日本版DOGEとは何か 予算を一律に削るのではなく効果の低い事業を見直す仕組み編

政策

政府の支出を減らすというと、すべての省庁の予算を一律に削減する方法を思い浮かべるかもしれません。

しかし、必要な政策まで同じ割合で削ってしまえば、行政サービスの低下につながります。

そこで重要になるのが、個々の事業や税制優遇について、本当に政策効果があるのかを検証することです。

参考記事では、日本版DOGEによる見直しを受け、こども家庭庁が約130億円分の事業を見直すとしています。

さらに、2025年度の利用が219件にとどまった結婚子育て資金の一括贈与非課税制度についても廃止を求めました。

歳出改革とは、単純に予算を減らすことではありません。

効果の低い政策を見直し、必要性の高い政策へ限られた財源を振り向けることが重要なのです。

日本版DOGEとは何か

日本版DOGEとは、政府の事業や予算、税制優遇などについて必要性や政策効果を検証し、行政の効率化や歳出改革につなげようとする取り組みを指します。

政府には非常に多くの事業があります。

一度始まった政策が毎年度継続されることも珍しくありません。

しかし、制度を開始した当時には必要だった事業でも、社会や経済の変化によって重要性が低下することがあります。

そこで既存事業を改めて点検し、

現在も必要なのか

政策目的を達成しているのか

より効率的な方法はないのか

を確認します。

なぜDOGEと呼ばれるのか

DOGEという名称は、米国で政府効率化を掲げた取り組みを意識した呼び方です。

日本でも政府支出や行政事業を点検し、効率化を進める取り組みについて日本版DOGEという表現が使われています。

ただし重要なのは名称そのものではありません。

政府が新しい政策を追加するだけでなく、すでに存在する政策についても継続的に必要性を検証するという考え方です。

政策には始める仕組みだけでなく、見直す仕組みも必要になります。

歳出改革とは単純な予算削減ではない

歳出改革という言葉から、

政府支出をできるだけ減らすこと

と考えるかもしれません。

しかし、本来の歳出改革はそれほど単純ではありません。

必要な支出まで削れば、社会保障や子育て、教育、防災などの行政サービスに影響します。

重要なのは支出の中身です。

効果の低い事業を縮小する。

役割を終えた事業を廃止する。

重複している事業を整理する。

より効率的な方法へ切り替える。

そして必要な政策には財源を振り向ける。

歳出改革は支出額だけでなく、支出の質を改善する取り組みでもあります。

一律削減には限界がある

例えば各省庁の予算を一律5パーセント削減するとします。

方法としては分かりやすいでしょう。

しかし、必要性の高い事業も低い事業も同じ5パーセント削られます。

利用者が急増している政策。

ほとんど利用されていない政策。

どちらも同じように削ることになります。

これでは政策の優先順位が反映されません。

本当に必要なのは、個々の事業を確認して、残すものと見直すものを判断することです。

事業を始めた理由と現在必要な理由は違う

政府の事業には、開始した当時の政策課題があります。

しかし、10年後も同じ問題が同じ形で残っているとは限りません。

社会環境が変化する。

民間サービスが普及する。

別の公的制度ができる。

対象となる人が減少する。

こうした変化によって、政策の必要性は変わります。

そのため、

この制度は必要だから始めた

という説明だけでは、継続する理由にはなりません。

現在も必要なのかを改めて確認する必要があります。

政策効果をどう見るのか

政策を評価するときには、予算を使った金額だけではなく、その結果を見る必要があります。

例えば子育て支援なら、

何世帯が利用したのか

経済的負担がどれだけ軽くなったのか

保育サービスがどれだけ改善したのか

結婚や子育てを支援する目的にどれだけ貢献したのか

といった視点が必要です。

100億円を使ったから100億円分の成果があったとは限りません。

反対に、小さな予算でも大きな政策効果を生む事業もあります。

金額ではなく成果を見ることが重要です。

こども家庭庁も約130億円分を見直す

参考記事によると、こども家庭庁は日本版DOGEによる検証を受け、約130億円分の事業を見直します。

こども政策は少子化対策という重要な政策分野です。

だからといって、すべての既存事業をそのまま残すという意味ではありません。

少子化対策だから削ってはいけない

子育て支援だから見直してはいけない

という考え方では、政策の効果を検証できなくなります。

重要な政策分野だからこそ、限られた財源を効果の高いところへ集中する必要があります。

こども家庭庁の予算は増えている

参考記事では、こども家庭庁の2027年度予算要求額は7兆7436億円とされています。

2026年度の7兆4956億円から2480億円増え、単年度では過去最高となる規模です。

ここだけを見ると、

歳出改革をしているのに予算が増えている

という矛盾を感じるかもしれません。

しかし、歳出改革と予算総額の削減は同じではありません。

必要な政策には予算を増やしながら、効果の低い既存事業を見直すことは可能です。

これが政策の選択と集中です。

増やす政策と減らす政策が同時に存在する

政府予算では、

新しい政策を始める

既存政策を拡充する

既存政策を縮小する

