老人ホーム資金はいくら必要か――30年老後の介護費用試算

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高齢期の生活設計を考えるとき、多くの人が不安に感じるのが介護費用です。
平均寿命が延び、人生100年時代といわれる現在では、60代以降の生活期間は30年以上に及ぶことも珍しくありません。

この長い老後の中で、どの程度の介護費用が必要になるのかは重要な問題です。特に老人ホームへの入居を考える場合、入居一時金や月額費用など、まとまった資金が必要になることがあります。

しかし、すべての高齢者が長期間施設に入居するわけではありません。
自宅生活、在宅介護、施設介護など、さまざまな形態が組み合わさるのが一般的です。

本稿では、老後30年を想定しながら、老人ホーム利用を含めた介護費用の目安を整理します。


老後の介護期間はどのくらいか

まず考えるべきなのは、介護が必要になる期間です。

生命保険文化センターの調査によると、平均的な介護期間はおよそ5年前後とされています。
ただし、これは平均値であり、10年以上に及ぶケースもあります。

一般的な高齢期の生活をイメージすると、次のような段階が想定されます。

・自立期 約15~20年
・軽度介護期 約3~5年
・重度介護期 約3~5年

このように、長い老後の中で介護期間は比較的短いものの、その期間には集中的に費用が発生します。


在宅介護の場合の費用

最初の段階では、自宅で生活しながら介護サービスを利用するケースが多く見られます。

在宅介護の場合、主な費用は次のとおりです。

・訪問介護
・デイサービス
・福祉用具レンタル
・住宅改修

介護保険を利用することで、自己負担は原則1割(一定所得以上は2割または3割)となります。

平均的な在宅介護費用は、月5万~10万円程度といわれています。
これが5年間続いた場合、総額は次のようになります。

約300万~600万円

在宅介護は施設介護より費用が抑えられる一方、家族の介護負担が大きくなる場合があります。


施設介護の場合の費用

要介護度が高くなると、老人ホームなどの施設に入居するケースが増えます。

施設の種類によって費用は大きく異なります。

特別養護老人ホーム

公的介護施設であり、比較的低い費用で利用できます。

月額費用
約10万~15万円

5年間利用した場合
約600万~900万円

ただし、入居待機者が多く、すぐに入居できない地域もあります。

有料老人ホーム

民間施設であり、費用は施設のグレードによって大きく異なります。

月額費用
約20万~30万円

入居一時金
数百万円~数千万円

例えば、月額25万円の施設に5年間入居すると、費用は次のようになります。

月額費用
約1500万円

入居一時金を含めると、総額は2000万円前後になるケースもあります。


30年老後の介護費用モデル

これらを踏まえ、老後30年の生活を簡単に試算すると次のようなモデルが考えられます。

自立期
生活費のみ

軽度介護期(在宅介護5年)
約300万~600万円

施設介護期(5年)
特養の場合 約600万~900万円
有料老人ホームの場合 約1500万~2000万円

つまり、介護費用の目安は次のようになります。

特養中心の場合
約1000万円前後

有料老人ホーム中心の場合
約2000万円前後

もちろん、個人の健康状態や住まいの状況によって費用は大きく変わります。


介護費用と住まいの関係

介護費用を考えるうえで重要なのは、住まいの問題です。

自宅を保有している場合、次のような資金計画が考えられます。

・自宅を売却して施設資金に充てる
・自宅を賃貸に出して収入を得る
・リバースモーゲージを利用する

老後の資金計画では、年金や貯蓄だけでなく、不動産資産をどう活用するかも大きなポイントになります。


結論

老後30年の生活を考えると、介護費用は決して小さくない支出です。
在宅介護と施設介護を組み合わせた場合、総額は1000万円から2000万円程度になる可能性があります。

ただし、すべての人が同じ費用になるわけではありません。
健康状態や住まい、家族の状況によって大きく変わります。

重要なのは、介護が必要になってから慌てて資金を準備するのではなく、老後生活の早い段階から介護費用を視野に入れた資金計画を考えておくことです。

長い老後を安心して過ごすためには、生活費だけでなく、将来の介護費用も含めた総合的な老後設計が求められます。


参考

生命保険文化センター
介護保障に関する調査

厚生労働省
介護保険制度の概要資料

日本FP協会
高齢期の生活設計に関する解説資料

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