金融教育は投資より先に借金を教えるべきなのか リテラシー編

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新NISAのスタート以降、投資への関心が高まっています。

学校でも金融教育が始まり、「資産形成」という言葉を耳にする機会が増えました。

投資信託や株式投資を学ぶことはもちろん重要です。しかし、その前に学ぶべきことがあるのではないでしょうか。

それが「借金」と「信用」の仕組みです。

どれだけ投資で資産を増やしても、借金との付き合い方を理解していなければ、お金の問題から自由になることはできません。

今回は、金融教育においてなぜ投資より先に借金を学ぶべきなのかを考えてみます。

投資教育が注目される時代

現在の金融教育では、資産形成が重要なテーマになっています。

背景には、

・老後資金への不安

・年金制度への関心

・新NISAの普及

・インフレの進行

があります。

銀行預金だけでは資産が増えにくい時代になり、若いうちから投資を学ぶ重要性は確かに高まっています。

しかし投資はあくまでお金を増やす技術です。

その前提となるお金の管理能力がなければ、投資も十分な効果を発揮しません。

借金は人生で最も身近な金融商品

多くの人は投資をしなくても人生を送れます。

しかし借金を全く利用しない人は少数派です。

住宅ローン

教育ローン

自動車ローン

クレジットカード

携帯電話の分割払い

後払い決済

私たちは日常生活の中で様々な信用取引を利用しています。

つまり借金は特別なものではなく、人生で最も身近な金融商品なのです。

それにもかかわらず、借金の仕組みを体系的に学ぶ機会は決して多くありません。

「信用」を理解することがお金の第一歩

金融教育で最初に教えるべきなのは投資ではなく信用です。

信用とは、

「今お金がなくても将来支払うことを約束して利用する権利」

です。

クレジットカードも住宅ローンも後払い決済も、本質的には信用を利用しています。

信用を失えば、

・ローンが組めない

・クレジットカードが作れない

・賃貸契約が難しくなる

場合もあります。

現代社会では信用そのものが資産になっています。

投資商品を選ぶ前に、自分の信用を守ることの重要性を学ぶ必要があります。

なぜ若者は借金を認識しにくいのか

現在の若者は現金よりスマホ決済に慣れています。

後払い決済やサブスクリプションも日常的です。

そのため、

「借りる」

という行為が見えにくくなっています。

例えば、

スマホで洋服を注文する

翌月まとめて支払う

携帯料金と一緒に請求される

この流れの中で、自分が信用を利用している意識はほとんどありません。

しかし本質的には借金と同じです。

金融教育は、この見えない信用取引を見える化する役割を持つべきです。

投資で失うお金には限界がある

投資にはリスクがあります。

しかし長期分散投資であれば、失う金額には一定の限界があります。

一方で借金には利息があります。

高金利の借入を続ければ、元本以上の負担を抱えることがあります。

投資で年5%増やすことより、

借金の金利15%を払わないことの方が、

家計への効果は大きい場合があります。

お金を増やす前に、お金が減る仕組みを理解することが重要なのです。

金融教育の本当の順番

金融教育には順番があります。

第一段階は家計管理です。

収入と支出を把握する。

第二段階は信用管理です。

借金やローンの仕組みを理解する。

第三段階が資産形成です。

投資や運用を学ぶ。

ところが現代では、第三段階だけが注目される傾向があります。

投資だけを学んでも、お金の土台ができていなければ長続きしません。

金融リテラシーとは投資の知識ではなく、お金全体を管理する力なのです。

家庭で伝えたいお金の教養

親世代が子どもに伝えるべきことは、

「どの株が上がるか」

ではありません。

まず伝えるべきなのは、

・借金の意味

・利息の怖さ

・信用の価値

・契約の責任

です。

これらを理解した上で投資を学ぶからこそ、健全な資産形成につながります。

金融教育とは、お金を増やす方法を教えることではなく、お金との正しい付き合い方を教えることなのです。

結論

金融教育は投資より先に借金を教えるべきです。なぜなら、多くの人にとって借金や信用は投資よりも先に関わる金融サービスだからです。

現代は後払い決済やスマホ決済によって借金が見えにくくなっています。しかし信用を利用しているという本質は変わりません。信用の仕組みを理解し、自分の信用を守る力を身につけることが金融リテラシーの土台になります。

投資はお金を増やす技術です。しかし借金と信用を理解することは、お金を失わないための知恵です。金融教育の出発点は、まずこの知恵を学ぶことにあるのではないでしょうか。

参考

日本経済新聞 朝刊 2026年6月20日

<家計の法律クリニック>後払い決済、法規制なし

弁護士 志賀剛一氏

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