NPO法人の貸借対照表はどこを見るべきか 財政状態分析編

会計
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NPO法人の決算書を見る際、多くの人がまず活動計算書に注目します。

確かに活動計算書は一年間の活動成果を示す重要な書類です。

しかし、それだけでは団体の財政状態までは分かりません。

そこで重要になるのが貸借対照表です。

貸借対照表を見ることで、

現在どれだけ資産を持っているのか

借金はどれくらいあるのか

将来も活動を継続できるのか

を把握できます。

今回は、NPO法人の財政状態を理解するための貸借対照表について解説します。

貸借対照表は健康診断書

活動計算書が一年間の成績表だとすれば、貸借対照表は健康診断書のような存在です。

活動計算書は一年間の流れを表します。

一方で貸借対照表は、決算日時点の財産状況を表します。

例えば、

現金がいくらあるのか

未収金はいくらあるのか

借入金はいくら残っているのか

などが分かります。

NPO法人が将来も安定して活動できるかどうかを判断するための重要な資料です。

貸借対照表の基本構造

貸借対照表は大きく三つの区分で構成されています。

資産

負債

正味財産

です。

資産とは、

現金預金

未収金

備品

車両

建物

などです。

負債とは、

未払金

借入金

預り金

などです。

そして資産から負債を差し引いた残りが正味財産になります。

この構造は企業会計とほぼ同じです。

現金預金は最重要項目

NPO法人の貸借対照表を見るとき、最初に確認したいのが現金預金です。

どれほど社会的意義のある活動を行っていても、資金がなければ継続できません。

例えば、

翌月の給与支払い

家賃支払い

事業運営費

などに必要な資金が確保されているかを確認します。

現金預金残高が極端に少ない場合は、資金繰りに問題が生じる可能性があります。

未収金にも注意が必要

NPO法人では助成金や委託料が後日入金されることがあります。

そのため貸借対照表には未収金が計上されます。

未収金そのものは問題ではありません。

しかし、

回収できる見込みがあるのか

回収時期はいつなのか

を確認する必要があります。

未収金ばかりが増え、現金が不足している状態は健全とはいえません。

正味財産は団体の体力を示す

貸借対照表で最も重要なのが正味財産です。

正味財産とは、

資産-負債

で計算されます。

企業会計の純資産に近い概念です。

この金額が大きいほど財務基盤が安定していると考えられます。

逆に正味財産が減少し続けている場合は注意が必要です。

将来的に活動継続が困難になる可能性があります。

活動計算書とのつながり

貸借対照表は単独で存在しているわけではありません。

活動計算書と密接につながっています。

活動計算書の

次期繰越正味財産額

は、

貸借対照表の正味財産合計

と一致します。

つまり、

一年間の活動結果

現在の財政状態

へ反映されているのです。

両方をあわせて読むことで、NPO法人の実態が見えてきます。

借入金の有無も重要

NPO法人は借入をしてはいけないわけではありません。

しかし借入金が多すぎる場合は注意が必要です。

特に返済原資となる収益事業が少ない場合は、資金繰りが悪化する可能性があります。

借入金を見る際には、

借入目的

返済計画

資金繰り状況

もあわせて確認することが重要です。

寄付者は貸借対照表も見ている

寄付者は活動内容だけを見ているわけではありません。

財政状態も確認しています。

例えば、

現金が十分にあるのか

借金が多すぎないか

資金管理は適切か

などです。

貸借対照表は団体の信頼性を判断する材料にもなっています。

透明な情報開示が寄付者からの信頼につながるのです。

税理士が果たす役割

税理士は貸借対照表を作成するだけではありません。

その数字が何を意味しているのかを説明する役割があります。

例えば、

資金繰りリスク

借入依存度

正味財産の推移

未収金管理

などを分析し、経営者へ助言することが重要です。

NPO法人においても、税理士は財務アドバイザーとしての役割を担っています。

結論

貸借対照表は、NPO法人の財政状態を示す重要な財務諸表です。

活動計算書が一年間の活動成果を示すのに対し、貸借対照表は現在の財産状況や財務体力を表しています。

特に現金預金、未収金、借入金、正味財産は重点的に確認すべき項目です。

NPO法人の健全性を判断するためには、活動計算書だけでなく貸借対照表もあわせて読むことが欠かせません。

数字の裏側にある財務状況を理解してこそ、真の意味でNPO法人を支援できるのです。

次回は、NPO法人会計の大きな特徴である「財務諸表の注記」について解説したいと思います。

参考

東京税理士会目黒支部

「NPO法人の会計について」 税理士 脇坂誠也

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