人生100年時代を迎え、資産運用の世界では「国際分散投資」が常識になりつつあります。新NISAを利用して全世界株式や米国株式に投資する人も増えました。
一方で、多くの人が悩むのが「外貨資産はどの程度持てばよいのか」という問題です。
円だけでは不安だからといって外貨資産を増やし過ぎると為替リスクが高まります。反対に円資産だけでは日本経済やインフレの影響を強く受けます。
大切なのは、正解の比率を探すことではなく、自分に合った資産配分を考えることです。
今回は人生100年時代における外貨資産の考え方について整理してみます。
なぜ外貨資産が必要なのか
日本人の多くは、
・給与は円
・年金は円
・預金は円
・生活費も円
という環境で暮らしています。
つまり、人生そのものが円に集中しています。
日本経済が安定している間は問題ありませんが、円安や物価上昇が続けば資産価値は目減りする可能性があります。
実際に近年の円安局面では、海外資産を保有していた人ほど資産額が増加しました。
外貨資産を持つ最大の理由は、円だけに依存しないためです。
外貨資産は保険の役割を持つ
多くの人は外貨資産を「儲けるための投資」と考えます。
しかし本来の役割は少し違います。
外貨資産は保険に近い存在です。
火災保険は火事を期待して加入するものではありません。
同じように外貨資産も円の価値が下落した場合に備えるための資産です。
円高になれば外貨資産は不利になります。
しかし円安になれば家計を守る効果を発揮します。
つまり外貨資産は利益追求だけでなく、資産防衛の役割を担っているのです。
外貨資産100%は危険である
近年は米国株人気が続いています。
そのため、
「資産はすべて米国株」
「預金以外はすべて海外ETF」
という人もいます。
しかしこれは極端です。
老後に必要な生活費は基本的に円です。
もし大幅な円高になれば、外貨資産の円換算額は大きく減少します。
また相場下落と円高が同時に起きると、資産価値は想像以上に減る可能性があります。
人生100年時代では、資産を増やすこと以上に守ることが重要です。
そのため外貨資産100%は現実的な選択とは言えません。
円資産100%も危険である
一方で、
「投資は怖い」
「預金だけで十分」
という考え方にもリスクがあります。
物価が上昇すると現金の価値は目減りします。
年率2%のインフレが続けば、20年後にはお金の価値は大きく低下します。
長寿化が進む現代では、預金だけでは資産寿命が短くなる可能性があります。
円資産だけに依存することも、また一つの集中投資なのです。
何割が適正なのか
よく
「外貨資産は何%が正解ですか」
という質問を受けます。
しかし万人に共通する正解はありません。
例えば、
70代で年金収入が十分ある人
60代で退職直後の人
50代でまだ働いている人
では状況が全く異なります。
一般的には、
・生活防衛資金は円
・日常生活費も円
・長期運用部分は外貨資産
という考え方が現実的です。
結果として外貨資産比率は20%から50%程度に収まる人が多いでしょう。
重要なのは比率そのものではなく、自分が安心して保有し続けられる水準を見つけることです。
年齢よりも収入源が重要
資産配分を考える際、多くの人は年齢ばかり気にします。
しかし本当に重要なのは収入源です。
例えば、
・公的年金
・企業年金
・家賃収入
・事業収入
・配当収入
など安定収入があれば、比較的高い比率で外貨資産を保有できます。
反対に資産取り崩しだけで生活する人は慎重な配分が必要です。
人生100年時代では「何歳か」よりも「どんな収入源を持っているか」が重要になります。
老後資産は通貨分散も必要になる
かつての資産運用は、
・株式
・債券
・預金
という資産分散が中心でした。
しかし現在は、
・円
・ドル
・ユーロ
など通貨分散も重要になっています。
世界経済は大きく変化しています。
一国の通貨だけに依存することは、それだけリスクを抱えることでもあります。
人生100年時代では資産分散だけでなく通貨分散も欠かせない考え方になっていくでしょう。
結論
人生100年時代において外貨資産は必要な存在です。しかし外貨資産100%も円資産100%も極端な選択と言えます。
大切なのは、生活費を支える円資産と、将来の成長やインフレ対策を担う外貨資産をバランスよく保有することです。
資産配分に絶対的な正解はありません。しかし円だけに依存しない仕組みを作ることは、長寿時代を安心して生きるための重要な備えになるのではないでしょうか。
参考
日本経済新聞(2026年6月17日朝刊)
「外国通貨を別の外貨に交換、円で為替差益なら課税適法 最高裁が初判断」