法人事業税の税額はどのように計算されるのか 税額計算編

税理士
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これまでのシリーズでは、外形標準課税の対象法人判定から付加価値額、資本割、分割基準まで解説してきました。

しかし、最終的に経営者や経理担当者が知りたいのは「いくら税金を払うのか」という点でしょう。

外形標準課税の申告書は複雑に見えますが、最終的には税率を掛けて税額を計算する仕組みです。

ただし、所得割、付加価値割、資本割という三つの税額をそれぞれ計算しなければなりません。

今回は法人事業税の税額計算の流れについて解説します。

法人事業税は三つの税金で構成される

外形標準課税対象法人の法人事業税は、一つの税金ではありません。

実際には次の三つの税額を合計して計算します。

所得割

付加価値割

資本割

です。

利益に対して課税される所得割。

事業活動の規模に対して課税される付加価値割。

資本規模に対して課税される資本割。

この三つを合算して法人事業税額が決まります。

所得割の計算方法

所得割は法人税の所得金額を基礎として計算します。

講義資料の事例では、

課税標準額

18億5,148万8,000円

となっています。

この金額に都道府県ごとの税率を掛けて税額を算出します。

利益課税の部分であるため、法人税の考え方に最も近い税目です。

ただし、分割基準によって都道府県ごとに按分される点が法人税との大きな違いです。

付加価値割の計算方法

付加価値割は付加価値額を課税標準として計算します。

講義資料では、

課税標準額

33億9,266万8,000円

となっています。

この金額に各都道府県の付加価値割税率を乗じて税額を算定します。

付加価値割は外形標準課税の中心的な税目であり、企業によっては所得割より大きな金額になることもあります。

資本割の計算方法

資本割は資本金等の額を課税標準として計算します。

講義資料では、

資本金等の額

49億円

が課税標準額となっています。

企業の利益や人件費に関係なく、資本規模そのものに対して課税されるのが特徴です。

そのため赤字企業であっても資本割は発生します。

都道府県ごとに税率が異なる

外形標準課税で重要なのは税率が全国一律ではないことです。

講義資料では、

大阪府

所得割1.18%

付加価値割1.26%

資本割0.525%

奈良県

所得割1.00%

付加価値割1.20%

資本割0.50%

となっています。

同じ課税標準額でも、どの都道府県へ配分されるかによって税額が変わることになります。

なぜ分割基準が重要なのか

税率の違いを見ると、分割基準が重要な理由が分かります。

例えば同じ100万円の課税標準額でも、

大阪府へ配分される場合

奈良県へ配分される場合

では税額が異なります。

そのため分割基準の計算を誤ると、税額全体にも影響が及びます。

単なる事務作業ではなく、税額を左右する重要な計算なのです。

特別法人事業税も続いて計算する

法人事業税の計算が終わっても申告は終わりません。

次に特別法人事業税を計算します。

講義資料では特別法人事業税率として260%が示されています。

これは法人事業税額を基礎として計算されます。

つまり法人事業税額が大きくなれば、特別法人事業税も大きくなります。

実務では両者を一体で考える必要があります。

税理士が注意すべきポイント

税額計算で重要なのは税率を掛ける作業ではありません。

課税標準額の正確性です。

所得

付加価値額

資本金等の額

分割基準

これらのどこかに誤りがあれば、最終税額も全て誤ってしまいます。

ベテラン税理士ほど税率より基礎データの確認に時間をかけます。

税額計算から見える外形標準課税の特徴

法人税は利益だけを基準に計算します。

しかし外形標準課税は違います。

利益

事業活動

資本規模

の三つを総合的に評価しています。

そのため赤字企業でも一定の税負担が発生します。

ここに外形標準課税の大きな特徴があります。

結論

法人事業税の税額は、所得割、付加価値割、資本割の三つを計算して合算することで求められます。

さらに都道府県ごとの税率や分割基準が関係するため、計算は複雑になります。

しかし本質は企業規模を多面的に評価する制度であるという点にあります。

外形標準課税を理解するためには、税率ではなく課税標準額がどのように作られるのかを理解することが重要です。

次回は、法人事業税と密接に関係する「特別法人事業税はなぜ存在するのか」について解説します。

参考

近畿税理士会「税法実務講座(法人税)事業税の外形標準課税対象法人の申告の基礎③ 外形標準課税対象法人の申告書作成の基礎」

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