退職金は会社任せではもったいない 人生を左右する退職金制度の新常識

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

退職金は、定年退職のときに会社から受け取るもの。そのように考えている人は少なくありません。しかし、今では退職金制度は大きく変化しています。

企業型確定拠出年金(企業型DC)の普及やポイント制退職金制度の導入などにより、同じ会社で働いていても、受け取る金額は一人ひとり異なる時代になりました。

さらに、制度をよく理解して運用した人と、制度そのものを知らなかった人とでは、数千万円もの差が生まれるケースもあります。

今回は、人生100年時代だからこそ知っておきたい「退職金制度との付き合い方」について考えてみたいと思います。

退職金は「決まっているもの」ではなくなった

かつての退職金制度は、勤続年数と最終給与を基準として計算されることが一般的でした。

長く勤めれば退職金は自然に増え、同期であればほぼ同じ金額を受け取ることも珍しくありませんでした。

ところが現在は、企業の人事制度や働き方の変化により、こうした仕組みは大きく変わっています。

成果や役割をポイント化して積み上げる制度や、確定拠出年金を組み合わせた制度などが増えています。

つまり、「会社に任せておけば大丈夫」という時代ではなくなったのです。

企業型確定拠出年金は運用次第で結果が変わる

企業型確定拠出年金は、会社が掛金を拠出し、その資産を加入者自身が運用する制度です。

運用成果によって将来受け取る金額が変わるため、自分自身が資産運用の責任を持つことになります。

制度開始当初から株式や債券を組み合わせたバランス型投資信託で長期運用を続けてきた人の中には、当初想定を大きく上回る資産を築いたケースもあります。

一方で、元本確保型商品だけを選び続けたり、制度そのものを理解しないまま放置したりした人は、その恩恵を十分に受けられませんでした。

長期・積立・分散という資産運用の基本が、時間を味方につけた結果といえるでしょう。

制度を知らないことが最大のリスクになる

近年は、入社時にさまざまな制度説明が行われます。

しかし、新入社員の頃は退職金や老後資金に関心を持つ人は多くありません。

そのため、説明を受けたことすら忘れてしまっているケースもあります。

企業型確定拠出年金に加入していることを知らないまま長年過ごしてしまう人も決して珍しくありません。

制度は利用しなければ価値を生みません。

金融商品を選ぶ以前に、「自分はどの制度に加入しているのか」を知ることが最初の一歩になります。

選択制企業年金は将来とのバランスを考える

最近では「選択制企業年金」を導入する企業も増えています。

給与として受け取るか、企業年金として積み立てるかを社員自身が選択する制度です。

給与として受け取れば現在の手取りは増えます。

一方で、年金として積み立てれば税制上のメリットを受けながら老後資産を形成できます。

どちらが正解というものではありません。

住宅ローンや教育費など、ライフステージによって最適な選択は変わります。

重要なのは、目先の収入だけではなく、将来の生活設計まで見据えて判断することです。

退職金は受け取り方でも差が生まれる

退職金は「いくら受け取るか」だけではありません。

「いつ」「どのように」受け取るかによっても手取り額は変わります。

一時金として受け取る方法もあれば、年金形式で受け取る方法もあります。

また、公的年金の受給開始時期や、退職後も働き続けるかどうかによっても、資金計画は変わってきます。

税金や社会保険、生活費、資産運用などを総合的に考えながら設計することが大切です。

退職金は単なる退職時の収入ではなく、老後の生活基盤そのものだからです。

在職中から老後設計を始める時代へ

人生100年時代といわれる現在、60歳や65歳で仕事を終える人は少なくなっています。

働き方が多様化すれば、退職金の活用方法も多様化します。

退職金、企業年金、公的年金、NISA、iDeCoなどを別々に考えるのではなく、一つのライフプランとして設計することが重要です。

老後の安心は、退職日から考えるものではありません。

現役時代から制度を理解し、自分自身で選択を積み重ねることで、将来の安心につながっていきます。

結論

退職金制度は、かつてのように「会社が決めてくれるもの」から、「自分で理解し、自分で選択するもの」へと変わっています。

企業型確定拠出年金や選択制企業年金など、新しい制度は資産形成の大きなチャンスになる一方で、制度を知らなければその恩恵を受けることはできません。

退職金は人生最後の給与ともいえる大切な資産です。

だからこそ、「まだ先の話」と考えるのではなく、今のうちから勤務先の制度を確認し、自分自身の老後設計を見直すことが、後悔しない人生への第一歩になるのではないでしょうか。

参考

日本経済新聞 朝刊(2026年7月20日)
「多様性 私の視点〉退職金『知らなかった』避けよう」

タイトルとURLをコピーしました