電子帳簿保存法への対応というと、「システムを導入すれば終わり」と考えてしまうことがあります。
しかし、実際にはシステムよりも重要なのが日々の運用です。どれほど高機能なシステムを導入しても、電子データが適切に保存されていなければ、法律の要件を満たすことはできません。
特に中小企業では、経理担当者が少人数であったり、社長自ら経理を担当したりするケースも多くあります。そのため、複雑な仕組みよりも、継続して実践できるルールづくりが重要になります。
今回は、電子帳簿保存法への対応で最初に確認したいポイントをチェックリスト形式で整理します。
電子取引を把握する
最初に確認したいのは、自社でどのような電子取引が行われているかです。
例えば、
- メールで受け取る請求書
- PDFの領収書
- クラウドサービスの利用明細
- ECサイトの購入履歴
- 電子インボイス
などを洗い出します。
「どの電子データを保存する必要があるのか」を把握することが、対応の第一歩になります。
保存場所を決める
電子データが、
- パソコン
- スマートフォン
- メール
- クラウドストレージ
など複数の場所に分散していると、必要なときに探すことが難しくなります。
保存先をできるだけ統一し、誰でも確認できるルールを決めておくことが大切です。
保存方法を統一する
電子データは受け取るたびに保存方法が変わると、保存漏れが起こりやすくなります。
例えば、
「メール添付は専用フォルダへ保存する」
「クラウド請求書は必ずダウンロードして保存する」
など、社内で統一したルールを決めておくと管理しやすくなります。
システムの対応状況を確認する
利用しているクラウド会計ソフトや電子保存サービスが、電子帳簿保存法に対応しているかも確認が必要です。
特に、
- 訂正削除履歴
- 検索機能
- 保存要件
などの機能が利用できるかを確認しておきましょう。
対応機能があっても、設定が有効になっていないケースもあります。
機種変更やバックアップを考える
電子データは数年間保存する必要があります。
一方で、
- パソコン
- スマートフォン
は数年ごとに買い替えることが一般的です。
そのため、
- データ移行の方法
- バックアップの実施
- クラウド保存の利用
などをあらかじめ決めておくことが重要です。
定期的に保存状況を点検する
一度ルールを作って終わりではありません。
例えば、
- 保存漏れはないか
- データが開けるか
- 保存場所が統一されているか
などを定期的に確認することで、問題を早期に発見できます。
年に一度でも点検する習慣を持つと安心です。
電子帳簿保存法は継続運用が重要
電子帳簿保存法は、特別な作業を一度だけ行う制度ではありません。
毎日の業務の中で、
- 保存する
- 整理する
- 確認する
という流れを繰り返すことが求められます。
そのため、複雑な運用では長続きしません。
自社の規模に合った、無理なく続けられる仕組みを作ることが成功のポイントになります。
結論
電子帳簿保存法への対応では、高価なシステムを導入することよりも、自社の電子取引を把握し、保存場所や保存方法を統一し、継続して運用できる体制を整えることが重要です。
特に中小企業では、担当者の経験や人数に左右されないシンプルなルールづくりが、保存漏れや税務リスクの防止につながります。
電子帳簿保存法は「導入」が目的ではなく、「継続して適切に運用すること」が目的です。今回紹介したチェックポイントを参考に、自社の運用体制を一度見直してみてはいかがでしょうか。
参考
税のしるべ
2026年7月27日
電子帳簿保存法Q&Aを更新、7年度改正を踏まえ電子取引関係は10問追加