人生100年時代を迎え、日本では60代以上の人口が増え続けています。しかし、多くの企業や社会では、60代から80代までを一括して「シニア」と捉える考え方が今も残っています。
実際には、現在の60代は一昔前の高齢者像とは大きく異なります。働き続ける人も多く、スマートフォンを使いこなし、自ら情報を集め、旅行や投資、新しい趣味にも積極的に挑戦しています。
これからの社会では、「シニア」という一つの言葉だけでは、その姿を正しく表現できなくなっています。
令和シニアとはどのような世代なのか
現在60代前後の世代は、高度経済成長やバブル経済、インターネットの普及、スマートフォンの登場など、大きな社会変化を経験しながら生きてきました。
若い頃には新しい文化や技術を積極的に受け入れ、社会の変化に適応してきた世代でもあります。
そのため、従来の「高齢者は変化を好まない」というイメージとは必ずしも一致しません。
新しいサービスやデジタル技術にも抵抗が少なく、自分にメリットがあると判断すれば積極的に利用します。
デジタル弱者というイメージは変わりつつある
かつては高齢者といえば、インターネットやスマートフォンを苦手とする印象がありました。
しかし現在では、多くの60代がスマートフォンを日常的に利用し、ネット検索や動画視聴、電子決済、ネット通販などを当たり前のように活用しています。
もちろん個人差はありますが、年齢だけでデジタル利用を判断する時代ではなくなっています。
企業にとっても、「高齢者だから紙で十分」という発想ではなく、デジタルと対面を組み合わせたサービス設計が重要になります。
シニア向けの商品は全世代に広がることが多い
興味深いのは、高齢者向けに開発されたサービスが、やがて社会全体へ広がるケースが少なくないことです。
例えば宅配サービスは、当初は買い物が困難な高齢者への支援として発展したものもありました。
現在では、共働き世帯や子育て世代、一人暮らしの若者など、多くの人が日常的に利用しています。
また、文字を大きく表示したり、操作を簡単にしたりするスマートフォンの工夫も、高齢者だけでなく幅広い世代にとって使いやすさにつながっています。
誰かの不便を解決する工夫は、多くの場合、社会全体の利便性を高めることになるのです。
人生100年時代のマーケティングは発想転換が必要
企業はこれまで、「若者向け」「シニア向け」と市場を分けて考えてきました。
しかし人生100年時代では、この区分だけでは十分ではありません。
60代になっても働き続ける人、学び直す人、投資を始める人、起業する人も珍しくなくなっています。
年齢ではなく、「どのような価値観を持ち、どのような生活を送っているのか」という視点で市場を捉えることが重要になります。
これからの商品やサービスは、世代を限定するのではなく、多様なライフスタイルに対応できる柔軟性が求められるでしょう。
超高齢社会は日本の強みにもなる
日本は世界でも最も高齢化が進んでいる国の一つです。
高齢化は社会保障費の増加や人手不足など、さまざまな課題をもたらしています。
一方で、世界に先駆けて高齢社会を経験しているということは、新しい商品やサービスを生み出す実験場にもなり得ます。
高齢者が使いやすい商品やサービスは、多くの場合、誰にとっても使いやすいものになります。
日本で生まれた高齢社会向けの工夫は、今後高齢化が進む世界各国でも活用される可能性があります。
結論
令和シニアは、これまでの「高齢者」というイメージだけでは語れない新しい世代です。
デジタル技術を活用し、自ら情報を集め、新しい価値を積極的に取り入れる人も少なくありません。
企業にとって重要なのは、年齢だけで市場を区切るのではなく、多様な価値観やライフスタイルを理解することです。
人生100年時代において、令和シニアは支えられる存在ではなく、新しい社会や市場をつくる重要な担い手になっていくでしょう。
参考
日本経済新聞 2026年7月22日 朝刊
令和シニア」の行動力に注目