令和9年度税制改正要望とは何か 各省庁の要望が年末の税制改正へつながる仕組み編

税理士
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令和9年度の税制改正に向けて、各省庁から税制改正要望が出そろいました。

税制改正というと、年末に公表される税制改正大綱に注目が集まりがちです。しかし、税制改正の議論は突然年末に始まるわけではありません。

その出発点の一つとなるのが、夏から秋にかけて各省庁が提出する税制改正要望です。

今回は、税制改正要望とは何なのか、そして各省庁から提出された要望がどのような過程を経て実際の税制改正につながっていくのかを整理してみます。

税制改正要望とは何か

税制改正要望とは、各省庁が翌年度の税制について、新しい制度を設けたり、既存制度を変更したり、期限のある特例措置を延長したりすることを求めるものです。

たとえば令和9年度税制改正要望では、経済産業省、国土交通省、厚生労働省、金融庁、こども家庭庁などから幅広い要望が提出されています。

内容も法人税だけではありません。

所得税、相続税、贈与税、登録免許税、固定資産税など、企業から個人の暮らしまで関係する幅広い税金が対象になります。

つまり、税制改正要望を見ることで、政府がこれからどのような政策課題を税制によって解決しようとしているのかを早い段階で知ることができます。

なぜ各省庁が税制改正を要望するのか

税金を担当する役所というと財務省を思い浮かべるかもしれません。

しかし、実際の政策を担当しているのはそれぞれの省庁です。

住宅政策であれば国土交通省、雇用や年金であれば厚生労働省、産業政策であれば経済産業省、金融政策であれば金融庁というように、それぞれの省庁が現場の政策課題を抱えています。

その政策を実現する手段の一つが税制です。

補助金を交付する方法もありますが、一定の要件を満たした人や企業について税負担を軽減することで政策目的の達成を促す方法もあります。

そのため各省庁は、自らが担当する政策を進めるために必要な税制措置を要望します。

要望されたから税制改正が決まるわけではない

ここは非常に重要です。

税制改正要望として公表されたからといって、その制度がそのまま実現するわけではありません。

現段階はあくまで要望です。

必要性だけでなく、税収への影響、公平性、既存制度との整合性、政策効果など、さまざまな観点から検討されます。

新しい減税制度を設ければ、原則として税収は減少します。

その政策によって得られる効果が税収減に見合うのかという視点も必要になります。

要望段階の記事を読む場合には、決定した制度と検討中の制度を区別することが大切です。

税制改正大綱が大きな節目になる

各省庁から提出された税制改正要望について、その後、政府や与党などで議論が進められます。

その大きな節目となるのが年末の税制改正大綱です。

税制改正大綱には、翌年度に実施する税制改正の主要な内容がまとめられます。

夏から秋の税制改正要望を入口とすると、年末の税制改正大綱は、実際にどの制度を改正する方向になったのかを確認する重要な段階といえます。

さらに、その内容を踏まえて税制改正法案が作られ、国会で審議されます。

したがって、

税制改正要望

税制改正大綱

税制改正法案

国会での成立

施行

という流れを意識してニュースを見ると、税制改正の現在地が分かりやすくなります。

令和9年度要望には暮らしに近いテーマも多い

令和9年度税制改正要望を見ると、企業だけに関係する制度ばかりではありません。

住宅取得、空き家、財形貯蓄、国債、相続した株式、家事支援サービスやベビーシッターなど、個人の生活や資産形成に関係するテーマも含まれています。

たとえば厚生労働省は、中小企業退職金共済制度や勤労者財産形成促進制度の見直しに伴う税制措置を要望しています。

金融庁からは、NISAの利便性向上、上場株式等の相続税、相続財産を売却した場合の取得費加算などについて要望が出ています。

税制改正要望は専門家だけが見る資料ではなく、数年後の自分の家計や資産形成に影響する制度変更の芽を探す資料としても読むことができます。

要望段階から見る意味

税制改正は、成立してから知ることもできます。

しかし、要望段階から見ておくと、政府が何を政策課題として認識しているのかが分かります。

さらに、要望が年末の税制改正大綱に盛り込まれたのか、要望した内容から修正されたのか、最終的に見送られたのかを追うこともできます。

税制を見る場合には、完成した制度だけを見るのではなく、その制度がどのような問題意識から生まれたのかを見ることも重要です。

令和9年度税制改正要望には、地域の生活サービス、住宅、子育て、退職金、資産形成、国債、相続など、これからの日本社会が抱える課題が色濃く表れています。

今後それぞれの要望を個別に見ていくと、税制が単に税金を集める仕組みではなく、政策を動かす手段でもあることが見えてきます。

結論

税制改正要望は、翌年度の税制改正に向けた重要な出発点です。

各省庁は、それぞれが担当する政策課題を解決するために、新制度の創設や既存制度の拡充、延長などを求めます。

ただし、要望された内容がそのまま実現するわけではありません。

その後の議論を経て税制改正大綱に盛り込まれ、法案となり、国会で成立して初めて制度として実施されます。

税制改正の記事を読むときには、いま見ている情報が要望なのか、決定事項なのかを区別することが重要です。

令和9年度税制改正についても、まず要望段階で全体像をつかみ、年末に向けてどの制度が残り、どのように姿を変えていくのかを追っていくと、税制改正をより立体的に理解できるのではないでしょうか。

参考

税のしるべ 2026年9月7日 各省庁の9年度税制改正要望が出そろう、エッセンシャルサービス確保の特例に税制上の軽減措置を

財務省 2026年8月31日時点 令和9年度税制改正要望

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