令和8年10月から消費税実務は何が変わるのか 事業者が確認したい改正項目総まとめ編

税理士
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令和8年度税制改正では、消費税について複数の見直しが行われます。

なかでも実務上の大きな節目となるのが、令和8年10月1日です。

インボイス制度では免税事業者などからの仕入れに関する経過措置が次の段階へ進みます。

さらに、輸出代金を現金などで受け取る一定の取引では輸出免税の証明要件が厳しくなり、非居住者に対する国内不動産の仲介についても課税関係が変わります。

それぞれ別々の改正に見えますが、事業者にとっては同じ時期に経理や契約、証憑管理を見直す必要があります。

令和8年10月から何が変わるのかを整理しておきましょう。

インボイスの経過措置が次の段階へ進む

インボイス制度では、適格請求書発行事業者以外の事業者から課税仕入れを行った場合、原則として仕入税額控除を受けることができません。

ただし、制度開始による急激な影響を緩和するため、一定期間は仕入税額の一部を控除できる経過措置が設けられています。

令和8年度税制改正では、この経過措置が延長される一方、控除できる割合が段階的に縮小されます。

免税事業者などとの取引を続けている企業では、仕入先がインボイス発行事業者かどうかによって自社の消費税負担が変わるため、今後の控除割合を確認しておく必要があります。

仕入先ごとの管理がさらに重要になる

経過措置では、単に仕入総額を見るだけでは足りません。

誰から仕入れたのかという取引先単位の管理が重要になります。

令和8年10月1日以後に開始する課税期間からは、適格請求書発行事業者以外の1つの事業者から行った課税仕入れについて、経過措置を適用できる金額の上限が年間10億円から1億円へ引き下げられます。

大企業などが特定の免税事業者から多額の仕入れを行っている場合には、影響が大きくなる可能性があります。

会計システムでも、仕入先別に対象額を集計できる体制が必要になります。

現金による輸出取引の証明が厳しくなる

輸出取引にも令和8年10月1日から重要な変更があります。

輸出代金を現金で受け取る場合など、取引相手から代金を受領したことが明確ではない一定の取引について、輸出免税の証明要件が強化されます。

従来の輸出許可書などに加えて、輸出先国で商品が輸入されたことを示す輸入許可書に相当する書類などの保存が必要になります。

日本から商品が出たことだけでなく、海外側で実際に輸入されたことまで確認する仕組みです。

銀行振込なら取扱いが異なる

今回の輸出免税の見直しは、すべての輸出取引について証明書類を一律に増やすものではありません。

銀行振込などによって取引相手から代金を受領したことを明確に確認できる場合には、追加的な証明要件の対象とはなりません。

荷為替手形など、支払者を確認できる一定の決済方法についても同様です。

重要なのは、現金か銀行振込かという名称だけではありません。

誰から代金を受け取ったのかを客観的に確認できるかどうかです。

輸出企業では、税務上の証明という観点から決済方法そのものを見直す必要が出てくる可能性があります。

国内不動産仲介の輸出免税も変わる

非居住者向けサービスにも大きな変更があります。

これまで、海外在住のオーナーから依頼を受け、日本国内の不動産について売却などを仲介した場合、一定の要件を満たせば仲介手数料が輸出免税になるケースがありました。

令和8年10月1日以後は、国内に所在する不動産の売買、交換、貸付けに関する一定の代理や仲介について、非居住者向けであっても輸出免税の対象から除外されます。

相手が海外にいるかどうかだけではなく、サービスの対象となる不動産が国内にあることを重視する取扱いへ変わります。

不動産会社は契約書と料金表示も確認する

国内不動産の仲介が輸出免税から課税へ変われば、影響するのは税務申告だけではありません。

これまで税抜き300万円としていた仲介手数料について、改正後に消費税をどのように請求するのかという問題が生じます。

契約金額が税込みなのか税抜きなのかによって、不動産会社の実質的な収入にも影響する可能性があります。

海外投資家を顧客としている不動産会社では、契約書、見積書、請求書、会計処理をまとめて見直す必要があります。

令和8年3月31日以前の契約には経過措置がある

国内不動産の仲介に関する改正では、契約時期にも注意が必要です。

令和8年3月31日までに締結された一定の契約に基づく取引については、従来の取扱いが適用され、要件を満たせば輸出免税となる場合があります。

したがって、令和8年10月1日以後に仲介業務を行ったという事実だけで、新制度を機械的に適用することはできません。

契約締結日を確認し、経過措置の対象になるかを判断する必要があります。

長期間にわたる不動産取引では特に注意したい点です。

同じ10月改正でも適用条件は異なる

令和8年10月には複数の消費税改正が重なりますが、すべてが同じ条件で始まるわけではありません。

例えば、輸出免税や国内不動産仲介の見直しでは、令和8年10月1日以後の取引かどうかが重要になります。

一方、免税事業者などからの仕入れに関する1億円の上限については、令和8年10月1日以後に開始する課税期間かどうかがポイントになります。

同じ施行日が示されていても、取引日を見るのか、課税期間の開始日を見るのかは制度によって異なります。

この違いを確認することが実務では重要です。

事業者ごとに影響する改正は違う

令和8年10月改正のすべてが、すべての事業者に影響するわけではありません。

免税事業者などから仕入れを行っている企業では、インボイス経過措置が重要です。

輸出企業では、代金の受取方法と輸出免税の証明書類を確認する必要があります。

海外投資家を顧客に持つ不動産会社では、非居住者向け仲介サービスの課税関係が重要になります。

まず自社に関係する改正を切り分けることが、対応の第一歩です。

令和9年と令和10年にも改正が続く

令和8年10月で消費税改正が終わるわけではありません。

その後も制度変更が続きます。

個人事業者については、2割特例終了後の負担を緩和する3割特例が令和9年と令和10年の一定の課税期間に設けられます。

さらに令和10年4月1日からは、海外通販の1万円以下の一定の商品に対する新しい課税や、第2種プラットフォーム事業者によるプラットフォーム課税が始まります。

令和8年10月は、今後数年間続く消費税制度変更の1つの重要な節目と考える必要があります。

結論

令和8年10月から、消費税実務では複数の重要な変更が始まります。

インボイス制度では、免税事業者などからの仕入れについて経過措置が次の段階へ進み、令和8年10月1日以後に開始する課税期間からは、1つの事業者当たりの対象仕入額の上限が年間10億円から1億円へ引き下げられます。

輸出取引では、現金など取引相手からの支払いを明確に確認できない一定の場合に、輸出先国の輸入許可書など追加資料の保存が必要になります。

国内不動産の売買、交換、貸付けに関する一定の代理や仲介については、非居住者向けであっても原則として輸出免税から外れます。

重要なのは、令和8年10月1日という日付だけを覚えることではありません。

仕入先、決済方法、証憑、契約日、顧客の所在地、不動産の所在地など、改正ごとに確認すべき項目が異なります。

消費税改正への対応は、申告書を作成するときに始めるのではなく、日々の取引や契約の段階から準備することが重要です。

参考

税のしるべ 2026年9月7日 令和8年・役に立つ消費税実務問答集

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