普通分配金とは何か 投資信託から5万円受け取ると全額に税金がかかる理由編

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

投資信託から分配金として5万円を受け取った場合、その5万円すべてに税金がかかることがあります。

一方、投資信託を自分で5万円分解約した場合には、5万円すべてに税金がかかるわけではありません。

同じ投資信託から同じ5万円を受け取っているのに、なぜ税金の扱いが違うのでしょうか。

その仕組みを理解するために重要なのが、普通分配金です。

普通分配金とは何か

投資信託では、決算時に運用成果などをもとに投資家へ分配金が支払われることがあります。

ただし、投資家が受け取る分配金は税制上すべて同じ扱いになるわけではありません。

大きく分けると、普通分配金と特別分配金があります。

普通分配金とは、投資家にとって利益に相当する分配金です。

これに対して特別分配金は元本払戻金とも呼ばれ、自分が投資した元本の一部が戻ってきたものとして扱われます。

普通分配金は利益なので課税されます。

特別分配金は元本の払い戻しなので課税されません。

同じ5万円の分配金でも、それが普通分配金なのか特別分配金なのかによって税金が変わるわけです。

普通分配金は運用益から受け取るお金

例えば、100万円で購入した投資信託が値上がりし、資産価値が110万円になったとします。

投資家から見ると10万円の含み益が発生している状態です。

この投資信託から5万円の分配金が支払われ、その5万円が投資家にとって利益に当たる普通分配金だったとします。

この場合、5万円は課税対象になります。

投資信託の中で発生していた利益の一部を、現金として投資家が受け取ったと考えると分かりやすいでしょう。

投資信託の中に利益があるだけなら、通常、その含み益だけを理由に毎年税金を支払うわけではありません。

ところが普通分配金として外へ出てくると、その時点で課税されます。

ここが長期運用を考えるうえで重要なポイントになります。

普通分配金には約20パーセントの税金がかかる

公募株式投資信託の普通分配金には、原則として所得税と住民税が課税されます。

税率は復興特別所得税を含めて20.315パーセントです。

例えば普通分配金として5万円を受け取る場合を考えてみます。

5万円に20.315パーセントを掛けると、税額は約1万158円です。

したがって手取り額は約3万9842円になります。

約5万円を受け取ったつもりでも、課税口座では約4万円しか手元に残らないわけです。

毎月5万円の普通分配金を受け取れば、年間では60万円になります。

単純計算では、その約20パーセントに相当する税金が毎年差し引かれていくことになります。

長期間続けば、税金を支払うタイミングの違いが資産形成にも影響します。

普通分配金は税制上配当所得になる

公募株式投資信託の普通分配金は、税制上は原則として配当所得として扱われます。

株式を保有して会社から受け取る配当金と似た位置付けです。

投資信託を保有していることで受け取った収益の分配だからです。

一方、投資信託そのものを売却した場合に生じる利益は、基本的に譲渡所得等として扱われます。

ここで、

分配金を受け取る

投資信託を売却する

という二つの行為の違いが税金にも表れます。

どちらも最終的な税率は原則20.315パーセントですが、課税対象となる金額の考え方が違います。

5万円の普通分配金なら5万円が課税対象になる

例えば投資信託から5万円の普通分配金を受け取ったとします。

この場合、基本的には5万円全体が利益として扱われます。

元本部分と利益部分を分けて、利益部分だけに税金をかけるという計算ではありません。

普通分配金として判定された5万円そのものが課税対象です。

これが、自分で投資信託を一部解約する場合との大きな違いです。

同じ5万円を手元に移しても、解約の場合には別の計算になります。

解約した5万円は全部が利益ではない

例えば100万円で購入した投資信託が110万円になったとします。

資産の中身を単純化すると、

元本100万円

利益10万円

合計110万円

という状態です。

ここから5万円分を解約したとします。

この5万円すべてが利益というわけではありません。

110万円の資産の中には、元本100万円と利益10万円が混在しています。

したがって、売却した部分について取得価額と売却価額を比較し、そこから生じた利益部分が課税対象になります。

5万円を受け取ったから5万円に20.315パーセントの税金がかかる、という仕組みではないのです。

分配金と解約では課税されるタイミングが違う

普通分配金と解約の違いを理解すると、毎月分配型投資信託が税制上不利になりやすい理由も見えてきます。

普通分配金として利益を受け取れば、その都度課税されます。

一方、投資信託の中に利益を残しておけば、その利益に対する課税を将来の売却時まで繰り延べられる場合があります。

例えば投資信託の中で5万円の利益が発生しても、それを分配せず運用に残せば、その5万円も引き続き運用できます。

5万円を普通分配金として受け取れば、税金が差し引かれます。

つまり、運用に回せる資金もその分だけ少なくなります。

長期投資では、この違いが複利効果にも影響してきます。

税率が同じでも税負担が同じとは限らない

ここで重要なのは、普通分配金と解約益の税率だけを比較しないことです。

どちらも原則20.315パーセントだから同じだと思うかもしれません。

しかし重要なのは、

何円に対して20.315パーセントがかかるのか

という点です。

普通分配金5万円なら、その5万円が課税対象になります。

一方、5万円分を解約した場合には、その売却部分の利益が課税対象になります。

同じ5万円を受け取る行為でも、課税対象となる金額が違う可能性があります。

そのため、毎月一定額の生活費を投資信託から取り出したい場合には、分配金として受け取る方法だけでなく、自分で必要額を解約する方法も比較する必要があります。

分配金が多いほど優秀な投資信託とは限らない

投資信託を選ぶときに、毎月5万円の分配金がもらえると聞くと魅力的に感じるかもしれません。

しかし分配金は、銀行預金の利息のように投資元本とは別の場所から生まれてくるお金ではありません。

投資信託が保有している資産の一部を投資家へ払い出しています。

そのため分配金を出せば、原則としてその分だけ投資信託の基準価額を押し下げる要因になります。

さらに普通分配金なら課税も発生します。

投資信託を評価するときは、分配金の金額だけではなく、分配金と基準価額の変化を合わせたトータルリターンを見ることが重要です。

結論

普通分配金とは、投資信託から支払われる分配金のうち、投資家にとって利益に当たる部分です。

公募株式投資信託の普通分配金は原則として配当所得として扱われ、20.315パーセントの税金がかかります。

5万円が普通分配金として支払われれば、基本的には5万円全体が課税対象になります。

これに対して投資信託を自分で5万円分解約した場合には、5万円すべてが利益になるわけではありません。

取得価額と売却価額から計算した利益部分が課税対象になります。

同じ投資信託から同じ金額のお金を取り出しても、分配金として受け取るのか、自分で解約するのかによって課税の仕組みが違うのです。

毎月分配型投資信託を考えるときには、分配金がいくらもらえるかだけではなく、そのうちいくらが課税され、運用資産にいくら残るのかまで確認することが重要です。

参考

日本経済新聞 2026年9月1日朝刊 毎月分配型、税に落とし穴

タイトルとURLをコピーしました