2026年10月から始まる新TOPIXへの移行は、TOPIXに採用される企業だけの問題ではありません。
TOPIXに連動する投資信託やETFを保有している個人投資家にも関係します。
TOPIX連動型投資信託は、TOPIXとできるだけ同じ値動きになることを目指して運用されています。
そのためTOPIXの構成銘柄が変われば、投資信託が保有する株式も変わります。
現在1600銘柄を超えるTOPIXは、新しい基準によって最終的に約1,000銘柄まで絞り込まれると見込まれています。
では、TOPIX連動型投資信託の中では何が起きるのでしょうか。
インデックスファンドとは何か
投資信託には、大きく分けてインデックス運用とアクティブ運用があります。
インデックスファンドは、特定の株価指数などへの連動を目指して運用する投資信託です。
TOPIX連動型投資信託なら、運用担当者が、
この会社は成長しそうだから買う
この会社は割高だから売る
といった判断を基本として運用するわけではありません。
目標はTOPIXとできるだけ同じ値動きを実現することです。
そのためTOPIXが変われば、ファンドの運用もそれに合わせて変わります。
TOPIXの構成銘柄に合わせて株式を保有する
TOPIX連動型投資信託は、TOPIXを構成する企業の株式を指数の構成に合わせて保有します。
ただし、すべてのファンドが全構成銘柄を完全に同じ形で保有するとは限りません。
TOPIXの構成銘柄を幅広く保有する方法もあれば、一部の銘柄を組み合わせて指数への連動を目指す方法もあります。
いずれの場合でも、運用の基準となるTOPIXが変わればポートフォリオの調整が必要になります。
指数そのものが投資信託の設計図のような役割を持っているからです。
新しくTOPIXに入る企業は買われる可能性がある
新TOPIXでは、プライム市場だけではなく、スタンダード市場やグロース市場の企業も新規採用の対象になります。
参考記事では、QUICKの試算として、日本マクドナルドホールディングスやセリア、GO、タイミーなどに新規採用の可能性が高いと紹介されています。
仮にこうした企業がTOPIXへ新しく採用されれば、TOPIX連動型ファンドは新しい指数構成に合わせる必要があります。
その結果、新規採用銘柄にはパッシブ運用による買い需要が発生する可能性があります。
企業がTOPIX入りを意識する大きな理由の1つです。
TOPIXから外れる企業は売却される可能性がある
反対に、TOPIXから除外される企業については、指数連動型ファンドが保有株式を減らす必要があります。
ただし今回の改革では、大量の銘柄を一度に完全除外するわけではありません。
基準を満たさなかった銘柄について、2026年10月から段階的に指数への組み入れ比率を引き下げます。
参考記事によると、2026年10月30日にまず100%から87.5%へ下げ、その後3カ月ごとに12.5ポイントずつ引き下げます。
TOPIX連動型ファンドも、この変化に対応して保有額を調整していくことになります。
なぜ一度に保有銘柄を変えないのか
新TOPIXでは、最終的な構成銘柄数が現在より大幅に減少すると見込まれています。
もし数百銘柄を同じ日に完全除外すれば、TOPIXに連動する多くのファンドから売却注文が集中する可能性があります。
新規採用銘柄には買い注文が集中する可能性もあります。
これでは株式市場の需給に大きな影響を与えかねません。
そこで新TOPIXでは長い移行期間を設けています。
投資信託側も時間をかけてポートフォリオを調整できるようにすることで、市場への影響を抑える仕組みです。
投資家自身が銘柄を入れ替える必要はない
TOPIX連動型投資信託を保有する個人投資家が、新TOPIXへの移行に合わせて自分で個別株を売買する必要は基本的にありません。
ファンド側が指数の変更に対応するからです。
TOPIXからA社が外れ、B社が新しく入れば、運用会社が必要な売買を行います。
個人投資家はTOPIX連動型投資信託を保有することで、構成銘柄の入れ替えも含めて指数に連動する運用を利用していることになります。
これはインデックス投資の大きな特徴です。
構成銘柄が減っても分散投資ではある
現在のTOPIXは1600銘柄を超える企業で構成されています。
新TOPIXでは最終的に約1,000銘柄になると見込まれています。
銘柄数だけを見ると大幅に減ります。
それでも約1,000銘柄に投資する指数であれば、個別株への投資と比べて非常に多くの企業へ分散する仕組みであることに変わりはありません。
むしろ新TOPIXでは、流動性の低い銘柄を減らし、実際に投資しやすい企業を中心に構成する方向へ変わります。
「銘柄数が減ること」と「分散投資ではなくなること」は同じではありません。
スタンダードやグロース企業も保有することになる
今回の改革による大きな変化の1つが、市場区分との切り離しです。
新TOPIXでは、スタンダード市場やグロース市場の企業も構成銘柄になれます。
そのためTOPIX連動型投資信託を保有している投資家は、結果としてスタンダード企業やグロース企業にも投資する可能性があります。
個人投資家自身がそれぞれの企業を選ばなくても、指数のルールに従って投資対象が変化していきます。
TOPIX連動型投資信託の中身が、従来より市場区分を横断したものになるわけです。
2028年以降も保有銘柄は変化する
新TOPIXへの移行が2028年に終われば、その後は構成銘柄が固定されるわけではありません。
2028年10月からは毎年定期的に構成銘柄が見直されます。
企業が成長して新規採用基準を満たせばTOPIXへ入る可能性があります。
反対に、現在の構成銘柄でも時価総額や流動性が低下すれば除外される可能性があります。
TOPIX連動型投資信託も、それに合わせて保有銘柄を継続的に変えていきます。
インデックス投資は「同じ企業を永久に保有する投資」ではありません。
指数のルールによって企業が入れ替わる仕組みなのです。
個人投資家は何を確認すればよいのか
TOPIX連動型投資信託を保有する個人投資家にとって、構成銘柄を1社ずつ確認する必要性は高くありません。
一方で、自分が何に投資しているのかという基本的な仕組みは理解しておく必要があります。
確認したいのは、
どの指数への連動を目指しているのか
どのような方法で指数へ連動しているのか
運用コストはどの程度か
指数との値動きにどの程度の差があるのか
といった点です。
特に新TOPIXへの移行によって、「TOPIXは旧東証1部やプライム市場を広く保有する指数」という従来のイメージは変わります。
指数の中身が変わることを理解しておくことが重要です。
結論
TOPIX連動型投資信託は、TOPIXとできるだけ同じ値動きになることを目指して運用されています。
そのため新TOPIXによって構成銘柄が変われば、投資信託が保有する株式も変わります。
新しくTOPIXに採用される企業は購入対象となり、除外される企業は段階的に保有額が減少する可能性があります。
ただし個人投資家自身が、そのたびに個別株を売買する必要は基本的にありません。
指数の変更に合わせた調整はファンド側が行います。
そして2028年10月以降は毎年の定期入れ替えによって、TOPIXの構成銘柄は継続的に変化します。
TOPIX連動型投資信託を保有するということは、現在の企業群を固定的に保有することではありません。
一定のルールによって企業を選び続ける「指数そのもの」に投資することなのです。
新TOPIXへの改革は、インデックス投資では指数の名前だけでなく、その中身と選定ルールを理解することが重要であることを改めて示しています。
参考
日本経済新聞 2026年9月25日朝刊 新TOPIX、競争促す
日本取引所グループ 2025年3月26日 TOPIX等の見直しについて