住宅ローン控除中でも繰上返済した方がよいのか 税額控除と利息負担を比較する方法編

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住宅ローン金利が上昇すると、余裕資金を使って繰上返済した方がよいのではないかと考える人が増えます。

一方、住宅ローン控除を利用している人には別の悩みがあります。

繰上返済によって住宅ローン残高を減らすと、住宅ローン控除の金額も減る可能性があるからです。

そのため、「住宅ローン控除を受けている間は繰上返済しない方が得」と言われることがあります。

しかし、必ずそうなるわけではありません。

住宅ローン金利、実際に受けられる住宅ローン控除額、残りの返済期間、手元資金などによって判断は変わります。

金利上昇時代には、税金だけでも金利だけでもなく、両方を合わせて考えることが重要です。

住宅ローン控除とは何か

住宅ローン控除は、一定の要件を満たして住宅ローンを利用して住宅を取得した場合に、所得税などの負担を軽減する制度です。

控除額を考える際の重要な数字の1つが、年末時点の住宅ローン残高です。

そのため、繰上返済によって年末の住宅ローン残高を減らすと、住宅ローン控除額も減少する可能性があります。

例えば年末を迎える前に大きな繰上返済をすれば、その分だけ年末残高が少なくなります。

住宅ローンの利息を減らせる一方で、税額控除の効果も小さくなる可能性があるということです。

金利と控除率を単純比較してよいのか

住宅ローンの繰上返済を考えるとき、住宅ローン金利と住宅ローン控除の控除率を比較する方法があります。

住宅ローン金利より控除による効果の方が大きければ、住宅ローンを急いで返済しない方が有利に見えます。

反対に、住宅ローン金利が高くなれば、繰上返済によって利息を減らすメリットが大きくなります。

ただし、金利と控除率の数字だけを単純に比べればよいわけではありません。

住宅ローン控除には対象となる借入限度額などがあり、住宅の種類や入居時期などによって適用条件も異なります。

さらに、計算上の控除額をそのまま全額利用できるとは限りません。

控除額を使い切れない場合がある

住宅ローン控除は税額を軽減する制度です。

そのため、計算上の住宅ローン控除額が大きくても、実際の所得税などの状況によっては、その効果を十分に受けられない場合があります。

例えば計算上は年間20万円の控除を受けられるとしても、対象となる税額との関係によって実際の軽減額がそれより小さくなる場合があります。

この場合、住宅ローン残高に一定割合を掛けた金額だけを見て、「住宅ローン控除の方が得」と判断すると実態とずれる可能性があります。

重要なのは、自分が実際にいくら税負担を軽減できているのかを確認することです。

金利が上昇すると関係が変わる

低金利の住宅ローンでは、支払う利息が比較的小さいため、住宅ローン控除を受けながら現金を手元に残す考え方が成り立ちやすい場合があります。

しかし、変動金利が上昇すると状況は変わります。

住宅ローン控除による効果が変わらなくても、支払う利息が増えるからです。

例えば適用金利が上昇すれば、繰上返済によって削減できる将来の利息も増えます。

そのため、低金利時代に合理的だった判断が、金利上昇後もそのまま合理的とは限りません。

住宅ローン金利が変われば、繰上返済についても改めて検討する必要があります。

控除が終わるまで待つ方法もある

住宅ローン控除の適用期間中は余裕資金を貯蓄しておき、控除期間が終了した後にまとまった繰上返済をする方法もあります。

この方法なら、住宅ローン控除を利用しながら手元資金も確保できます。

そして控除期間終了後に住宅ローン残高を減らすことで、その後の利息負担を軽減できます。

ただし、控除期間中に住宅ローン金利が大きく上昇した場合には、繰上返済を待つことで支払う利息が増える可能性があります。

そのため、「控除終了まで絶対に繰上返済しない」と決めてしまうのではなく、金利動向と家計状況を定期的に確認することが重要です。

繰上返済の時期にも注意する

住宅ローン控除では年末残高が重要になるため、繰上返済を行う時期によっても影響が変わることがあります。

年末直前に繰上返済すれば、その年の年末残高が減少します。

一方、年を越してから繰上返済すれば、前年末の住宅ローン残高には影響しません。

ただし、繰上返済を遅らせれば、その間の住宅ローン利息は発生します。

税額控除だけを見て繰上返済時期を決めるのではなく、増える利息との比較が必要です。

期間短縮型では適用要件も確認する

繰上返済で期間短縮型を選ぶ場合には、住宅ローン控除の適用要件との関係にも注意が必要です。

繰上返済によって返済期間が大幅に短くなると、住宅ローン控除に必要な返済期間の要件に影響する可能性があります。

特に、もともとの返済期間がそれほど長くない住宅ローンでは確認が必要です。

利息を減らすために期間短縮型の繰上返済をした結果、住宅ローン控除の要件に影響すれば、想定していた効果と違ってしまいます。

大きな繰上返済をする場合には、繰上返済後の返済期間も確認しておくことが重要です。

手元資金まで含めて考える

住宅ローン控除と繰上返済のどちらが得かを考えると、どうしても数万円、数十万円の差に注目しがちです。

しかし、家計では手元資金の価値も重要です。

例えば住宅ローンを100万円繰上返済すれば、その100万円を緊急時の生活費として使うことはできなくなります。

教育費や住宅修繕費が必要になる可能性もあります。

金利上昇によって毎月返済額が増える可能性があるなら、一定の現金を持っておくこと自体がリスク対策になります。

税金と利息の比較だけで手元資金をすべて住宅ローン返済に使わないことが重要です。

結論

住宅ローン控除を利用している間でも、繰上返済した方が有利になる場合があります。

反対に、住宅ローン控除を受けながら手元資金を残した方が合理的な場合もあります。

判断するときには、住宅ローン金利と住宅ローン控除の数字だけを単純比較してはいけません。

実際に受けている税額控除はいくらなのか、繰上返済によっていくら利息を減らせるのか、住宅ローン残高はいくらなのか、返済期間はどれだけ残っているのかを確認する必要があります。

さらに、生活防衛資金や教育費などの手元資金も確保しておく必要があります。

金利が上昇すれば、低金利時代には有利だった判断が変わる可能性があります。

住宅ローン控除中だから繰上返済しない、金利が上がったからすぐ繰上返済するという一律の判断ではなく、税額控除と利息負担、そして手元資金の3つを比較することが重要です。

参考

日本経済新聞 2026年9月26日 朝刊 住宅ローン金利上昇に備え 借入額抑制や貯蓄が重要に

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