空き家は持つだけで負担になる時代が来るのか 空き家税編

FP
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空き家問題が新たな局面を迎えています。

これまで空き家対策といえば、固定資産税の優遇解除や行政指導が中心でした。しかし今後は「使わない住宅を持ち続けること自体に課税する」という新しい発想が広がろうとしています。

京都市に続き、大阪府寝屋川市も「空き家流通促進税」の導入を目指しています。神戸市でもマンションの空室への課税が検討されています。

なぜ今、自治体は空き家税に動き出したのでしょうか。そして空き家所有者は何を考えておくべきなのでしょうか。

増え続ける空き家という社会問題

総務省の住宅・土地統計調査によると、2023年時点の空き家は全国で900万戸に達しています。

その中でも問題視されているのが「その他空き家」です。

賃貸用や売却予定の住宅、別荘などを除いた、利用目的のない空き家が386万戸存在しています。

30年前と比較すると約2.6倍です。

さらに日本総合研究所の推計では、2043年には約600万戸近くまで増加すると予想されています。

人口減少が進む一方で住宅ストックは増え続けており、空き家問題は今後さらに深刻化すると考えられています。

なぜ自治体は空き家税を導入するのか

自治体の狙いは税収確保ではありません。

本当の目的は「空き家を市場に戻すこと」です。

都市部では住宅需要があるにもかかわらず、相続された住宅が長期間放置されるケースが増えています。

その結果、

・若い世代が住宅を取得しにくい

・地域の人口流出が進む

・防災、防犯上の問題が発生する

・街並みが劣化する

といった課題が発生しています。

そこで自治体は、空き家を所有し続けるコストを高めることで、売却や賃貸への行動を促そうとしているのです。

寝屋川市長が述べているように、

「空き家を放置する負担よりも処分する方が楽だ」

と思ってもらうことが政策の狙いです。

空き家を放置する理由はお金ではない

一見すると、税金を上げれば空き家は減りそうに思えます。

しかし実際には、空き家問題の本質はお金だけではありません。

国土交通省によると、空き家の約6割は相続によって取得されています。

例えば、

親が亡くなった実家

兄弟姉妹で共有している住宅

遠方にある実家

などです。

売却しようとしても、

・相続登記が終わっていない

・共有者全員の同意が必要

・家財道具が残っている

・感情的に処分できない

といった問題が発生します。

所有者自身も高齢化しているため、手続きを進める気力や体力が不足している場合もあります。

つまり空き家問題は、不動産問題というより「相続問題」でもあるのです。

相続対策をしていた家ほど空き家になりにくい

興味深いのは、相続対策がしっかり行われていた家庭ほど空き家問題が起きにくいことです。

例えば、

・遺言書を作成している

・相続人を明確にしている

・家族会議を行っている

・家族信託を活用している

・実家の将来について話し合っている

こうした家庭では相続発生後の意思決定が早くなります。

一方で、

「その時に考えればいい」

という家庭ほど空き家が長期化します。

相続人同士の意見がまとまらず、結果として放置されてしまうのです。

空き家税は、ある意味で相続準備不足への警鐘とも言えるかもしれません。

税理士や司法書士が果たす役割は大きい

今後は税理士や司法書士が空き家問題の解決に関与する場面が増えるでしょう。

空き家問題の背景には、

・相続税

・相続登記

・遺言

・家族信託

・共有名義

・成年後見

など多くの法務・税務課題があります。

単なる不動産売買の問題ではありません。

特に高齢社会が進む中で、

「相続が発生する前にどう準備するか」

が重要になります。

税理士と司法書士が連携することで、空き家の発生そのものを防ぐことができる可能性があります。

空き家税は全国へ広がるのか

今後、空き家税が全国に広がるかはまだ不透明です。

都市部では一定の効果が期待できます。

しかし地方では住宅需要そのものが少ないため、課税しても売却先が見つからないケースが少なくありません。

そのため全国一律ではなく、

「住宅需要の高い都市部」

を中心に導入が進む可能性が高いでしょう。

ただし空き家税の有無に関係なく、空き家を放置するコストは年々増えています。

固定資産税、管理費、修繕費、火災保険料、交通費などを考えれば、使わない不動産を持ち続ける経済合理性は低下しています。

結論

空き家税は単なる新税ではありません。

日本社会が抱える相続問題、高齢化問題、住宅問題を映し出す象徴的な制度です。

これからの時代は「不動産を持つこと」が資産ではなく、「活用できる不動産を持つこと」が資産になります。

実家や相続不動産を所有している人は、税金が始まってから考えるのではなく、今のうちから家族で将来の方針を話し合うことが重要です。

空き家税の本当のメッセージは、「放置しないでください」という行政からのサインなのかもしれません。

参考

日本経済新聞(2026年6月22日夕刊)
「空き家『放置すれば課税』 関西の都市部、導入に動く」

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