税務調査官は海外資産をどのように調査するのか 税務調査編

税理士
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海外投資が一般化した現在でも、

「海外資産は日本の税務署には分からない。」

と思っている人がいます。

しかし実際には、税務当局はさまざまな制度を活用しながら海外資産の状況を確認しています。

もちろん、海外資産を保有しているだけで税務調査の対象になるわけではありません。

税務調査で重要なのは、「海外資産があるかどうか」ではなく、「そこから生じた所得が適正に申告されているかどうか」です。

今回は、税務調査官が海外資産をどのような視点で確認しているのかを解説します。

調査は申告内容の確認から始まる

税務調査では、いきなり海外口座を調べるわけではありません。

まず確認されるのは、提出された確定申告書です。

例えば、

海外配当が計上されているか

外国税額控除が適切か

国外財産調書が提出されているか

などを総合的に確認します。

申告内容と他の情報に違いがないかを確認することが、調査の出発点になります。

海外送金情報も重要な判断材料

税務署は、国外送金等調書制度によって一定額を超える海外送金や海外からの送金に関する情報を把握できます。

例えば、

海外へ多額の資金を送金している

海外から継続的に送金を受けている

といった事実があれば、

その資金は何に使われたのか

どのような資産を保有しているのか

を確認することになります。

資金の流れと申告内容が一致しているかが重要なポイントです。

海外口座情報も確認される時代

現在では、CRS(共通報告基準)により、参加国・地域の税務当局間で一定の金融口座情報が交換されています。

また、租税条約に基づく情報交換制度も整備されています。

税務調査では、こうした制度から得られる情報も参考にしながら、海外資産の状況を確認することがあります。

つまり、海外資産だけが独立して存在するのではなく、複数の制度から得られる情報を組み合わせて全体像を把握する仕組みになっています。

調査官は資金の流れを重視する

税務調査官が最も注目するのは、お金の流れです。

例えば、

海外口座へ送金した資金

海外で運用された資金

日本へ戻ってきた資金

がどのようにつながっているかを確認します。

その流れの中で、

利息

配当

譲渡益

家賃収入

などが適正に申告されているかを確認するのです。

海外資産があること自体ではなく、「説明できる資金の流れ」があるかどうかが重要になります。

説明できる資料を残しておく

海外投資を行う人は、

送金記録

取引報告書

銀行口座の明細

契約書

年間取引報告書

などを整理して保管しておくことが大切です。

税務調査では、資料を見ながら経緯を説明できれば、大きな問題にならないケースも少なくありません。

逆に、資料が残っていないと、正しい申告をしていても説明に時間がかかることがあります。

日頃からの記録管理が最大の防御になります。

税務調査は「間違い探し」ではない

税務調査という言葉には、不安な印象を持つ人もいるでしょう。

しかし、本来の目的は申告内容を確認し、適正な課税を実現することです。

調査官も、海外資産を持っていることだけを問題視しているわけではありません。

必要な申告が行われ、説明資料も整っていれば、過度に心配する必要はありません。

むしろ、適切な管理をしている人ほど、スムーズに調査へ対応できます。

税理士は調査対応まで支援する存在へ

海外資産を持つ顧問先が増えるにつれ、税理士には調査対応まで含めた支援が求められるようになっています。

申告書を作成するだけではなく、

国外財産調書

外国税額控除

海外送金

CRS

租税条約

などを踏まえながら、顧問先の資産全体を把握することが重要です。

さらに、日頃から記録の残し方や資料の整理方法を助言することも、これからの税理士の大切な役割になるでしょう。

結論

税務調査では、海外資産そのものではなく、その資産から生じた所得が適正に申告されているかどうかが確認されます。国外送金等調書やCRS、租税条約に基づく情報交換など、複数の制度を参考にしながら、資金の流れと申告内容の整合性が確認されます。

海外投資が一般化した現在では、「海外だから分からない」という考え方ではなく、「いつでも説明できる状態を維持する」という意識が重要です。日頃から記録を整理し、適正な申告を続けることが、安心した国際資産運用と税務調査への最善の備えになるでしょう。

参考

近畿税理士会「税法実務講座(所得税) 個人の国際税務~理論と実践~⑥ 円換算・為替差損益・外国人の住民税・個人の国際課税の調査」(講師:税理士 阿部行輝先生)

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