非上場株式の相続税評価では、すべての会社が同じ方法で評価されるわけではありません。会社の規模や事業内容、資産の構成などによって評価方法が異なります。
その中でも重要なのが「特定の評価会社」という区分です。
特定の評価会社に該当すると、通常の会社とは異なる評価方法が適用されることがあり、自社株の評価額に大きな影響を与えます。近年、資産管理会社を利用した相続対策が注目される中、この区分の重要性はますます高まっています。
今回は、特定の評価会社とは何か、中会社・大会社との違い、判定基準や実務上の注意点について解説します。
特定の評価会社とは
特定の評価会社とは、一般的な事業会社とは異なる性質を持つ会社として、財産評価基本通達で特別な評価方法が定められている会社をいいます。
代表的なものには、次のような会社があります。
- 資産保有型会社
- 資産運用型会社
- 開業後間もない会社
- 清算中の会社
- 株式保有割合などに特徴がある会社
これらの会社は通常の事業会社とは資産構成や事業実態が異なるため、一般的な評価方法では適正な株価を算定できない場合があります。
そのため、特別な評価ルールが設けられています。
中会社・大会社との違い
非上場株式の評価では、会社規模も重要な判断要素です。
会社規模は一般的に、
- 大会社
- 中会社
- 小会社
に区分されます。
大会社では類似業種比準方式が中心となるケースが多く、中会社では類似業種比準方式と純資産価額方式を組み合わせた併用方式が採用されます。
一方、小会社では純資産価額方式の割合が大きくなる場合があります。
しかし、会社規模が大会社や中会社であっても、資産保有型会社などの特定の評価会社に該当すれば、通常とは異なる評価方法が適用されることがあります。
つまり、会社規模だけでは評価方法は決まらず、会社の実態も重要になるのです。
判定基準は資産構成などで決まる
特定の評価会社に該当するかどうかは、会社が保有する資産や事業内容などを総合的に判断して決まります。
例えば、総資産の大半が賃貸用不動産や有価証券で占められている会社は、資産保有型会社に該当する可能性があります。
また、事業収入よりも資産運用収入の割合が高い会社も、特定の評価会社として扱われる場合があります。
この判定によって適用される評価方式が変わるため、自社株評価額も大きく変動することがあります。
実務上の注意点
特定の評価会社に該当するかどうかは、相続税額や贈与税額に大きな影響を及ぼします。
そのため、会社の資産構成を変更したり、不動産を取得したりする場合には、自社株評価への影響もあわせて確認することが重要です。
近年では、資産管理会社が貸付用不動産を取得し、株式評価額を引き下げるスキームが問題視されています。
こうした背景から、国税庁は取引相場のない株式の評価方法について見直しを進めています。
今後は、特定の評価会社に関する評価ルールにも影響が及ぶ可能性があるため、制度改正の動向を注視する必要があります。
事業承継では事前確認が欠かせない
事業承継では、自社株評価が後継者の税負担を左右します。
会社が特定の評価会社に該当するかどうかを事前に把握しておくことで、将来の相続税負担をより正確に見積もることができます。
また、会社の事業内容や資産構成は経営判断によって変化するため、一度判定したら終わりではありません。
設備投資や不動産取得、資産売却などを行う際には、自社株評価への影響もあわせて確認することが望まれます。
結論
特定の評価会社とは、一般的な事業会社とは異なる特徴を持つ会社として、特別な株式評価方法が適用される会社です。
会社規模だけでなく、資産構成や事業内容なども評価方法を決める重要な要素となります。
近年は、資産管理会社を利用した相続税対策への対応として、非上場株式の評価方法の見直しが進められています。
事業承継や相続対策を検討する際には、自社が特定の評価会社に該当するかどうかを確認するとともに、今後の制度改正の動向にも注意を払うことが重要です。
参考
税のしるべ
2026年8月3日
「法人が不動産を購入した後の株式の評価方法を見直しへ、『3年しばり』に短いの声」