時短勤務とパートは何が違うのか 1日6時間働いても雇用区分が同じとは限らない理由編

人生100年時代
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1日6時間働いている人が2人いたとします。

一人は時短勤務を利用している正社員、もう一人はパートです。

勤務時間だけを見ると、同じ働き方に見えるかもしれません。

しかし、労働時間が同じだからといって、雇用上の位置付けまで同じとは限りません。

時短勤務は、正社員などとして働く人が所定労働時間を短くして働く仕組みです。

一方、パートは、同じ事業主に雇用される通常の労働者と比べて、1週間の所定労働時間が短い労働者を指す法律上の考え方があります。

つまり、「何時間働いているか」と「会社でどのような雇用区分に位置付けられているか」は、分けて考える必要があります。

雇用契約の違い

例えば、ある会社のフルタイム正社員が、

1日8時間

週5日

働いているとします。

Aさんはもともとこの会社の正社員でした。

子どもが生まれ、育児との両立のために時短勤務を利用し、

1日6時間

週5日

へ変更しました。

一方、Bさんは最初からパートとして、

1日6時間

週5日

の契約で採用されました。

現在の労働時間は、AさんもBさんも1日6時間です。

しかしAさんは正社員として時短勤務を利用しています。

Bさんはパートとして雇用されています。

同じ6時間勤務でも、会社の人事制度上の位置付けが異なるわけです。

時短勤務するとパートになるわけではない

時短勤務について誤解されやすいのが、

勤務時間を短くすると正社員ではなくなる

という考え方です。

例えば育児のために8時間勤務から6時間勤務へ変更しても、それだけで正社員からパートへ変わるわけではありません。

正社員としての雇用関係を維持しながら、勤務時間だけを短くすることができます。

この違いは非常に重要です。

もし、

8時間働けなければ正社員ではいられない

という制度しかなければ、育児や介護によって長時間働けなくなった社員は、

パートへ転換する

退職する

という選択を迫られる可能性があります。

時短勤務制度があれば、正社員としてのキャリアを継続しながら、一定期間、労働時間を短くできます。

パートとは何か

一般には「パート」という言葉から、

主婦が短い時間だけ働く仕事

補助的な仕事

時給で働く人

といったイメージを持つことがあります。

しかし、法律上の考え方は必ずしもそうではありません。

パートタイム労働者かどうかを考えるうえでは、同じ事業主に雇用される通常の労働者と比べて、1週間の所定労働時間が短いかどうかが重要になります。

そのため、

仕事内容が高度だからパートではない

月給制だからパートではない

長期間働いているからパートではない

とは単純にはいえません。

一方で、会社の人事制度上は「パート」「パート社員」など独自の名称を使用している場合もあります。

法律上の考え方と会社内の呼び方を分けて確認する必要があります。

正社員としての位置付けが重要になる

時短勤務を利用している正社員の場合、勤務時間が短くなっても、会社の正社員人事制度の中に位置付けられていることがあります。

例えば、

職能資格

役職

昇進

人事評価

配置転換

教育研修

などについて、正社員として制度の対象になります。

もちろん、具体的な制度は会社によって異なります。

しかし、

勤務時間が6時間だから正社員としてのキャリアから外れる

というものではありません。

ここが時短勤務とパートを考えるときの大きな違いになります。

パートでも重要な仕事を担当できる

一方で注意したいのは、

正社員は重要な仕事

パートは簡単な仕事

と決めつけることです。

実際にはパートであっても、経験や能力を生かして専門的な仕事を担当している人はいます。

長期間勤務し、職場の業務を正社員以上に理解しているケースもあります。

また、同一労働同一賃金の考え方からも、雇用区分の名称だけを理由として不合理な待遇差を設けてよいわけではありません。

したがって、

正社員だから能力が高い

パートだから能力が低い

という関係ではありません。

重要なのは、雇用区分と本人の能力を混同しないことです。

賃金はどう違うのか

時短勤務をすると、勤務時間が短くなった分だけ賃金が減ることがあります。

例えば、1日8時間勤務から6時間勤務になれば、基本給について労働時間に応じて減額する制度を設けている会社があります。

8時間から6時間なら、勤務時間は75パーセントになります。

仮に時間比例で考える制度なら、

フルタイム時の基本給30万円

時短勤務時の基本給22万5000円

という考え方もできます。

