相続や不動産売買では、土地だけでなく建物についても登記事項証明書を確認します。
しかし、多くの方は所有者の名前だけを見て終わってしまいます。
実際には、建物登記簿には建物の種類や構造、床面積など、建物そのものに関する重要な情報が記録されています。
これらの情報は、相続税申告だけでなく、売買や建替え、融資などにも影響することがあります。
今回は、建物登記簿から読み取れる基本情報について解説します。
建物登記簿は建物の履歴書
建物登記簿は、その建物がどのような建物であるかを公的に記録した資料です。
人に例えるなら履歴書のような存在です。
どこに建っているのか。
どのような用途なのか。
どのような構造なのか。
どのくらいの広さなのか。
こうした情報が一つにまとめられています。
建物を正しく理解するためには、まず登記簿を確認することが基本になります。
建物の所在地と家屋番号を確認する
建物登記簿では、まず所在地と家屋番号を確認します。
家屋番号は住所とは異なります。
住所が同じでも、家屋番号は別になることがあります。
また、一つの敷地内に複数の建物がある場合には、それぞれ異なる家屋番号が付けられています。
建物を正確に特定するためには、家屋番号の確認が欠かせません。
建物の種類から用途が分かる
登記簿には建物の種類も記載されています。
例えば、
・居宅
・共同住宅
・店舗
・事務所
・倉庫
・工場
などです。
この種類によって、建物がどのような目的で利用されることを前提としているのかが分かります。
相続や売買では、現況と登記上の種類が一致しているかを確認することも重要です。
構造を見ると建物の特徴が分かる
建物登記簿には構造も記載されています。
例えば、
・木造
・鉄骨造
・鉄筋コンクリート造
・鉄骨鉄筋コンクリート造
などです。
さらに、
平屋なのか。
二階建てなのか。
屋根の種類は何か。
といった情報も記載されます。
建物の構造は、不動産評価や耐用年数、維持管理を考える際にも重要な情報になります。
床面積は相続税評価でも重要
建物登記簿には床面積も記載されています。
床面積は固定資産税評価や相続税評価などの基礎資料になります。
また、
増築を行ったにもかかわらず登記を変更していない場合には、実際の建物と登記内容が一致しないことがあります。
このようなケースでは、売却や融資の際に問題となることもあります。
建物を増改築した場合には、必要な登記手続きが行われているか確認することが大切です。
未登記建物には注意が必要
建物の中には、登記されていない未登記建物も存在します。
例えば、
古い物置。
離れ。
増築部分。
などが未登記となっているケースがあります。
固定資産税は課税されていても、登記されていない建物は意外に少なくありません。
相続の際には、このような未登記建物が後から見つかることもあります。
そのため、建物登記簿だけでなく、現地の状況も確認することが重要です。
税理士も建物登記簿を見る機会が多い
税理士は建物登記を行う専門家ではありません。
しかし、相続税申告では建物登記簿を確認する機会が数多くあります。
その際、
建物の種類。
構造。
床面積。
所在地。
などを把握しておくことで、固定資産税評価証明書など他の資料との照合もしやすくなります。
また、
登記内容と現況が一致しない。
未登記建物がある。
増築部分が反映されていない。
といった状況に気付いた場合には、土地家屋調査士への相談を勧めることも大切です。
専門家同士の連携が円滑な相続につながる
相続では、税務だけでなく登記や測量など、多くの専門分野が関係します。
建物についても、
税理士。
司法書士。
土地家屋調査士。
それぞれが異なる役割を担っています。
税理士が建物登記簿の基本的な内容を理解していれば、依頼者へ必要な専門家を適切なタイミングで紹介でき、手続き全体を円滑に進めることができます。
結論
建物登記簿には、所在地や家屋番号、種類、構造、床面積など、建物そのものに関する重要な情報が記録されています。
これらは相続や売買、建替えなど、さまざまな場面で確認が必要となる基本情報です。
税理士も建物登記簿の見方を理解しておくことで、不動産に関する相談への対応力が高まり、他士業との連携もより円滑になります。
建物登記簿を「所有者を確認するだけの資料」と考えるのではなく、「建物全体を理解するための資料」として活用することが、実務の質を高める第一歩になるでしょう。
参考
近畿税理士会「周辺専門講座 税理士が知っておくと損しない土地家屋調査士の業務【第2部】『公図と登記簿について』」