外貨預金の為替差益とは何か 円安になると預金残高が増える仕組み編

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外貨預金を考えるとき、預金金利と同じくらい重要なのが為替相場です。

例えば米ドル預金を持っている人にとって、1ドル150円から160円への円安は、円に換算した資産価値を増やす方向に働きます。

反対に1ドル150円から140円へ円高になると、円換算した資産価値は減少します。

ここで生じる利益が為替差益であり、反対に生じる損失が為替差損です。

外貨預金ではドルなどの外貨そのものが増えていなくても、為替相場が変化するだけで円換算した資産額が大きく変わります。

外貨預金を理解するには、金利だけではなく為替差益と為替差損の仕組みを理解しておく必要があります。

為替差益とは何か

為替差益とは、外国通貨を買ったときと売ったときの為替レートの変化によって生じる利益です。

例えば1ドル150円のときに1万ドルを購入したとします。

単純化して為替手数料などを考えなければ、必要な円は150万円です。

その後、為替相場が1ドル160円になったとします。

1万ドルを円へ交換すると、

1万ドルかける160円

となるため160万円になります。

最初に150万円で購入した外貨が160万円になったので、10万円の利益が生じます。

これが為替差益です。

重要なのは、この間に1万ドルという外貨そのものの金額が変わっていなくても利益が発生することです。

ドルが増えたのではありません。

1ドルを円に換算したときの価値が150円から160円へ上昇したため、円で見た資産価値が増えたのです。

1ドル150円と160円ではどう違うのか

為替レートが外貨預金に与える影響を、もう少し具体的に考えてみます。

1万ドルの外貨預金を持っている場合、

1ドル150円なら150万円

1ドル160円なら160万円

1ドル170円なら170万円

という円換算額になります。

同じ1万ドルでも為替レートによって円換算額が変わります。

1ドル150円から160円になると、円はドルに対して約6.7%下落したことになります。

その一方で、ドルを持っている人から見れば、円換算したドル資産の価値は約6.7%増えることになります。

そのため円安が急速に進む局面では、外貨預金の残高を円換算した統計も増えやすくなります。

ここで注意したいのは、

外貨預金への新しい資金流入によって増えた部分

為替相場の変動によって円換算額が増えた部分

を分けて考える必要があることです。

外貨預金残高が20%増えたからといって、必ずしも預金者が新しく20%分の外貨を購入したとは限りません。

円安による評価額の増加が含まれている可能性があります。

外貨ベースでは増えていなくても円換算額が増える理由

日本で外貨資産を見る場合、円換算した金額が表示されることがあります。

ここで少し不思議な現象が起こります。

例えば1万ドルを保有しているとします。

ドルベースでは、

1万ドル

のままです。

利息を考えなければ、1年後も1万ドルです。

ところが為替相場が1ドル150円から160円になれば、円換算額は150万円から160万円になります。

預金者は何も売買していません。

新たにドルを買ったわけでもありません。

それでも円換算した資産は10万円増えています。

これは円という物差しの価値が変化したためです。

外貨資産を見る場合には、

外貨そのものが増えたのか

円換算した評価額が増えたのか

を区別する必要があります。

外貨預金の金利によってドルが増えた場合は、外貨ベースでも資産が増えています。

一方、円安による評価益は、ドルの量が変わらなくても円換算額だけが増えています。

この違いは外貨預金の残高統計を見るときにも重要になります。

円安で利益が確定するわけではない

さらに注意したいのが、円換算額が増えただけでは必ずしも利益が確定したわけではないことです。

例えば150万円で購入した1万ドルが、円安によって160万円相当になったとします。

この段階では1万ドルを保有したままです。

その後ドルを円へ交換すれば、為替差益が実現します。

しかし交換せずに保有を続け、その後1ドル145円まで円高になれば、円換算額は145万円になります。

一時的には10万円の評価益があったのに、最終的には購入時より5万円少なくなります。

為替相場は常に変動しています。

そのため外貨預金では、

現在の円換算評価額

実際に円へ戻したときの金額

を分けて考えることが大切です。

円安による評価益が出ているからといって、その利益が将来も維持されるとは限りません。

円高になると為替差損が生じる仕組み

為替差益とは反対に、円高によって生じる損失が為替差損です。

