持続可能なキャリアとは何か 短期間で成果を出すより30年働き続けることが重要になる理由編

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

若いうちは、できるだけ多くの仕事を経験する。

難しい仕事にも挑戦する。

長時間働いてでも成果を出す。

こうした時期がキャリアの中にあってもよいでしょう。

しかし、同じ働き方を30年、40年と続けられるとは限りません。

結婚。

出産。

育児。

親の介護。

自分自身の年齢による体力の変化。

職業人生が長くなれば、その間に生活環境も変わります。

そこで重要になるのが、今どれだけ働けるかではなく、この働き方をどれだけ長く続けられるかという視点です。

これを考えるのが持続可能なキャリアです。

持続可能なキャリアとは何か

持続可能なキャリアとは、短期間の成果だけを追い求めるのではなく、生活環境や年齢の変化に対応しながら長期間働き続けられるキャリアを考えることです。

例えば毎日深夜まで働けば、短期間では多くの仕事を処理できるかもしれません。

しかし、その働き方を10年、20年続けられるでしょうか。

反対に、一定の時間で仕事を終え、必要な休息を取りながら働けば、一日の仕事量は少なくなる場合があります。

それでも長期間働き続けられれば、職業人生全体では多くの経験を積むことができます。

短期的な最大出力ではなく、長期的な継続可能性を見ることが重要です。

キャリアを短距離走で考えない

100メートル走なら、スタートからゴールまで全力で走ります。

しかしマラソンで同じ走り方をすれば、途中で走れなくなります。

キャリアも似ています。

例えば25歳から65歳まで働けば40年間です。

70歳まで働けば45年間になります。

これだけ長い期間を、

常に最大限働く。

常に昇進を目指す。

常に仕事を増やす。

という状態で走り続けることは簡単ではありません。

長距離走では、速度を調整します。

給水もします。

必要なら休みます。

キャリアにも同じような考え方が必要です。

短期的な頑張りが必要な時期もある

持続可能なキャリアというと、

無理をせず、いつもゆっくり働けばよい。

という意味に聞こえるかもしれません。

しかし、そうではありません。

キャリアの中には集中的に頑張る時期もあります。

新しい仕事を覚える。

資格を取得する。

大きなプロジェクトを担当する。

管理職になった直後に仕事を覚える。

独立や起業の準備をする。

こうした時期には、一時的に仕事量が増えることがあります。

重要なのは、その状態を永続的な標準にしないことです。

一定期間アクセルを踏んだら、その後は速度を戻す。

頑張る時期と通常の時期を分けることが、長く働くためには必要になります。

人生の段階によって使える時間は変わる

仕事に使える時間は、生涯を通じて一定ではありません。

独身で家庭責任が比較的小さい時期には、仕事へ多くの時間を使える人もいます。

子どもが生まれれば状況が変わります。

保育園への送り迎え。

食事。

入浴。

寝かしつけ。

学校行事。

などに時間が必要になります。

子どもが成長すると育児負担は変化します。

ところが、その頃には親が高齢になり、介護が始まる可能性があります。

つまり、

今できる働き方。

が、

10年後にもできる働き方。

とは限りません。

キャリアを長期で考えるなら、環境に応じて働き方を変えることを前提にする必要があります。

年齢によって働き方も変わる

家庭環境だけでなく、自分自身も変化します。

20代の頃と60代では、同じ働き方が最適とは限りません。

若い頃には、

経験を増やす。

新しい仕事へ挑戦する。

専門知識を身につける。

といったことが重要です。

経験を積んだ後は、

自分で全部作業する。

より、

判断する。

人へ教える。

問題を整理する。

後輩を育てる。

といった役割の価値が高まることがあります。

年齢を重ねても若い頃と同じ量の仕事を抱え続ける必要はありません。

経験が増えるほど、仕事の量から仕事の質へ重点を移すこともできます。

キャリアには減速する時期があってよい

これまでの記事で取り上げたように、育児期には短時間勤務を利用することがあります。

介護が始まれば、残業や出張を減らす必要があるかもしれません。

こうした働き方を、

キャリアから遅れている。

と考えることがあります。

しかし長期的には、減速することがキャリア継続につながる場合があります。

例えば育児期の5年間だけ勤務時間を短くし、その後20年以上働くことができれば、キャリアは続きます。

一方、無理にフルタイム勤務を続けて退職してしまえば、キャリアそのものが中断する可能性があります。

長く働くことを目的にすれば、一時的な減速は必ずしも後退ではありません。

何をしないかを決めることも重要になる

仕事の経験が増えるほど、できることは増えていきます。

その結果、

この仕事もできる。

あの仕事も頼まれる。

以前からの仕事も続ける。

という状態になりがちです。

