免税点以下でも事業所税の申告が必要なのか 税金がゼロでも申告書を出すケース編

税理士
水色 シンプル イラスト ビジネス 解説 はてなブログアイキャッチのコピー - 1

事業所税には、資産割について事業所床面積1000平方メートル以下、従業者割について従業者数100人以下という免税点があります。

そのため、免税点以下で税額がゼロなら、事業所税について何も手続きをする必要はないと思われるかもしれません。

しかし、必ずしもそうではありません。

事業所税の課税団体では、実際には納税義務が生じない事業者についても、一定規模以上の事業所を使用している場合などに申告を求めることがあります。

例えば、自治体によっては事業所床面積が800平方メートルを超える場合や、従業者数が80人を超える場合などに、免税点以下であっても申告が必要になることがあります。

また、前年度に事業所税の納税義務があった事業者などについても申告を求める場合があります。

事業所税では、税金が発生しないことと、申告手続きが不要であることは同じではありません。

免税点以下なら税額は原則として発生しない

まず、事業所税の免税点を確認しておきましょう。

資産割は、原則として同じ課税団体の区域内にある事業所等の床面積の合計が1000平方メートル以下であれば課税されません。

従業者割は、原則として同じ課税団体の区域内にある事業所等の従業者数が100人以下であれば課税されません。

例えば、市内に900平方メートルの事務所を使用している企業であれば、他に合算すべき事業所などがなければ資産割については免税点以下となります。

従業者が90人であれば、従業者割についても原則として免税点以下です。

この場合、通常は納付すべき事業所税は発生しません。

しかし、ここから先に申告義務という別の問題があります。

税額がゼロでも申告を求められることがある

地方税では、税額が発生しない場合でも、自治体が課税状況を把握するために申告を求める制度があります。

事業所税についても同様です。

課税団体は、区域内にどの程度の規模の事業所があり、床面積や従業者数が免税点を超えているかを確認する必要があります。

特に免税点に近い企業は、わずかな増床や人員増加によって納税義務が発生する可能性があります。

そのため、一定規模以上の事業者については、実際の税額がゼロでも床面積や従業者数などを申告させる仕組みを設けている自治体があります。

これが一般に免税点以下申告などと呼ばれるものです。

床面積800平方メートル超が一つの目安になることがある

事業所税の資産割の免税点は1000平方メートルです。

一方、自治体によっては、その免税点より低い800平方メートル超などを申告義務の基準としている場合があります。

例えば、課税団体内の事業所床面積が900平方メートルだったとします。

1000平方メートル以下ですから、原則として資産割の税額は発生しません。

しかし、その自治体が800平方メートルを超える事業者に申告を求めていれば、税額がゼロでも申告書を提出する必要があります。

つまり、1000平方メートルは課税されるかどうかを判定する数字であり、800平方メートルなどは自治体が申告を求めるための数字として使われる場合があるという違いがあります。