例えば1ドル150円で1万ドルを購入した場合、投じた資金は150万円です。

その後1ドル140円まで円高になったとします。

1万ドルを円へ交換すると140万円になります。

150万円で購入したものが140万円になるため、10万円の損失です。

これが為替差損です。

外貨預金には利息が付きますが、為替差損が利息を上回ることもあります。

仮にドル預金から数万円の利息を受け取ったとしても、円高によって10万円や20万円の為替差損が生じれば、円ベースでは損失になる可能性があります。

そのため外貨預金は、

金利が円預金より高いから有利

と単純に判断することはできません。

金利と為替変動を合わせて考える必要があります。

外貨預金の高金利と為替変動は別に考える

外貨預金では高い金利が目立つことがあります。

例えば円預金よりドル預金の金利が高ければ、ドル預金の方が有利に見えるかもしれません。

しかし預金金利と為替相場は別の要素です。

仮に100万円相当のドル預金から年間3万円相当の利息を得ても、円高によって円換算額が10万円減れば、全体ではマイナスになる可能性があります。

反対に、金利による利益がそれほど大きくなくても、大幅な円安になれば為替差益が大きくなることがあります。

つまり外貨預金の損益は大きく分けると、

預金金利による収益

為替相場による損益

という二つの要素から成り立っています。

さらに実際の取引では為替手数料などのコストも加わります。

表示されている預金金利だけで外貨預金の有利不利を判断できない理由はここにあります。

円安局面で外貨預金残高が増えて見える理由

今回の記事では、国内銀行の外貨預金残高が大幅に増えています。

こうした数字を見るときには二つの要因を考える必要があります。

一つは、家計や企業が実際に円を外貨へ交換し、新しい資金を外貨預金へ移したことです。

もう一つが円安です。

例えば銀行全体で100億ドルの外貨預金があったとします。

1ドル150円なら円換算額は1兆5000億円です。

1ドル160円になれば、同じ100億ドルでも1兆6000億円になります。

新しい預金が一切増えていなくても、円換算では1000億円増えます。

そのため外貨預金の増加を見る場合には、為替変動の影響を除いた実質的な資金流入がどれくらいあったのかを見ることが重要です。

今回の記事で、ドル高による円換算額の増加を除いても流入額が大きいと指摘されているのは、このためです。

単なる円安による見かけ上の残高増加だけではなく、家計や企業が実際に外貨へ資金を移していることに意味があります。

外貨預金は円安への保険になるのか

外貨預金を資産分散という観点から考えると、円安に対する一定の備えになる面があります。

資産をすべて円で持っていれば、円の価値が外国通貨に対して下落したとき、海外の商品やサービスを購入する力も低下します。

一方、資産の一部を外貨で持っていれば、円安になるとその外貨資産の円換算額は増えます。

円資産と外貨資産で異なる値動きをすることが、資産分散につながるわけです。

ただし、これは円安になれば必ず得をするという意味ではありません。

円高になれば外貨資産の円換算額は減少します。

重要なのは為替相場を正確に予想することではなく、特定の通貨だけに資産を集中させないという考え方です。

外貨預金は円安で利益を狙う商品としてだけではなく、資産をどの通貨で保有するかという視点から考える必要があります。

結論

外貨預金の為替差益とは、外貨を購入したときより円安になったことで生じる利益です。

例えば1ドル150円で1万ドルを購入し、1ドル160円になれば、円換算額は150万円から160万円へ増えます。

このときドルそのものは1万ドルのままです。

増えたのは円という物差しで測った資産価値です。

反対に1ドル150円から140円へ円高になれば、1万ドルの円換算額は150万円から140万円へ減少し、為替差損が生じます。

そのため外貨預金では、預金金利だけを見ることはできません。

金利で利益が出ても、それを上回る円高になれば円ベースでは損失になる可能性があります。

そして外貨預金残高の統計を見る場合にも、実際に外貨への資金流入が増えたのか、それとも円安によって円換算額が膨らんだのかを区別する必要があります。

外貨預金を理解する第一歩は、外貨の金額と円換算した金額は別のものだと理解することです。

為替差益は円安の恩恵である一方、為替差損という反対方向のリスクと常に表裏一体なのです。

参考

日本経済新聞 2026年8月21日 朝刊 外貨預金の伸び最大 家計・企業、円から資産分散

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