ベビーシッター代は税制優遇されるのか 家事育児サービスへの新しい税制措置編

税理士
水色 シンプル イラスト ビジネス 解説 はてなブログアイキャッチのコピー - 1

子育てをしながら働く家庭にとって、家事や育児にかかる時間をどのように確保するかは大きな問題です。

保育所だけでは対応できない時間帯に子どもを預けたい場合や、仕事と家事を両立するために外部サービスを利用したい場合もあります。

しかし、ベビーシッターや家事支援サービスを継続的に利用すれば、それなりの費用がかかります。

令和9年度税制改正要望では、経済産業省が家事支援サービスやベビーシッターなどの利用に要する費用について、税制上の措置を求めています。

では、どのような制度になるのでしょうか。

家事育児サービスへの税制措置とは何か

今回の税制改正要望で注目されるのが、個人が利用する家事支援サービスやベビーシッターなどの費用に対する税制上の措置です。

家事や育児は、これまで家庭内で行うことを前提として考えられることが多かった分野です。

ところが、共働き世帯が増え、仕事と子育てを両立する必要性が高まれば、家事や育児の一部を外部サービスに任せる家庭も出てきます。

そこで、その費用負担を税制によって軽減できないかという考え方が出てきています。

ベビーシッター代がすぐに安くなるわけではない

ここで注意したいのは、税制改正要望が出たからといって、ベビーシッター代について新しい税制優遇がすでに始まったわけではないことです。

現段階では要望です。

どのような費用を対象とするのか。

所得から一定額を差し引く所得控除にするのか。

算出した税額から一定額を差し引く税額控除にするのか。

対象となる所得に上限を設けるのか。

年間の利用額に限度を設けるのか。

こうした具体的な制度設計は、今後の税制改正議論を見る必要があります。

したがって、現時点でベビーシッター代がいくら節税になると計算することはできません。

所得控除と税額控除では効果が違う

仮に税制優遇を設ける場合、その方法によって家計への効果は大きく変わります。

代表的なのが所得控除と税額控除です。

所得控除は、税率を掛ける前の所得から一定額を差し引く方法です。

税率が高い人ほど減税額が大きくなりやすいという特徴があります。

これに対して税額控除は、計算された所得税額などから一定額を直接差し引く方法です。

どちらの仕組みを採用するかによって、同じサービス利用額でも支援効果は変わります。

制度が具体化した場合には、対象費用だけではなく、どのような方法で税負担を軽減するのかを見る必要があります。

なぜ税制で家事育児を支援するのか

この議論は、単なる子育て世帯への減税として見るだけでは十分ではありません。

背景には働き方の問題があります。

子どもの送迎や食事の準備、掃除などに多くの時間が必要になれば、勤務時間を短くしたり、仕事そのものを辞めたりする選択につながる場合があります。

家事育児サービスを利用しやすくすることで、仕事を続けやすくするという考え方があります。

つまり、子育て政策であると同時に、就業を支える政策という側面があります。

時間を買うという考え方

家事支援サービスの特徴は、商品を購入するのではなく時間を生み出すことにあります。

たとえば掃除や家事に毎週数時間かかっている家庭が、その一部を外部サービスに任せれば、その時間を仕事や育児、休息などに使うことができます。

ベビーシッターについても同様です。

サービスの利用によって、親が仕事を続けられる時間を確保できる場合があります。

家事育児サービスへの税制支援は、家庭が時間を確保するために支払う費用を政策的に支援するという考え方ともいえます。

誰を対象にするかが難しい

一方で、制度設計には難しい問題があります。

家事支援といっても、その範囲は非常に広いからです。

掃除、洗濯、料理、買い物、子どもの送迎、ベビーシッターなどさまざまなサービスがあります。

すべてを対象とするのか、一部だけを対象とするのかによって制度の規模は大きく変わります。

さらに、子育て世帯だけを対象にするのか、介護などを抱える世帯まで対象にするのかという論点も考えられます。

制度が具体化する場合には、誰が、どのサービスを、どの程度利用した場合に税制優遇を受けられるのかが重要になります。

高所得者ほど有利にならないか

税制を利用した支援では公平性も重要です。

家事支援サービスやベビーシッターを利用するには、まず利用料金を支払う必要があります。

税制優遇があっても、そもそもサービスを利用する経済的余裕がなければ恩恵を受けにくい可能性があります。

さらに所得控除方式を採用すれば、一般的には所得税率が高い人ほど節税効果が大きくなる場合があります。

子育て支援として制度を設計するのであれば、所得によって支援効果に大きな差が生じないかという点も重要な論点になります。

補助金との違いも考える必要がある

家事育児サービスを支援する方法は税制だけではありません。

利用料金の一部を補助する方法もあります。

補助金であれば利用時点で負担を軽減する仕組みにすることもできます。

一方、所得税などの税制優遇であれば、確定申告や年末調整など税の仕組みとの関係を考える必要があります。

どちらが適しているかは、対象者や政策目的によって変わります。

税制改正要望が今後具体化した場合には、既存の子育て支援制度との役割分担にも注目する必要があります。

結論

令和9年度税制改正要望では、家事支援サービスやベビーシッターなどの利用費用について税制上の措置が求められています。

背景には、子育て世帯の経済的負担だけではなく、仕事と家事育児を両立しやすくするという政策目的があります。

ただし、現段階では税制改正要望であり、ベビーシッター代が直ちに所得控除や税額控除の対象になったわけではありません。

今後注目したいのは、対象となるサービス、利用者の要件、年間限度額、そして所得控除や税額控除など具体的な支援方法です。

家事や育児を家庭の中だけで抱えるのではなく、必要に応じて外部サービスを利用する。

その費用を税制がどこまで支えるのかという議論は、子育て政策だけではなく、これからの働き方を考えるうえでも重要なテーマになりそうです。

参考

税のしるべ 2026年9月7日 各省庁の9年度税制改正要望が出そろう、エッセンシャルサービス確保の特例に税制上の軽減措置を

タイトルとURLをコピーしました