インボイスは1枚の書類で完成させなくてもよいのか レシートとウェブサイトを組み合わせる方法編

税理士
水色 シンプル イラスト ビジネス 解説 はてなブログアイキャッチのコピー - 1

インボイス制度では、適格請求書に登録番号など一定の事項を記載する必要があります。

しかし、小売店や飲食店などで使用するレシートは印字できるスペースが限られています。

そこで考えられるのが、レシートには必要最低限の情報を記載し、登録番号や事業者名など一部の情報を自社のウェブサイトに掲載する方法です。

インボイスは必ず1枚の書類だけですべての記載事項を満たさなければならないのでしょうか。

インボイスは1枚で完結する必要はない

適格請求書は、必ず1枚の書類にすべての記載事項を記載しなければならないわけではありません。

複数の書類を組み合わせて必要な記載事項を満たすことも認められています。

さらに、紙の書類同士だけでなく、紙の書類と電磁的記録を組み合わせることも可能です。

例えば、レシートとウェブサイト上の情報を合わせて、適格請求書として必要な事項を満たす方法も考えられます。

ただし、単に情報がどこかに掲載されていればよいわけではありません。

書類同士の関連が明確であることが必要

複数の書類やデータを組み合わせる場合に重要なのが、それぞれの関連性です。

どのレシートとどの情報を組み合わせれば、その取引のインボイスになるのかを明確に認識できなければなりません。

例えば、店舗が自社ウェブサイトの会社概要ページに名称と登録番号を掲載しているだけでは、顧客が受け取ったレシートとの関係が明確ではない場合があります。

会社のウェブサイトに登録番号が掲載されているというだけで、すべてのレシートの不足事項を自動的に補えるわけではありません。

レシートにウェブサイトを案内する

そこで考えられるのが、レシートそのものにウェブサイトのURLを表示する方法です。

レシートに記載されたURLへアクセスすると、そのレシートに不足している適格請求書発行事業者の名称や登録番号などを確認できるようにします。

このように、レシートから該当するウェブサイトへ直接たどることができれば、紙のレシートとウェブサイト上の電磁的記録との関連が明確になります。

双方を合わせることによって、適格請求書の記載事項を満たすことが可能になります。

QRコードを利用する方法も考えられる

実務では、URLそのものを長く印字するとレシートのスペースを使ってしまいます。

そのため、ウェブサイトへアクセスできるQRコードなどを利用する方法も考えられます。

重要なのは表示方法そのものではありません。

買手がレシートとウェブサイト上の情報との関連を確認でき、その取引について必要なインボイス情報を把握できる仕組みになっていることです。

レシートの省スペース化とインボイスの記載要件を両立させる方法として、デジタル情報との組み合わせは有効な選択肢になります。

買手側には保存の問題がある

売手側がレシートとウェブサイトを組み合わせて適格請求書の記載事項を満たしたとしても、それだけで実務が終わるわけではありません。

仕入税額控除を受ける買手側には、必要な情報を保存するという問題があります。

レシートだけでは登録番号など必要な事項が不足しているのであれば、ウェブサイト上の情報も適格請求書を構成する一部となります。

そのため、原則として買手は該当するウェブサイトの情報を電磁的記録として保存するか、一定の方法で書面に出力して保存することを考える必要があります。

紙のレシートだけを保管しておけば常に十分というわけではありません。

必ずダウンロードしなければならないとは限らない

もっとも、買手が取引のたびにウェブサイトを保存しなければならないとなると、事務負担が大きくなります。

そこで、一定の要件を満たす場合には、買手がウェブサイト上の情報を必ずしもその都度ダウンロードしなくても、保存があるものとして取り扱うことが認められています。

例えば、売手が適格請求書の記載事項を掲載したウェブサイトを、税法上必要となる保存期間が終了するまで随時確認できる状態で提供している場合などです。

買手が必要なときに確認できる状態が維持されていることが重要になります。

売手は長期間の情報管理を考える必要がある

ウェブサイトをインボイスの一部として利用する場合、売手側にも注意点があります。

通常の広告や会社案内であれば、ウェブサイトの内容は自由に更新できます。

しかし、インボイスを構成する情報として利用する場合には、過去の取引についても必要な情報を確認できる状態を維持することが重要になります。

登録番号や会社名を変更した場合、ウェブサイトを全面的に更新してしまうと、過去のレシートと対応する情報が確認できなくなる可能性があります。

インボイスの一部をウェブサイトで提供するのであれば、将来の変更や保存期間まで考えた情報管理が必要です。

デジタル化は記載事項を減らす制度ではない

レシートとウェブサイトを組み合わせる方法は、インボイスに必要な情報そのものを省略できる制度ではありません。

必要な記載事項を、紙とデジタルに分けて提供できるという考え方です。

したがって、紙のレシートに何を記載し、ウェブサイトに何を掲載するのかを整理し、両方を合わせて必要事項がそろっていることを確認する必要があります。

デジタル化によって紙面を節約することはできますが、インボイスとして必要な情報まで減らせるわけではありません。

結論

適格請求書は、必ず1枚の書類だけですべての記載事項を満たす必要はありません。

書類同士や書類と電磁的記録との関連が明確であり、対象となる取引を正確に認識できるのであれば、複数の情報を組み合わせて適格請求書の要件を満たすことができます。

例えば、レシートにウェブサイトのURLなどを表示し、アクセス先で事業者名や登録番号など不足する事項を確認できる仕組みにする方法があります。

ただし、単に自社ウェブサイトのどこかに登録番号を掲載しておくだけでは十分とは限りません。

レシートとウェブサイトの情報を明確に関連付けることに加え、買手が仕入税額控除に必要な期間、その情報を確認できる状態を維持することも重要です。

インボイスのデジタル化では、情報をどこに表示するかだけでなく、取引との関連性と将来の保存まで含めて仕組みを設計する必要があります。

参考

税のしるべ 2026年9月7日 令和8年・役に立つ消費税実務問答集

タイトルとURLをコピーしました