介護離職とは何か 家族だけに介護を任せると働く世代まで失われる理由編

人生100年時代
ブルー ベージュ ミニマル note ブログアイキャッチ - 1

親に介護が必要になったとき、家族が支えるのは当然だと考える人もいるでしょう。

しかし、介護はいつ終わるのかを予測することが難しく、数年にわたって続くこともあります。

働きながら介護を続けることが難しくなり、仕事を辞める人もいます。

これが介護離職です。

介護を必要とする高齢者を支えることは重要ですが、そのために働く世代が仕事を失えば、本人や家族だけでなく企業や社会にも影響が広がります。

高齢化が進む日本では、介護を家族だけの問題にしないことがますます重要になります。

介護離職とは何か

介護離職とは、家族などの介護を理由に仕事を辞めることです。

親の身体機能が低下したり、認知症が進んだりすると、これまで自分でできていた生活が難しくなる場合があります。

食事、入浴、排せつ、通院、買い物など、さまざまな支援が必要になります。

働いている家族がその役割を担えば、仕事との両立が難しくなることがあります。

特に遠距離介護の場合には、親の家まで移動する時間も必要です。

最初は仕事を続けながら対応していても、負担が大きくなり、最終的に退職を選ぶことがあります。

仕事を辞めれば介護が楽になるとは限らない

仕事を辞めれば介護に使える時間は増えます。

そのため、介護と仕事の両立に苦しんでいる人にとって、退職は一つの解決策に見えるかもしれません。

しかし、仕事を辞めることで別の問題が生じます。

まず収入が減ります。

介護には長い期間がかかる可能性があり、自分自身の老後資金を取り崩すことになるかもしれません。

さらに、一度仕事を辞めると、介護が終わった後に同じ条件で再就職できるとは限りません。

介護離職は現在の給与を失うだけでなく、その後のキャリアや将来の収入にも影響する可能性があるのです。

家族だけで介護することには限界がある

在宅介護というと、家族が自宅で高齢者を介護することだと思われることがあります。

しかし、在宅介護と家族介護は同じではありません。

訪問介護、デイサービス、ショートステイ、訪問看護など、在宅生活を支えるさまざまなサービスがあります。

家族だけですべてを行う必要はありません。

むしろ、介護が長期化する可能性を考えれば、家族が最初からすべてを抱え込まないことが重要です。

専門職へ任せられる部分は任せ、家族は家族だからこそできる役割を担うという分担が必要になります。

介護サービスは家族の就労も支えている

訪問介護などのサービスは、高齢者本人だけのために存在するように見えます。

しかし、別の見方もできます。

ホームヘルパーが昼間に高齢者の生活を支えてくれれば、その時間に家族は仕事を続けることができます。

デイサービスを利用すれば、家族が毎日付き添わなくてもよい時間を確保できます。

ショートステイを利用することで、家族が休息したり、仕事上必要な予定に対応したりできる場合もあります。

つまり、介護サービスは高齢者の生活を支えると同時に、働く家族の就労を支える社会インフラでもあるのです。

介護離職は企業にとっても問題になる

介護離職は家庭だけの問題ではありません。

企業にとっても大きな問題です。

親の介護が必要になりやすい年代は、企業の中で経験を積み、重要な役割を担っている場合があります。

管理職や専門職として働いている人もいるでしょう。

こうした人材が介護を理由に退職すれば、企業は長年蓄積された経験やノウハウを失います。

新しい人を採用すればすぐに代替できるとは限りません。

人手不足が進む日本では、介護離職を防ぐことは企業の人材戦略としても重要になります。

仕事と介護を両立する仕組みが必要

介護離職を防ぐには、介護サービスだけでなく、職場側の仕組みも重要です。

介護休業や介護休暇などを利用しながら、仕事を続ける方法があります。

勤務時間や働く場所を柔軟にすることが有効な場合もあります。

重要なのは、介護が始まったら仕事を辞めるという二者択一にしないことです。

仕事を続けながら介護できる方法を探し、そのために利用できる制度やサービスを組み合わせます。

企業側にも、社員が介護について相談しやすい環境を整えることが求められます。

介護が始まる前から情報を知っておく

介護は突然始まることがあります。

親が転倒して入院し、退院後に以前と同じ生活ができなくなることもあります。

認知症が徐々に進み、ある時点から一人暮らしが難しくなる場合もあります。

問題が起きてから初めて介護保険について調べようとすると、本人も家族も余裕がない中で判断しなければなりません。

親が元気なうちから、地域包括支援センターの場所や介護保険の基本的な仕組みを知っておくことには意味があります。

いざというときに相談先を知っているだけでも、家族だけで抱え込むことを防ぎやすくなります。

介護人材を守ることが介護離職防止にもつながる

家族の介護離職を防ぐには、介護サービスを提供する人材が十分にいることが前提になります。

制度上は訪問介護を利用できても、地域にホームヘルパーがいなければ必要なサービスを受けられません。

ケアマネジャーが不足すれば、介護サービスを組み立てる役割にも負担がかかります。

さらに、介護職員がカスタマーハラスメントや過重労働によって離職すれば、残った職員の負担が増えます。

介護職を守ることと、介護する家族の仕事を守ることは別々の問題ではありません。

介護の専門職が安定して働ける社会だからこそ、家族も仕事を続けることができるのです。

結論

介護離職とは、家族などの介護を理由に仕事を辞めることです。

仕事を辞めれば介護に使える時間は増えますが、収入が減り、将来のキャリアや老後の生活にも影響する可能性があります。

企業にとっても、経験を積んだ人材を失うことは大きな損失です。

だからこそ、介護を家族だけで抱え込む仕組みにしてはいけません。

訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを利用し、職場では介護休業や柔軟な働き方を組み合わせながら、できるだけ仕事を続けられる環境を整えることが重要です。

そして、その仕組みを維持するには、介護サービスを提供するホームヘルパーやケアマネジャーなどの人材を確保し、安全に働ける環境をつくらなければなりません。

高齢者を支えるために現役世代が仕事を失い、その現役世代を支える介護職まで不足するという連鎖を防ぐ必要があります。

介護を家庭だけの責任にするのではなく、専門職、企業、地域、行政を含めて社会全体で支えることが、介護する人と介護される人の双方の生活を守ることにつながるのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月10日 朝刊 ケアマネ8割に「カスハラ」

タイトルとURLをコピーしました