しかし、一日は24時間しかありません。

新しい仕事を引き受けながら古い仕事をすべて抱え続ければ、仕事量は増える一方です。

そこで必要になるのが、

何をするか。

だけでなく、

何をしないか。

を決めることです。

前回まで取り上げた業務標準化や属人化の解消によって、自分でなくてもできる仕事を他の人へ渡します。

持続可能なキャリアには、仕事を増やす能力だけでなく仕事を減らす能力も必要になります。

成果を時間だけで考えない

長時間働くことが評価される職場では、

早く帰る人は仕事への意欲が低い。

と思われることがあります。

しかし、働いた時間と生み出した成果は同じではありません。

8時間かかっていた仕事を仕組み化して4時間で終えられるようにした。

定型作業を自動化した。

部下へ仕事を引き継いだ。

不要な会議をなくした。

こうした改善によって働く時間を減らしても、成果を維持できる場合があります。

長く働き続けるためには、

何時間働いたか。

ではなく、

限られた時間でどのような価値を生み出したか。

という視点が重要になります。

会社側にも持続可能性が必要になる

持続可能なキャリアは、本人の努力だけで実現できるものではありません。

会社側の仕組みも重要です。

例えば、

長時間労働できる人だけが昇進する。

転勤できない人には重要な仕事を任せない。

育児短時間勤務を利用するとキャリアコースから外れる。

介護で休むと評価が下がる。

という職場では、生活環境が変化した社員が働き続けることは難しくなります。

一方、

勤務時間を調整できる。

仕事を複数の人で共有できる。

一時的に減速しても再び加速できる。

経験や専門性を評価する。

という会社なら、さまざまな事情を抱えた社員が働き続けやすくなります。

長期雇用を考えるなら、会社側も社員が何十年も働ける仕事の設計を考える必要があります。

心のOSを更新する

参考記事では、無意識の価値観や思い込みを心のOSと表現しています。

持続可能なキャリアを考えるときにも、この考え方は重要です。

例えば、

仕事は自分で抱えるべきだ。

人に頼るのは能力不足だ。

家事は自分でやるべきだ。

管理職なら長時間働くべきだ。

という考え方を持っているとします。

若い頃には、その考え方で働くことができたかもしれません。

しかし育児や介護が始まれば、同じ方法では続けられなくなることがあります。

環境が変わったのに、考え方だけ以前のままでは負担が増えます。

人に任せる。

制度を利用する。

外部サービスを使う。

仕事を減らす。

こうした選択肢を受け入れることも、心のOSを更新することです。

長期では継続そのものが大きな価値になる

1年間だけを見ると、最も長く働いた人が多くの成果を出すことがあります。

しかし、キャリアは1年間で終わりません。

例えば毎年無理をして働き、10年で仕事を離れる場合と、無理のない働き方で30年間仕事を続ける場合を考えてみます。

後者では長い時間をかけて、

専門知識。

経験。

人脈。

判断力。

後輩育成。

などを積み上げることができます。

特に専門性の高い仕事では、経験年数そのものが価値になる場合があります。

短期間の最大出力だけではなく、長期間積み上げられることにも大きな価値があります。

30年働くなら速度を変えてよい

長いキャリアでは、すべての時期を同じ速度で走る必要はありません。

20代は経験を増やす。

30代は育児のため少し減速する。

40代は再び仕事量を増やす。

50代は介護と両立しながら専門性を生かす。

60代は仕事を絞り込み、経験を提供する。

このように働き方が変化しても、一つのキャリアとしてつながっています。

大切なのは、

一度減速したら終わり。

と考えないことです。

人生の状況に応じてアクセルとブレーキを使い分けながら、働き続けることができます。

結論

持続可能なキャリアとは、短期間の成果だけを最大化するのではなく、年齢や家庭環境の変化に対応しながら長期間働き続けられるキャリアを考えることです。

職業人生が30年、40年と続けば、その間にはさまざまな変化があります。

育児。

介護。

自分自身の年齢による変化。

仕事上の役割の変化。

そのたびに若い頃と同じ働き方を維持しようとすれば、どこかで無理が生じる可能性があります。

だからこそ、

頑張る時期には頑張る。

減速が必要な時期には減速する。

自分でなくてもよい仕事は手放す。

環境が整えば再び加速する。

という柔軟な考え方が重要になります。

長いキャリアは短距離走ではありません。

一時的に最も速く走る人が、最後まで最も長く働けるとは限りません。

重要なのは、今の最大速度ではなく、自分が無理なく走り続けられる速度を見つけることです。

30年、40年と働く時代には、頑張り続ける力だけではなく、減速し、休み、手放しながら続ける力もキャリアを支える重要な能力になるのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月3日朝刊 働き続けるため「手放す」選択も

タイトルとURLをコピーしました