電子帳簿保存法への対応では、「電子データを保存しなければならない」ことは広く知られるようになりました。しかし、意外と知られていないのが「いつまで保存すればよいのか」という保存期間です。
電子データは容量が小さいため、「ずっと保存しておけばよい」と考える人もいます。一方で、スマートフォンやパソコンは数年ごとに買い替えることが多く、保存期間を意識しないままデータを失ってしまうケースもあります。
電子帳簿保存法では、保存期間は法人税法や所得税法など各税法の帳簿書類の保存期間と連動しています。今回は、保存期間の基本的な考え方を整理します。
電子帳簿保存法だけで保存期間が決まるわけではない
電子帳簿保存法は、「どのように保存するか」を定めた法律です。
一方、「何年間保存するか」は、法人税法や所得税法、消費税法などの各税法で定められています。
つまり、電子帳簿保存法だけを見ても保存期間は分かりません。
各税法の保存義務を、電子データでも同じように守ることが求められています。
法人の保存期間は原則7年
法人の場合、帳簿や書類の保存期間は原則として7年間です。
電子取引で受け取った請求書や領収書なども、この保存期間に従って電子データのまま保存しなければなりません。
法人によっては、税務上の事情からさらに長期間の保存が必要になる場合もありますが、多くの企業では「まず7年間」と覚えておくと理解しやすいでしょう。
重要なのは、紙に印刷して保存するのではなく、電子データそのものを保存することです。
個人事業主も原則7年間が基本
個人事業主についても、青色申告を行っている場合は、帳簿や書類について原則7年間の保存が必要になります。
電子取引で受領したデータも同様です。
最近では、
- クラウド会計ソフト
- キャッシュレス決済
- ECサイト
- ネットバンキング
などを利用する個人事業主が増えています。
そのため、電子取引データの保存は法人だけではなく、個人事業主にとっても日常業務の一部になっています。
消費税の仕入税額控除とも深く関係する
電子データの保存は、法人税や所得税だけの問題ではありません。
消費税の仕入税額控除を受けるためにも、請求書や領収書などを適切に保存することが必要です。
インボイス制度が始まってからは、保存している電子データが適格請求書となるケースも増えています。
保存方法に問題があると、税務調査で確認を受ける可能性もあります。
電子帳簿保存法への対応は、消費税実務とも切り離せない関係にあります。
保存終了時期を勘違いしない
保存期間は「受け取った日」だけで判断するものではありません。
税法では事業年度や申告期限との関係で保存期間が決まるため、「7年経過したからすぐ削除してよい」と考えるのは早計です。
年度ごとに保存期間を管理し、保存期限を迎えるまでは適切な状態で保管する必要があります。
保存期間を誤ってデータを削除すると、後から復元できないケースもあるため注意が必要です。
機器の買い替えも考慮する
電子データの保存期間は5年から7年以上になることが一般的です。
しかし、
- パソコン
- スマートフォン
- タブレット
などの利用期間は、それより短い場合が少なくありません。
機器を買い替える際には、
- データを新しい機器へ移行する
- クラウドストレージへ保存する
- 保存要件を満たしたシステムで管理する
などの対応が必要になります。
保存期間だけでなく、「保存し続けられる環境」を整えることも重要な実務です。
結論
電子帳簿保存法では、電子データの保存期間は法人税法や所得税法など各税法の保存期間に合わせることが基本です。法人も個人事業主も、原則として7年間の保存が必要となるケースが多く、電子取引データも例外ではありません。
また、保存期間中はデータを適切な状態で維持することが求められます。パソコンやスマートフォンの買い替えを見据えたデータ管理や、クラウドサービスの活用も含め、長期間にわたり安全に保存できる体制を整えることが、電子帳簿保存法への適切な対応につながるでしょう。
参考
税のしるべ
2026年7月27日
電子帳簿保存法Q&Aを更新、7年度改正を踏まえ電子取引関係は10問追加