ただし、実際の計算方法は会社の就業規則や賃金規程などによって異なります。

一方、パートでは時給制が採用されるケースが多く、

時給掛ける労働時間

で賃金が決まることがあります。

ただし、パートだから必ず時給制というわけでもありません。

月給制のパートもあり得ます。

賞与はどうなるのか

賞与についても、

正社員なら必ず支給される

パートなら支給されない

と一律に決まっているわけではありません。

会社の賞与制度によって異なります。

時短勤務の正社員については、

勤務時間

人事評価

会社業績

算定対象期間

などを考慮して賞与額を決める場合があります。

パートについても、会社の制度によって賞与が支給される場合があります。

したがって重要なのは、

正社員かパートか

だけを見ることではありません。

就業規則や賃金規程などで、

基本給

手当

賞与

退職金

がどのように決められているかを確認する必要があります。

キャリア形成にも違いが生まれる

時短勤務とパートの違いを考えるとき、賃金と同じくらい重要なのがキャリアです。

例えば正社員向けに、

管理職候補研修

専門職研修

海外研修

資格取得支援

配置転換

などの制度が用意されている会社があります。

時短勤務を利用している正社員についても、こうしたキャリア形成の対象として扱うことが重要です。

ところが、

時短勤務だから重要な仕事は任せない

研修には参加させない

管理職候補から外す

という運用をすると、本人のキャリアが停滞する可能性があります。

時短勤務が単なる労働時間の短縮ではなく、キャリア形成の問題にもつながる理由です。

パートから正社員になる道もある

逆の方向もあります。

パートとして働いている人が経験を積み、正社員へ転換するケースです。

しかし、ここで問題になることがあります。

会社の正社員制度が、

1日8時間勤務

を前提としている場合です。

本人には正社員になる能力も意欲もある。

会社も正社員になってほしい。

それでも育児や介護によって8時間勤務ができないため、パートのままというケースが考えられます。

ここで短時間正社員という仕組みを用意すれば、

1日6時間のまま正社員になる

という選択肢を作ることができます。

勤務時間を増やすこととキャリアアップを必ずしもセットにする必要がなくなるのです。

働いた時間だけで人材を分類しない

これまで日本の職場では、

長時間働ける人は正社員

短時間しか働けない人はパート

という分け方が行われることがありました。

しかし、人手不足が進むなかでは、この考え方が企業の人材確保を難しくする可能性があります。

例えば、

1日6時間しか働けないが高度な専門知識を持つ人

1日5時間なら非常に高い成果を出せる人

育児中だが管理職経験を持つ人

などもいます。

勤務時間の長さと能力は別の問題です。

短時間で働くことだけを理由として、補助的な人材と考える必要はありません。

時短勤務がキャリアの中断にならないことが重要

育児などで時短勤務を利用する期間は、長い職業人生から見れば一時期にすぎない場合があります。

例えば30代で数年間、時短勤務を利用したとしても、その後20年、30年と働く可能性があります。

その数年間に、

重要な仕事から外す

昇進候補から外す

能力開発の機会を与えない

という扱いをすれば、長期的な人材育成にも影響します。

会社にとっても損失です。

時短勤務は、

キャリアを止める制度

ではなく、

キャリアを続けながら一時的に働く時間を調整する制度

として考えることが重要になります。

結論

時短勤務とパートは、どちらも短い時間で働くため、外から見ると似ています。

しかし、1日6時間働いているからといって、同じ雇用区分とは限りません。

正社員が育児などのために勤務時間を8時間から6時間へ短縮しても、それだけでパートになるわけではありません。

正社員としての雇用関係を維持しながら、短時間で働くことができます。

一方、パートは通常の労働者より所定労働時間が短い働き方として位置付けられますが、仕事内容や能力が低いことを意味するものではありません。

これから重要になるのは、

何時間働いているか

だけで人材の価値やキャリアを決めないことです。

6時間勤務でも重要な仕事を担当できます。

短時間でも高い成果を出すことはできます。

人手不足が進む日本では、勤務時間の長さと人材の能力を切り離して考えることが、企業の人材活用にとってますます重要になるでしょう。

参考

日本経済新聞 2026年8月31日朝刊 「時短」勤務者は重要な戦力 人員確保に効果 管理職の意識変わる

日本経済新聞 2026年8月31日朝刊 シフトを選べる企業も

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