リゾート会員権には、大きく分けて共有制と預託制があります。
共有制では、会員がホテルなどの土地や建物の一部を所有します。
これに対して預託制では、原則として会員が施設の不動産を所有するわけではありません。運営会社などに一定のお金を預け、その対価として施設を利用する権利を取得します。
実際にホテルを利用するときには両者の違いを意識することは少ないかもしれません。
しかし、資産として考えると共有制と預託制には大きな違いがあります。
リゾート会員権を購入するときには、価格やホテルの豪華さだけでなく、自分が取得する権利の中身を確認することが重要です。
預託制とは何か
預託制とは、会員が運営会社などに一定のお金を預け、その代わりにリゾート施設を利用できる仕組みです。
会員になるために預託金などを支払い、契約で定められた範囲でホテルや付帯施設を利用します。
共有制のように、ホテルの土地や建物の持ち分を取得することが基本となる仕組みではありません。
つまり、預託制の中心となるのは不動産そのものではなく、施設を利用するための権利です。
ここを理解すると共有制との違いが分かりやすくなります。
共有制では不動産を所有する
共有制では、会員がホテルなどの土地や建物について一定の持ち分を取得します。
多数の会員で不動産を共有する形です。
そのため、不動産の持ち分について登記が行われる商品もあります。
不動産を取得することから、不動産取得税や固定資産税などの負担が関係する場合があります。
一方、預託制では基本的にホテルの不動産そのものを取得するわけではありません。
同じリゾート会員権という名前でも、取得する資産の性格が違うのです。
ホテルを利用するときの違いは小さい
共有制と預託制では法律上や資産としての性格は異なります。
しかし、実際にホテルを利用するときには大きな違いを感じないこともあります。
どちらも会員として予約し、決められた条件のもとで施設を利用するからです。
温泉やプール、ジム、レストランなどを備えた施設であれば、それらのサービスを利用できる点も基本的には同じです。
利用者からすると重要なのは、どの施設を利用できるのか、年間何泊できるのか、予約を取りやすいのか、宿泊料金はいくらなのかという点でしょう。
そのため、購入時に共有制か預託制かを十分に意識しない人もいるかもしれません。
しかし、長期間保有することを考えると、この違いは重要になります。
預託金は銀行預金とは違う
預託制という言葉を見ると、銀行にお金を預けるようなイメージを持つかもしれません。
しかし、銀行預金と同じように考えることはできません。
預託制では、契約内容によって預託金の扱いや返還条件などが決められています。
いつでも自由に引き出せる普通預金とは性格が違います。
預託期間や返還条件などが定められている場合もあります。
したがって、預託制の会員権を検討するときには、単に預けたお金だから将来そのまま戻ってくると考えるのではなく、契約内容を確認することが重要です。
運営会社との関係が重要になる
預託制では施設の利用権が運営会社などとの契約を基礎としているため、運営主体の状況も重要になります。
どれだけ豪華な施設でも、長期間利用する商品である以上、安定して運営が続くかどうかは無視できません。
施設の修繕や更新が適切に行われるか。
サービス水準が維持されるか。
系列施設の相互利用制度が今後も続くか。
こうした点も会員権の実質的な価値に影響します。
リゾート会員権では施設そのものだけでなく、誰がどのように運営しているのかを見ることも大切です。
不動産取得税や固定資産税の違い
共有制と預託制を比較するときに分かりやすい違いの1つが、不動産に関係する税金です。
共有制では土地や建物の持ち分を取得するため、不動産取得税が発生する場合があります。
保有中には固定資産税などが関係する場合もあります。
一方、預託制では原則として会員がホテルの不動産そのものを取得する仕組みではないため、共有制と同じ形で会員個人がその不動産を所有することにはなりません。
ただし、実際の会員権にはさまざまな契約形態があります。
名称だけで税負担を判断せず、契約内容を確認する必要があります。
預託制でも年間コストは発生する
不動産を所有しないからといって、預託制なら保有コストがほとんどかからないとは限りません。
リゾート会員権では、年会費や管理費などが必要になる場合があります。
さらに実際に宿泊するときには宿泊料金もかかります。
例えば、一般ホテルなら1泊5万円の部屋を会員価格2万円で利用できれば、1泊当たり3万円安くなります。
年間5泊なら15万円の差です。
しかし、年間の会費などが10万円かかれば、実質的な差は小さくなります。
さらに会員権そのものの取得費用もあります。
預託制でも、宿泊料金だけを比較して得かどうかを判断することはできません。
売却するときの価格も重要になる
リゾート会員権は、中古市場で売買されることがあります。
預託制の会員権でも、譲渡が認められている商品であれば売却できる場合があります。
ただし、購入価格と同じ金額で売れるとは限りません。
施設の人気や築年数、利用条件、中古市場の需給などによって価格は変動します。
ホテル代が高騰すれば、会員価格で宿泊できる権利への需要が高まる可能性があります。
一方、新しい施設が増えたり既存施設の人気が低下したりすれば、中古価格が下がる可能性もあります。
預託制だから購入時の金額がそのまま資産として残ると考えるのは注意が必要です。
相続や贈与も確認しておく
リゾート会員権を長期間保有するのであれば、相続や贈与についても確認しておく必要があります。
会員権によっては、親から子などへ名義を変更して利用を続けられるものがあります。
参考記事では、リゾート会員権を親族に譲渡したり相続したりするケースが増えていることも紹介されています。
家族で長年利用してきた施設であれば、子どもや孫にとっても価値があるかもしれません。
一方、次の世代が利用しなければ、年会費などの負担だけが残る可能性があります。
購入時から将来の承継まで考えておくことが重要です。
共有制と預託制はどちらが得なのか
共有制と預託制のどちらが得かは、制度の名前だけでは決まりません。
共有制には不動産を所有するという特徴があります。
預託制には不動産を直接所有せず、利用権を中心とした仕組みという特徴があります。
しかし、実際の価値を決めるのはそれだけではありません。
購入価格、年会費、利用可能日数、予約制度、利用できる施設、宿泊料金、売却条件などを総合的に見る必要があります。
自分がどのくらい利用するのかによっても判断は変わります。
重要なのは共有制か預託制かという名前だけで選ぶのではなく、取得する権利と負担する費用の両方を確認することです。
結論
預託制のリゾート会員権は、運営会社などに一定のお金を預けることで施設を利用する権利を取得する仕組みです。
ホテルなどの土地や建物の持ち分を取得する共有制とは、資産としての性格が異なります。
実際にホテルを利用するときには両者の違いをあまり感じない場合がありますが、税金や権利関係、売却、相続などを考えると重要な違いがあります。
また、預託制だからといって、預けたお金が銀行預金のようにいつでもそのまま戻るとは限りません。
預託金の返還条件や会員権の譲渡条件など、契約内容を確認する必要があります。
リゾート会員権は長期間利用する可能性がある商品です。
ホテルの豪華さや1泊の宿泊料金だけではなく、自分が何を取得し、どのような費用とリスクを負担するのかまで理解して選ぶことが大切です。
参考
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 <ステップアップ>リゾート、会員権で身近に ホテル代高騰で割安感
日本経済新聞 2026年9月26日朝刊 共有制、取得後に税負担