付加価値割の中心となる報酬給与額はどう計算するのか 人件費編

税理士
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外形標準課税を学び始めると、多くの人が最初に苦労するのが「報酬給与額」の計算です。

給与や賞与を集計すれば終わりだと思っていたら、役員報酬や出向者給与、派遣社員の費用まで登場し、何を含めて何を除外するのか分からなくなることがあります。

しかし、報酬給与額は付加価値割を計算する上で最も重要な項目です。

実際に多くの企業では、付加価値額の大部分を報酬給与額が占めています。

今回は外形標準課税の付加価値割の出発点となる報酬給与額について解説します。

なぜ人件費が課税対象になるのか

外形標準課税は企業の事業規模に応じて課税する制度です。

企業活動を支える最大の経営資源は「人」です。

従業員を雇用し、多額の給与を支払っている企業は、それだけ大きな事業活動を行っていると考えられます。

そのため外形標準課税では、人件費を企業規模を測る重要な指標として採用しています。

利益が少なくても、多くの従業員を抱える企業は大きな事業活動を行っているため、一定の税負担を求めるという考え方です。

報酬給与額の基本構造

報酬給与額は単純な給与総額ではありません。

大きく分けると次の3つで構成されます。

給与・賞与等

企業年金等の掛金

派遣労働者に係る一定額

この3つを合計して報酬給与額を計算します。

実務ではまず給与関係を整理し、その後に掛金や派遣費用を加算していきます。

給与総額をそのまま使わない理由

報酬給与額の計算では、会計上の給与総額をそのまま使うわけではありません。

例えば法人税で損金不算入となった役員報酬は除外されます。

また、出向者に関する給与負担金も調整が必要です。

講義資料の事例では、役員報酬1,000万円と出向者給与負担金2,000万円を給与総額から除外しています。

単純に会計データを転記するだけでは正しい計算にならないのです。

出向者給与はなぜ調整するのか

出向者に関する処理は実務で頻繁に登場します。

出向元企業が給与を支払い、出向先企業から給与負担金を受け取るケースです。

実際に労務提供を受けているのは出向先企業です。

そのため、出向元企業が受け取る給与負担金相当額は報酬給与額から除外することになります。

もし調整しなければ、同じ人件費が二重に計上されることになり、制度の趣旨に反してしまいます。

グループ企業を抱える会社では特に注意が必要なポイントです。

企業年金掛金も対象になる

報酬給与額には企業年金掛金も含まれます。

従業員に対する将来の給付原資として企業が負担するものであり、広い意味での人件費と考えられているからです。

企業年金制度を充実させている企業ほど、この金額は大きくなります。

給与だけを見ていると見落としやすい項目ですが、実際には報酬給与額を押し上げる重要な要素となっています。

税務調査でも確認されやすい部分の一つです。

派遣社員費用の75%ルールとは

派遣社員については少し特殊な計算を行います。

派遣契約料の全額ではなく、その75%を報酬給与額に加算します。

講義資料の事例では、派遣契約料1,500万円に対して75%を乗じた1,125万円を加算しています。

派遣料金には人件費だけでなく、派遣会社の管理費や利益も含まれています。

そのため全額ではなく75%相当を人件費として扱う仕組みになっています。

この75%ルールは外形標準課税の特徴的な計算の一つです。

税理士が注意すべきポイント

報酬給与額の計算で重要なのは勘定科目ではなく実態を見ることです。

給与勘定だから全て対象になるわけではありません。

また、給与勘定以外だから対象外とも限りません。

出向契約や派遣契約の内容を確認し、実際に誰が労務提供を受けているのかを把握する必要があります。

特に大企業では人事制度が複雑化しており、会計データだけでは判断できないケースも増えています。

税理士には制度の趣旨を理解したうえでの判断が求められます。

結論

報酬給与額は付加価値割の計算において最も重要な構成要素です。

給与・賞与だけでなく、企業年金掛金や派遣社員費用も含まれます。

一方で役員報酬や出向者給与負担金などは調整が必要になります。

外形標準課税の実務では、人件費の内容を正確に把握することが税額計算の第一歩です。

次回は、多くの実務担当者が疑問を持つ「派遣社員の費用はなぜ75%だけ加算するのか」について詳しく解説します。

参考

近畿税理士会「税法実務講座(法人税)事業税の外形標準課税対象法人の申告の基礎③ 外形標準課税対象法人の申告書作成の基礎」

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