税理士は申告書を作る人から人生設計を支援する人へ変わるのか 相談型税理士編

税理士
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税理士という職業に対して、多くの人は同じようなイメージを持っています。

決算書を作る人。

申告書を作る人。

税務署との窓口になる人。

もちろん、それは間違いではありません。

税理士法で定められた独占業務の中心は、税務代理、税務書類の作成、税務相談だからです。

しかし人生100年時代を迎えた今、税理士に求められる役割は大きく変わり始めています。

相続。

年金。

退職金。

認知症対策。

事業承継。

老後資金。

これらの問題は税金だけでは解決できません。

だからこそ、税理士は申告書を作る人から人生設計を支援する人へ変わりつつあるのではないでしょうか。

税務相談の中身が変わってきた

昔の税務相談は比較的シンプルでした。

法人税はいくらになるのか。

消費税はいくら納めるのか。

決算対策をどうするのか。

こうした相談が中心でした。

ところが現在は違います。

親が認知症になりそうだ。

年金はいつ受け取るべきか。

退職金をどう運用したらよいか。

相続で子どもたちが争わないようにしたい。

自宅を売却すべきか。

こうした相談が増えています。

相談者が求めているのは税額計算ではありません。

人生の選択に対する助言です。

人生100年時代は選択の時代

人生が60年だった時代と100年の時代では必要な知識が違います。

60歳で退職して数年後に人生を終える時代なら、老後設計は比較的単純でした。

しかし今は違います。

60歳から40年近い人生が残っています。

退職金をどう使うのか。

年金をどう受け取るのか。

資産をどう取り崩すのか。

介護にどう備えるのか。

相続をどう準備するのか。

誰もが複数の選択を迫られます。

しかも正解は人によって異なります。

だから相談相手が必要になるのです。

税理士はお金の流れを知っている

相談型税理士が注目される理由の一つは、税理士がお金の流れを最もよく知る専門家だからです。

収入を知っています。

資産を知っています。

借入金を知っています。

家族構成も把握しています。

事業の状況も理解しています。

つまり人生設計に必要な情報をすでに持っているのです。

例えば年金の繰下げを検討するとします。

その判断には、

生活費

金融資産

退職金

配偶者の年金

健康状態

相続意向

など多くの要素が関係します。

税理士はそれらを総合的に見ることができます。

申告書は目的ではなく結果になる

相談型税理士の考え方では、申告書はゴールではありません。

むしろ結果です。

本来の目的は相談者の人生課題を解決することです。

相続争いを防ぐ。

老後資金を長持ちさせる。

認知症リスクに備える。

事業承継を成功させる。

その結果として申告書が作成されます。

従来型の税理士が「申告書中心」だとすれば、相談型税理士は「人生課題中心」と言えるかもしれません。

AI時代に価値が高まる相談力

AIは税法を調べることができます。

申告書作成も支援できます。

制度比較もできます。

しかし、

この人の場合はどうか。

この家族の場合はどうか。

この価値観なら何を優先すべきか。

こうした判断は簡単ではありません。

人生には数字だけでは測れない要素があります。

だからAI時代になるほど相談力が重要になります。

知識よりも対話。

計算よりも助言。

処理よりも伴走。

税理士の価値はその方向へ移っていくでしょう。

他士業との連携が前提になる

相談型税理士は一人で全てを解決するわけではありません。

相続登記なら司法書士。

遺産分割なら弁護士。

不動産売買なら不動産会社。

保険ならFP。

介護ならケアマネジャー。

それぞれ専門家がいます。

税理士の役割は、その中心で全体を見渡すことです。

いわば人生設計のコーディネーターです。

だから今後は専門知識だけでなく、ネットワークの価値も高まっていくでしょう。

人生後半戦の最大のテーマ

人生後半戦の最大のテーマは、お金そのものではありません。

安心です。

年金だけで大丈夫だろうか。

認知症になったらどうしようか。

子どもに迷惑をかけたくない。

相続で争ってほしくない。

こうした不安を抱える人は少なくありません。

相談型税理士は税金を計算するだけではなく、その不安を整理し、将来への見通しを示す役割を担います。

これは従来の税理士像とは少し違います。

しかし人生100年時代には必要とされる役割だと思います。

結論

税理士の仕事は申告書作成から始まりました。

しかし人生100年時代を迎えた今、その役割は大きく広がっています。

相続、年金、退職金、認知症対策、事業承継など、人生後半戦の課題は複雑化しています。

その中で税理士に求められるのは、税金の専門家であると同時に、人生設計を支援する伴走者としての役割です。

AIによって申告業務が効率化されるほど、人に寄り添う相談力の価値は高まります。

これからの税理士は、申告書を作る人から人生設計を支援する人へ変わっていくのかもしれません。

参考

税のしるべ 2026年6月15日

インタビュー等「私が見た 税を巡る 点と線」

本郷尚氏に過去のエピソード、資産税関係の最近の動向を聞く、貸付用不動産の相続税評価額の改正は根本的な問題に触れず

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