二つの数字を混同しないことが重要です。

従業者80人超でも申告が必要になることがある

従業者割についても同じ考え方があります。

従業者割の免税点は100人以下です。

しかし、自治体によっては従業者数が80人を超える事業者などについて、免税点以下でも申告を求める場合があります。

例えば、従業者が90人だったとします。

100人以下なので、原則として従業者割は発生しません。

しかし、80人超を申告基準としている自治体であれば、従業者割の税額がゼロでも申告が必要になることがあります。

企業側から見ると、納付する税金がないのに申告書を作成することになるため、見落としやすい手続きです。

800平方メートルと80人は免税点ではない

ここで注意したいのは、800平方メートルと80人を新たな免税点のように考えないことです。

資産割の免税点は1000平方メートル、従業者割の免税点は100人です。

800平方メートルや80人という基準は、一定の自治体が免税点以下の事業者について申告を求める際に使用する基準です。

したがって、900平方メートルだから資産割が課税されるわけではありません。

90人だから従業者割が課税されるわけでもありません。

税金が発生するかどうかと、申告書を提出する必要があるかどうかを分けて考える必要があります。

前年度に納税義務があった場合にも注意する

前年度まで事業所税を納めていた企業が、事業規模を縮小して免税点以下になった場合にも注意が必要です。

例えば、前年には事業所床面積が1200平方メートルあり、資産割を納付していた企業が、オフィス縮小によって当年は900平方メートルになったとします。

当年については、他に合算すべき事業所がなければ資産割の免税点以下になる可能性があります。

しかし、自治体側から見ると、前年まで納税していた企業から突然申告がなくなれば、事業所を廃止したのか、床面積が減少したのか、単なる申告漏れなのか分かりません。

そのため、前年度に納税義務があった事業者などについて、当年度が免税点以下となっても申告を求める場合があります。

免税点を下回ったことを自治体に伝える意味がある

免税点以下申告には、自治体へ現在の事業規模を伝えるという意味があります。

例えば、前年まで従業者が120人だった企業が、当年は90人になったとします。

企業側では100人以下になったので従業者割はかからないと判断できます。

しかし、自治体は企業から情報がなければ、従業者数が90人になったことを当然には把握できません。

そこで申告書によって現在の従業者数などを報告することになります。

税額ゼロの申告であっても、課税団体が納税義務の有無を確認するための重要な情報になるのです。

複数の事業所がある企業は特に注意する

同じ課税団体の区域内に複数の事業所がある場合には、一つの事業所だけを見て申告の要否を判断しないことが重要です。

例えば、本社が500平方メートル、営業所が400平方メートルだったとします。

それぞれを見ると800平方メートル以下です。

しかし、合計すると900平方メートルになります。

資産割については1000平方メートル以下なので免税点以下でも、自治体が800平方メートル超を申告基準としていれば申告が必要になる可能性があります。

従業者数についても同様です。

本社50人、営業所40人であれば、それぞれは80人以下でも合計では90人です。

課税団体ごとに事業所を集計して判断する必要があります。

自治体によって申告要件を確認する必要がある

免税点以下の申告で特に重要なのは、申告要件が課税団体によって異なる場合があることです。

事業所税そのものの免税点は地方税法に基づいていますが、免税点以下の場合にどのような事業者へ申告を求めるかについては、各自治体の条例などを確認する必要があります。

そのため、ある市で800平方メートル超なら申告が必要だったからといって、全国すべての課税団体でまったく同じ取扱いとは限りません。

全国に事業所を展開している企業では、所在地ごとに申告要件を確認することが重要です。

特に新しい都市へ事業所を開設した場合には、その自治体の事業所税に関する申告基準を確認しておく必要があります。

納税額ゼロだから放置するのは危険

企業の税務では、納税額が発生する税金が優先されがちです。

そのため、免税点以下で事業所税がゼロだと分かると、その時点で作業を終了してしまうことがあります。

しかし、事業所税ではその後に申告義務の確認が必要です。

税額の計算と申告義務の判定を二段階で行うと分かりやすくなります。

まず、床面積1000平方メートルと従業者100人という免税点によって納税義務を判定します。

次に、免税点以下だった場合でも、その自治体の条例などにより申告書の提出が必要かどうかを確認します。

税額ゼロという結論だけで手続きを終了しないことが重要です。

結論

事業所税は、免税点以下で税額がゼロであっても申告が必要になる場合があります。

資産割の免税点は事業所床面積1000平方メートル以下、従業者割の免税点は従業者数100人以下です。

しかし、自治体によっては事業所床面積が800平方メートルを超える場合や、従業者数が80人を超える場合などに、免税点以下でも申告を求めることがあります。

また、前年度に事業所税の納税義務があった事業者について、当年度に免税点以下となった場合でも申告が必要になることがあります。

重要なのは、税金が発生するかどうかと、申告書を提出する必要があるかどうかは別の問題だということです。

事業所税がゼロになった時点で手続きを終えるのではなく、所在地の自治体が定める申告要件まで確認する必要があります。

特に免税点に近い規模の事業所を持つ企業では、床面積や従業者数の変化だけでなく、税額ゼロの場合の申告義務についても毎年確認することが重要です。

参考

税のしるべ 2026年8月10日 事業所税の課税団体が減少、人口減で30万人以上の要件を満たせず

タイトルとURLをコピーしました