノベ不可の盲点

日本経済新聞 2026年8月18日 夕刊 耐震性、地盤の固さも重要

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