ゴルフ会員権の価格を左右する重要な要素の一つが、ゴルフ場の立地です。
同じように整備されたコースでも、東京都心から短時間で行けるゴルフ場と、片道2時間以上かかるゴルフ場では、会員権価格に大きな差がつくことがあります。
2026年7月のゴルフ会員権市場でも、都心から比較的近い神奈川県の名門コースの価格上昇が目立ちました。
注目したいのは、単純な距離だけではありません。
高速道路へのアクセスや渋滞の発生状況によって、実際の移動時間は大きく変わります。
ゴルフを頻繁にする人にとって、この時間差は年間では何十時間にもなります。
つまりゴルフ会員権市場では、移動時間そのものがお金に換算されていると考えることができます。
今回は、なぜ都心への近さがゴルフ会員権の価値を高めるのかを見ていきます。
ゴルフは移動時間の長いスポーツ
ゴルフはスポーツの中でも一回当たりに必要な時間が長い傾向があります。
18ホールを回れば、プレーだけでも数時間かかります。
さらにゴルフ場までの往復時間があります。
例えば朝7時にスタートするため、午前5時に自宅を出発するということもあります。
プレーを終えて帰宅すると夕方になっていることも珍しくありません。
つまりゴルフでは、
プレー時間
休憩時間
ゴルフ場までの移動時間
帰宅するまでの移動時間
を合わせて一日の時間を考える必要があります。
そのためゴルフ場までのアクセスは、利用者にとって非常に重要になります。
都心からの距離が価値になる
例えば二つのゴルフ場があるとします。
Aゴルフ場は都心から片道1時間です。
Bゴルフ場は都心から片道2時間です。
コースの質やプレー料金などがほぼ同じだった場合、多くの人にとってAゴルフ場の方が便利でしょう。
往復では2時間の差になります。
年間20回プレーすれば40時間です。
年間30回なら60時間です。
年間50回なら100時間です。
会員権は何年も保有することがあります。
10年間、年間30回利用するとすれば、単純計算では移動時間に600時間もの差が生じます。
1回だけなら小さな差でも、利用回数が増えるほど大きな価値になります。
距離より実際の所要時間が重要
ただし、都心から何キロメートル離れているかだけでは便利さは分かりません。
ゴルフ場では実際の所要時間が重要です。
例えばAゴルフ場は都心から50キロメートル、Bゴルフ場は70キロメートル離れているとします。
距離だけならAゴルフ場の方が近く見えます。
しかしAゴルフ場へ向かう道路が毎週末激しく渋滞し、2時間かかるとします。
一方、Bゴルフ場は高速道路を使って1時間15分で到着できるとします。
この場合、距離では遠いBゴルフ場の方が時間的には便利です。
ゴルフ会員権市場では、地図上の距離よりも実際にどれくらいの時間で行き来できるかが重要になるのです。
高速道路へのアクセスが価格に影響する
そこで重要になるのが高速道路です。
ゴルフ場がインターチェンジから近ければ、高速道路を降りてから短時間で到着できます。
一方、高速道路を降りてから一般道を何十キロメートルも走らなければならないゴルフ場では、移動時間が長くなります。
さらに一般道では信号や交通量などの影響も受けます。
そのため、
都心から高速道路へ入りやすい
利用する高速道路が比較的混雑しにくい
インターチェンジからゴルフ場まで近い
といった条件がそろえば、アクセス面で大きな強みになります。
ゴルフ場の立地価値は、住所だけではなく道路網によっても決まっているのです。
渋滞リスクも会員権の価値を左右する
ゴルフで特に問題になるのが渋滞です。
行きの渋滞はスタート時間に遅れるリスクがあります。
そのため利用者は、通常よりかなり余裕を持って自宅を出なければなりません。
帰りの渋滞も大きな負担です。
例えば午後2時にプレーが終わっても、渋滞で帰宅が午後6時になれば、一日の大部分をゴルフに使うことになります。
しかも渋滞時間は一定ではありません。
今日は1時間半だったのに、次回は3時間かかるということもあります。
この時間の読みにくさも利用者にとって負担です。
そのため、渋滞の影響を比較的受けにくいゴルフ場には高い価値が生まれます。
神奈川県の名門コースが人気になる理由
今回の記事では、神奈川県にある名門コースの伸びが目立ったとされています。
背景の一つが首都圏からのアクセスです。
東京都心などから比較的行きやすく、首都圏の他地域に向かう場合と比べて渋滞の影響を受けにくいコースがあります。
