デジタル住民とは何か

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私たちは通常、「住民」と聞くと、その自治体に住民票を置いている人を思い浮かべます。

しかし、インターネットやデジタル技術の発展によって、人と地域との関係は大きく変化しています。

実際には住んでいなくても、その地域を応援し、情報を受け取り、イベントに参加し、地域活動に関わる人が増えています。

こうした人々を表す言葉として近年注目されているのが「デジタル住民」です。

デジタル住民はまだ法的な住民ではありません。しかし、人口減少が進む日本において、新しい地域との関わり方として注目を集めています。

今回は、デジタル住民という考え方について考えてみます。

デジタル住民とは

デジタル住民とは、実際には居住していない自治体とデジタル技術を通じて継続的につながる人を指します。

例えば、

・自治体の公式アプリを利用する人
・地域情報を継続的に受け取る人
・オンラインイベントに参加する人
・地域コミュニティに参加する人
・地域を応援する寄附や活動を行う人

などです。

住民票はその自治体に存在しなくても、地域社会とのつながりを持つ人々といえます。

従来の行政制度では住民か非住民かの二択でしたが、デジタル住民はその中間に位置する存在です。

なぜ今デジタル住民が注目されるのか

背景には人口減少があります。

多くの自治体では、

・人口減少
・高齢化
・担い手不足
・税収減少

が深刻な課題となっています。

しかし、全国の自治体が人口を増やすことは不可能です。

そこで近年は、

「住民を増やす」

だけでなく、

「関わる人を増やす」

という発想が重視されるようになりました。

その象徴が関係人口政策です。

デジタル住民は、関係人口をさらに広げる概念として期待されています。

ふるさと住民登録制度との関係

令和8年度中に創設予定のふるさと住民登録制度も、デジタル住民に近い考え方を含んでいます。

住民票を移さなくても自治体に登録し、

・地域情報の受信
・地域活動への参加
・担い手活動

などを行うことができます。

将来的にはスマートフォンアプリなどを通じて地域との継続的な関係を築くことが想定されています。

これは事実上、全国規模のデジタル住民制度とも考えられます。

デジタル住民がもたらすメリット

デジタル住民の最大のメリットは、移住のハードルを下げることです。

これまでは、

観光客

移住希望者

定住者

という大きな段階を踏む必要がありました。

しかしデジタル住民という仕組みがあれば、

観光客

デジタル住民

関係人口

二地域居住者

定住者

という段階的な関係構築が可能になります。

自治体にとっても、いきなり移住を求めるより現実的な戦略といえるでしょう。

デジタル住民は第二のふるさとになるのか

人生100年時代になると、人は一つの地域だけで人生を終えるとは限りません。

仕事をする場所

子育てをする場所

趣味を楽しむ場所

老後を過ごす場所

それぞれが異なる可能性があります。

そのような時代には、

「住んでいる場所」

だけでなく、

「心のふるさと」

「応援したい地域」

の存在が重要になります。

デジタル住民は、そのような第二のふるさとを持つための仕組みとも考えられます。

デジタル住民と税金の関係

今後注目されるのが税制との関係です。

現在の税制では住民税は住民票所在地に納めます。

しかし、

・地域活動を行う
・地域経済に貢献する
・継続的に地域と関わる

人が増えれば、

「税金はどこに納めるべきか」

という議論も出てくるでしょう。

地方財政審議会では、ふるさと住民登録制度に関連して登録先自治体への住民税納付の可能性も議論されています。

まだ具体化していませんが、将来的には新しい税の仕組みが検討されるかもしれません。

デジタル住民社会がもたらす変化

もしデジタル住民が広がれば、自治体の考え方も変わります。

これまでは、

「何人住んでいるか」

が重要でした。

しかし今後は、

「何人が関わっているか」

が重要になる可能性があります。

自治体の競争軸も、

人口獲得競争

から

関係人口獲得競争

へ変化するかもしれません。

人口減少社会においては、その方が現実的な戦略ともいえます。

結論

デジタル住民とは、住民票の有無を超えて地域と継続的につながる人々を指す新しい概念です。

人口減少が進む中で、自治体は定住人口だけでなく関係人口やデジタル住民の存在を重視するようになっています。

ふるさと住民登録制度の創設も、その流れの一環といえるでしょう。

これからの時代は、「どこに住んでいるか」だけでなく、「どの地域とつながっているか」が重要になります。

デジタル住民という考え方は、地域と人との関係を再定義する新しい一歩なのかもしれません。

参考

・税のしるべ 2026年5月25日号「ふるさと住民登録制度を8年度中に創設へ、登録先自治体への住民税の納付などは制度の定着等を踏まえ検討」

・総務省 関係人口の創出・拡大に関する施策資料

・総務省 デジタル田園都市国家構想関連資料

・デジタル庁 デジタル社会形成に関する各種資料

・地方創生推進事務局 関係人口政策関連資料

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