自動車保険では、年間にどのくらい車を走らせるかによって保険料が変わる商品があります。
例えば、週末の買い物にしか車を使わず年間3000キロ程度しか走らない人と、毎日の通勤に使って年間1万キロ以上走る人では、同じ保険料にならない場合があります。
車種も年齢も同じなのに、なぜ走行距離によって保険料が変わるのでしょうか。
基本にあるのは、車を運転する機会が増えれば事故に遭う可能性も高まりやすいという考え方です。
特にダイレクト型の自動車保険を比較するときには、年間走行距離が重要なポイントになることがあります。
年間走行距離とは何か
年間走行距離とは、文字通り1年間に車で走る距離です。
例えば、平日はほとんど車を使わず、土日に近所へ買い物に行くだけなら、年間走行距離は比較的短くなります。
一方、毎日片道20キロの通勤に車を使えば、それだけでも年間ではかなりの距離になります。
さらに休日の旅行や買い物などにも利用すれば、年間1万キロを超えることも珍しくありません。
自動車保険では、この年間走行距離を保険料算定の条件として利用する商品があります。
実際の区分や算定方法は保険会社によって異なります。
なぜ走行距離で保険料が変わるのか
自動車事故は、車を所有しているだけで発生するわけではありません。
基本的には道路を走っているときに事故に遭うリスクが生じます。
年間3000キロしか運転しない人と年間1万キロ運転する人を比べれば、後者の方が道路上で運転している時間や機会が多くなる傾向があります。
運転する機会が増えれば、それだけ事故に遭遇する可能性も高まりやすくなります。
そこで保険会社によっては、走行距離の違いを事故リスクの違いとして保険料へ反映しています。
あまり車に乗らない人にとっては、自分の低い利用頻度を保険料に反映してもらえる仕組みと考えることができます。
年間3000キロとはどのくらいか
年間3000キロと聞いても、どのくらい車を利用しているのか分かりにくいかもしれません。
年間3000キロなら、単純平均では1カ月250キロ程度です。
週末を中心に近所の買い物や送迎などで利用する人なら、この程度に収まる場合があります。
一方、年間1万キロなら1カ月平均では約830キロです。
通勤などで毎日利用する人では、この程度の走行距離になることがあります。
つまり、同じ1台の車でも、
週末中心の利用
毎日の通勤利用
では使い方が大きく異なります。
その違いを保険料へ反映する考え方です。
ダイレクト型で走行距離が重視される理由
走行距離を保険料に反映する仕組みは、特にダイレクト型の自動車保険で見かけることがあります。
ダイレクト型では、契約者がインターネットなどで自分の情報を入力し、それぞれの条件に応じて保険料が計算されます。
年間走行距離もその条件の一つになる場合があります。
あまり車を利用しない人なら、走行距離の短さが保険料面で有利に働く可能性があります。
そのため、
車は持っているが週末しか乗らない
退職して通勤に使わなくなった
公共交通機関を利用するようになった
といった人は、走行距離を保険料へ反映する商品を比較する価値があります。
走行距離が多い人は必ずダイレクト型が安いとは限らない
ダイレクト型は販売コストを抑えやすいため、代理店型より保険料が安くなる場合があります。
しかし、すべての人にとって必ずダイレクト型が最も安いわけではありません。
参考記事でも、年間走行距離が多い人については、代理店型の方が割安になるケースがあると指摘されています。
走行距離を細かく保険料へ反映する商品では、走行距離が長くなることで保険料面のメリットが小さくなる可能性があるからです。
したがって、
ネット保険だから安い
代理店型だから高い
と決めつけるのではなく、自分の走行距離を入力したうえで実際の保険料を比較することが重要です。
通勤しなくなったら見直す
年間走行距離は、生活環境によって大きく変わります。
例えば、会社員時代には毎日車で通勤していた人が退職したとします。
それまで年間1万キロ以上走っていたものの、退職後は買い物や旅行にしか使わなくなり、年間4000キロ程度まで減ることがあります。
また、在宅勤務が増えて通勤回数が減った場合も同様です。
それにもかかわらず、以前の利用状況を前提とした契約をそのまま更新していれば、現在の走行距離が保険料に適切に反映されていない可能性があります。
車の利用方法が変わったときは、自動車保険を見直すタイミングです。
走行距離は正しく申告する
保険料が安くなるからといって、実際より短い走行距離を申告してよいわけではありません。
自動車保険では、契約時に正確な情報を申告することが重要です。
年間走行距離についても、保険会社が定める方法に従って正しく申告する必要があります。
保険会社によっては、
過去1年間の走行距離
今後1年間の予想走行距離
など、申告する内容が異なる場合があります。
また、契約期間中に予想以上に走行距離が増えた場合の取り扱いも商品によって異なります。
契約時には、どのような基準で申告するのか、実際の走行距離が変わった場合に連絡が必要なのかを確認することが大切です。
オドメーターで確認できる
自分が年間何キロ走っているのか分からない人もいるでしょう。
その場合には、車のオドメーターの数字を確認する方法があります。
例えば、前年の自動車保険更新時の走行距離が3万キロで、今回の更新時に3万8000キロなら、1年間で約8000キロ走ったことになります。
車検や点検の記録などから過去の走行距離を確認できる場合もあります。
感覚だけで、
あまり乗っていない
かなり乗っている
と判断するより、実際の数字を確認した方が正確です。
自動車保険の見積もりを取る前に、現在の走行距離を確認しておくと比較しやすくなります。
走行距離だけで保険を選ばない
走行距離によって保険料が安くなる商品は、あまり車を使わない人にとって魅力的です。
しかし、自動車保険は走行距離だけで選ぶものではありません。
同じ年間3000キロでも、
車両保険が付いているか
免責金額はいくらか
運転者限定はどうなっているか
年齢条件はどうなっているか
ロードサービスはどうなっているか
などによって契約内容は大きく違います。
年間保険料だけを比べて安い契約を選んだ結果、必要な補償まで削られていては意味がありません。
同じ補償条件にそろえて比較することが基本です。
結論
年間走行距離とは、1年間に車で走る距離のことで、自動車保険では事故リスクを判断する材料の一つとして利用される場合があります。
年間3000キロ程度しか運転しない人と、年間1万キロ以上運転する人では、道路上で車を運転する機会が異なります。
その違いを保険料へ反映する商品では、走行距離が短い人ほど保険料を抑えられる可能性があります。
一方、走行距離が多い人では、必ずしもダイレクト型が最も安いとは限りません。
自分の年間走行距離を正しく把握し、ダイレクト型と代理店型を含めて同じ補償条件で比較することが重要です。
特に、退職や在宅勤務などによって車の利用方法が変わった場合には、年間走行距離も大きく変わる可能性があります。
生活が変われば車の使い方も変わり、適切な自動車保険も変わります。
前年と同じ契約をそのまま更新するのではなく、現在どのくらい車を走らせているのかを確認することが、保険料を無理なく節約する第一歩になります。
参考
日本経済新聞 2026年9月3日夕刊 マネー相談 黄金堂パーラー 自動車保険の基礎 下 節約のコツ