走行距離課税は本当に公平か?一公平性・効率性・プライバシー問題を考える

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<記載日:2025年9月3日>

前回の記事で…
「EV(電気自動車)普及の加速により、ガソリンの販売量は今後確実に減少します。
つまり、税収の自然減が避けられない状況に入ってきています。」
「政府が検討している代替案として、走行距離課税(マイレージ課税)があります。」
と書かせていただきました。

今回は、この「走行距離課税」について書かせていただきます。

1.走行距離課税とは

走行距離課税は、車の走行距離に応じて課税する方式です。
ガソリン税が減収する EV時代の新しい財源として、政府や一部自治体で議論が進んでいます。

<課税方法の例>
・車検時に走行距離を確認して課税
・車載端末(GPSなど)でリアルタイム計測
・ETC や道路通行システムと連動

狙いは、道路利用の多い人が多く負担する「利用者負担の原則」の徹底です。

2. 公平性の視点

走行距離課税は一見「公平」に思えますが、細かく見ると課題があります。

<メリット>
・たくさん走る人が多く負担するため、道路利用と負担のバランスが取れる
・EVもガソリン車も同じ基準で課税可能

<課題>
・地方在住者の負担増
 公共交通が少なく、車が必須の地域では、走行距離が長くなりがち。
・業務利用の負担
 営業職や配送業など、仕事で長距離運転が必要な職種への影響大。
・所得との関係
 距離に比例して課税されるため、低所得者でも車必須なら負担が重くなる。

3.効率性の視点

税制は、徴収コストと制度運営のしやすさも重要です。

<メリット>
・課税対象が明確(走行距離)で、制度自体は理解しやすい
・ガソリン販売量減少に左右されず安定的な税収が見込める

<課題>
・計測方法によっては運営コストが増加
・車検時課税だと支払いが年1回などになり、負担感が一度に大きくなる
・不正防止のための監視・認証システム整備が必要

4.プライバシーの視点

特にリアルタイム計測型では、「どこを走ったか」が記録される可能性があります。

・位置情報が漏洩すればプライバシー侵害のリスク
・政府や民間事業者による過剰な監視懸念
・データの保管・利用目的・第三者提供のルール作りが必須

一方、車検時に走行距離だけ確認する方式なら、位置情報までは把握されませんが、不正(メーター改ざん)対策が課題になります。

5. まとめ

走行距離課税は、ガソリン税減収時代の有力な代替策ですが…
・公平性(地方・業務利用・所得階層への影響)
・効率性(徴収コスト・不正防止)
・プライバシー(位置情報の扱い)
という3つの壁があります。

制度設計次第で国民の受け止め方は大きく変わるため、導入には慎重な議論が欠かせないでしょう。

ということで、今回はこれくらいにさせていただいて、次回は「ガソリン税・走行距離課税・炭素税…三重課税時代は来るのか?」をテーマに、複合課税の可能性と家計への影響を考えたいと思います。

次回以降も、引き続きよろしくお願いいたします。

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