ゴルフ場そのものの評価が高いことに加えて、往復時間を抑えられることが価値になっています。
つまり購入者が買っているのは、ゴルフ場のコースだけではありません。
毎回の移動時間を短くできる環境も含めて会員権を購入していると考えることができます。
時間をお金に換算すると違いが見える
移動時間の価値を簡単な数字で考えてみます。
Aゴルフ場は往復2時間です。
Bゴルフ場は往復4時間です。
年間30回利用すると、年間60時間の差になります。
仮に自分の1時間の時間価値を5000円と考えると、
60時間掛ける5000円で30万円
となります。
10年間なら単純計算で300万円です。
もちろん時間に実際の値札がついているわけではありません。
しかし、このように考えると、都心から近いゴルフ場の会員権が数百万円高くても購入する人がいる理由が見えてきます。
頻繁に利用する人ほど、時間短縮の価値が積み上がるからです。
富裕層ほど時間を重視する理由
高額なゴルフ会員権を購入する人には、企業経営者や高所得者などもいます。
こうした人にとって、お金だけでなく時間が重要な資源になります。
例えば仕事で忙しい人にとって、往復4時間かかるゴルフ場と2時間で済むゴルフ場では大きな違いがあります。
2時間早く帰宅できれば、その時間を仕事や家族との時間、休息などに使うことができます。
また、ゴルフは取引先や仕事関係者との交流の場になることもあります。
頻繁に利用するほどアクセスの良さは重要になります。
そのため高所得者ほど、
安いけれど遠いゴルフ場
より、
高くても短時間で行けるゴルフ場
を選ぶ場合があります。
その需要が会員権価格にも反映されます。
会員権価格だけでなく利用頻度が重要
都心に近いゴルフ場の会員権が高額でも、誰にとってもその価値があるとは限りません。
年間2回しかプレーしない人と、年間50回プレーする人ではアクセスの価値が全く違います。
往復で2時間短縮できるとすると、
年間2回なら4時間
年間50回なら100時間
の差になります。
利用頻度が高い人ほど、高い会員権価格を払ってでもアクセスの良いゴルフ場を選ぶ合理性が高まります。
つまりゴルフ会員権の価値は、所有者の使い方によっても変わるのです。
都心に近ければ必ず高いわけではない
ただし、都心に近いという理由だけで会員権が高くなるわけではありません。
ゴルフ会員権の価格には、
コースの質
クラブの歴史
ブランド
会員数
予約の取りやすさ
入会条件
ゴルフ場の経営状態
なども影響します。
都心に近くても会員が多すぎて予約が取りにくければ、会員としての価値は低下します。
逆に多少遠くても、非常に評価の高いコースであれば高額な会員権になることがあります。
立地は重要ですが、価格を決める要素の一つです。
猛暑によって距離以外の価値も変わる
近年は別の変化も起きています。
夏の気温上昇です。
都心から多少遠くても、標高が高く夏場に涼しい山梨県や静岡県などのコースへの人気が高まっています。
これは興味深い変化です。
従来なら、
近いほど便利
という考え方が中心でした。
しかし猛暑が厳しくなると、
多少遠くても涼しく快適にプレーできる
という価値が高まります。
つまりゴルフ会員権の立地価値は、単純な都心からの距離だけではなく、交通環境や気候まで含めて評価されるようになっています。
結論
都心に近いゴルフ場の会員権が高くなりやすい大きな理由は、移動時間を短縮できるからです。
ゴルフはプレーそのものに数時間かかり、さらにゴルフ場までの往復時間が必要です。
片道1時間の違いでも、年間30回利用すれば往復で年間60時間の差になります。
何年間も利用すれば、その差は数百時間になります。
特に頻繁にゴルフをする人や時間の価値を高く考える人にとって、アクセスの良さには大きな経済的価値があります。
そのためゴルフ会員権市場では、都心からの距離、高速道路へのアクセス、渋滞の少なさなどが価格へ反映されます。
ただし、単純に近ければよいわけではありません。
コースの質やブランド、会員数、予約の取りやすさ、さらに近年では夏場の気温なども重要になっています。
ゴルフ会員権の価格を見ると、私たちが普段は値段を付けていない時間にも市場が価値を付けていることが分かります。
高額な会員権の価格には、ゴルフ場を利用する権利だけではなく、毎回の移動時間を短くできる価値も含まれているのです。
参考
日本経済新聞 2026年8月27日 朝刊 ゴルフ会員権値上がり 5カ月連続 低価格帯も人気