令和9年度税制改正はどこへ向かうのか 今から押さえておきたい注目ポイント

税理士
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税制改正は毎年行われますが、その内容は突然決まるわけではありません。各省庁や与党が数か月にわたって制度の見直しを検討し、社会経済の変化や政策課題を踏まえながら翌年度の税制改正大綱へと反映されていきます。

令和9年度税制改正に向けても、各府省庁が租税特別措置の自己点検結果を公表し、制度の延長や廃止、見直しの方向性が明らかになり始めました。

現時点では正式な税制改正大綱は公表されていませんが、今後の議論を先読みすると、いくつかの重要なテーマが見えてきます。

今回は、令和9年度税制改正で注目すべきポイントについて考えてみます。

税制優遇は「効果」が問われる時代へ

これまでの税制改正では、新しい優遇制度の創設に注目が集まりがちでした。

しかし近年は、「制度を作ること」よりも「制度が成果を上げているか」が重視されるようになっています。

各府省庁による自己点検では、

・利用件数
・政策効果
・経済への影響
・費用対効果

などを客観的なデータで評価することが求められています。

今後は、効果が十分に確認できない制度については縮小や廃止が検討される一方、成果が認められる制度には重点的な支援が行われる可能性が高まっています。

中小企業支援は「成長重視」に変わる

中小企業向け税制も転換点を迎えています。

これまでは企業規模を基準とした支援が中心でしたが、今後は、

・生産性向上
・設備投資
・賃上げ
・人材育成
・DX推進

などに積極的に取り組む企業を重点的に支援する方向へ進むと考えられます。

「中小企業だから支援する」という考え方から、「成長への挑戦を後押しする」という考え方への転換が進むでしょう。

賃上げを促す税制はさらに重要になる

日本では少子高齢化による人手不足が深刻化しています。

そのため、税制も雇用政策と一体となった制度設計が求められています。

今後も、

・賃上げ促進税制
・人材投資促進策
・教育訓練への支援

などは重点政策として議論が続く可能性があります。

企業に対しては、「利益を上げるだけでなく、その成果を従業員へ還元すること」がこれまで以上に期待されるでしょう。

GX・DX関連税制は引き続き重点分野

政府が掲げる成長戦略の柱であるGX(グリーントランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)は、今後も税制改正の中心テーマとなる可能性があります。

例えば、

・省エネルギー投資
・脱炭素設備
・AI導入
・デジタル投資
・サイバーセキュリティ対策

などを後押しする税制措置は、企業の競争力向上と経済成長の両面から重要性が高まっています。

世界的な競争が激しさを増す中で、日本企業の投資を促進する仕組みは引き続き検討されるでしょう。

利用実績の少ない制度は見直しが進む

税制優遇制度は数多く存在しますが、すべてが十分に利用されているわけではありません。

利用件数が極端に少ない制度や、政策効果が確認できない制度については、

・適用期限の終了
・制度内容の縮小
・廃止

などが検討される可能性があります。

限られた財源を有効に活用するためにも、「必要な制度に重点配分する」という考え方は今後さらに強まるでしょう。

納税者にも「制度を選ぶ力」が求められる

税制が複雑になるほど、制度を理解し、自社や自分に適した制度を選択する力が重要になります。

税制優遇は申請しなければ適用されないものも多く、制度の内容を知らなければ恩恵を受けることはできません。

また、制度改正によって要件が変更されることも珍しくありません。

経営者や個人事業者、資産形成を行う個人にとっても、税制改正の動向を継続的に把握することが、将来の意思決定に大きく影響する時代になっています。

税制改正は日本経済の方向性を映す鏡

税制は単なる税金のルールではありません。

政府がどのような社会を目指し、どの分野に投資を促したいのかという政策メッセージでもあります。

令和9年度税制改正では、

・持続的な賃上げ
・中小企業の成長
・GX・DXへの投資
・税制優遇の効率化

といったテーマが中心になる可能性があります。

税制改正を読み解くことは、日本経済の将来像を理解することにもつながるのです。

結論

令和9年度税制改正は、新たな減税制度を創設するだけではなく、「限られた財源をどこに重点配分するか」という視点が一段と重視される改正になると考えられます。

中小企業支援、賃上げ促進、GX・DX投資など、成長につながる分野への支援は継続・強化される一方で、利用実績や政策効果が乏しい制度は見直しの対象となる可能性があります。

税制は社会や経済の変化を映す鏡です。正式な税制改正大綱が公表される前の段階から議論の方向性を把握しておくことで、制度改正への対応を早めることができます。今後の税制改正の動向にも、引き続き注目していきたいものです。

参考

税のしるべ
2026年7月13日
各省庁が租特の自己点検結果を公表、中小法人の軽減税率は「メリハリをつけた見直しを行う」

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