役割を終えた政策を廃止する

という動きが同時に起こります。

予算全体が増えているから無駄な事業を見直さなくてよいわけではありません。

反対に歳出改革を進めるから、すべての政策を削る必要があるわけでもありません。

必要性の高いところへ財源を移すためにも、既存事業の見直しが必要になります。

税制優遇も見直しの対象になる

日本版DOGE的な政策検証で重要なのは、予算として支出する事業だけを見ればよいわけではないことです。

税制優遇も政策手段だからです。

政府が100億円の補助金を支出すれば、予算に100億円が表れます。

一方、税制優遇によって本来得られる税収が減っても、通常の歳出とは違う形になります。

しかし、どちらも政策目的のために公的な資源を使っている点では共通しています。

そのため税制優遇についても、

利用されているか

政策効果があるか

現在も必要か

を確認する必要があります。

結婚子育て資金の税制優遇も見直される

今回、その象徴となったのが結婚子育て資金の一括贈与非課税制度です。

一定の条件を満たせば、父母や祖父母などから結婚や子育てのために贈与された資金について1000万円まで贈与税を非課税にできる制度です。

しかし、参考記事によると2025年度の利用は219件でした。

用途が限定されていることや手続きが複雑であることなどから、利用が広がりませんでした。

そこで、こども家庭庁は制度の廃止を求めています。

税制優遇についても、存在していることではなく利用実態と政策効果を見る考え方です。

制度を廃止すること自体が目的ではない

ここで注意したいのは、制度を廃止する数が多ければ歳出改革が成功したというわけではないことです。

必要な制度まで廃止すれば政策効果は低下します。

重要なのは、

なぜ廃止するのか

廃止によってどのような影響が出るのか

浮いた財源や行政資源を何に使うのか

という点です。

見直しは目的ではありません。

より効果的な政策体系をつくるための手段です。

効果の低い政策から必要な政策へ移す

政策見直しの本当の意味は、限られた財源の配分を変えることにあります。

例えば利用者の少ない税制優遇を残す一方で、保育士不足への対応に十分な財源がないのであれば、政策全体として最適なのかという問題が生じます。

効果の低い制度を見直す。

そこで生まれた財政余力を必要性の高い政策へ振り向ける。

この循環をつくることが重要です。

予算削減だけではなく、予算の再配分まで考える必要があります。

予算額の大きさだけでは政策を評価できない

こども政策の予算が過去最高になったと聞けば、政府が子育て支援を強化していると見ることができます。

しかし、予算額だけでは政策の成果は分かりません。

7兆円使ったのか。

8兆円使ったのか。

という金額だけではなく、

子育て世帯の負担がどう変わったのか

保育サービスがどう改善したのか

少子化対策としてどのような効果があったのか

を見る必要があります。

予算の大きさを政策目標にしてしまうと、支出を増やすこと自体が成果になってしまいます。

予算を増やすこと自体を成功としない

参考記事では、こども政策担当相が予算を増やすこと自体が政策の成功ではないという趣旨の考えを示しています。

これは歳出改革を考えるうえで重要な視点です。

政策の目的は予算を獲得することではありません。

社会の問題を改善することです。

少ない予算で同じ成果を出せるなら、その方が効率的です。

同じ予算なら、より大きな成果を生む方が望ましいでしょう。

政策評価では投入したお金ではなく、その結果を見る必要があります。

政策には入口だけでなく出口が必要になる

政府には毎年、新しい政策が加わります。

新しい社会問題が発生すれば、新制度をつくる必要があります。

しかし、新しい制度を追加するだけでは政策の数は増え続けます。

行政事務も複雑になります。

財政負担も積み上がります。

そこで必要なのが政策の出口です。

役割を終えた制度を廃止する。

利用の少ない制度を整理する。

効果の低い制度を別の仕組みに置き換える。

政策を始める仕組みと同じくらい、終わらせる仕組みが重要なのです。

結論

日本版DOGEとは、政府の事業や予算、税制優遇などについて必要性や政策効果を検証し、行政の効率化や歳出改革につなげようとする取り組みです。

重要なのは、すべての予算を一律に削ることではありません。

効果の低い事業を見直し、必要性の高い政策へ財源や行政資源を振り向けることです。

参考記事によると、こども家庭庁は日本版DOGEによる検証を受けて約130億円分の事業を見直します。

さらに2025年度の利用が219件にとどまった結婚子育て資金の一括贈与非課税制度についても廃止を求めています。

一方で、2027年度のこども家庭庁の予算要求額は7兆7436億円と過去最高の規模です。

これは歳出改革が単なる予算総額の削減ではないことを示しています。

必要な政策にはお金を使う。

効果の低い政策は見直す。

そして限られた財源をより効果の高いところへ移す。

日本版DOGEで問われているのは、政府がいくら使ったかではなく、そのお金によってどのような成果を生み出したのかなのです。

参考

日本経済新聞 2026年9月1日朝刊 贈与税優遇、廃止を要求 日本版DOGEで見直し

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