なぜ税理士には定年がないのか 生涯現役編 第5回

税理士
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人生100年時代になると、「いつまで働くのか」という問いに向き合わなければなりません。

かつては60歳で定年を迎え、65歳頃から年金生活に入るのが一般的でした。

しかし平均寿命は延び続けています。

健康寿命も伸びています。

一方で、公的年金だけでは十分な生活水準を維持できない人も増えています。

その結果、多くの人が70歳以降も働く時代になりつつあります。

そのような中で、税理士という職業には一つの大きな特徴があります。

それは「定年がない」ということです。

なぜ税理士は生涯現役を続けやすいのでしょうか。

そこには人生100年時代を生きるヒントが隠されているように思います。

年齢が価値になる仕事

多くの職業では年齢が上がるにつれて体力が低下します。

新しい技術への対応も必要になります。

企業組織では役職定年や再雇用制度の問題もあります。

しかし税理士は少し違います。

税理士の価値は体力ではありません。

経験です。

判断力です。

信頼です。

60歳の税理士より80歳の税理士の方が相談件数が多いことも珍しくありません。

それは知識量だけではなく、人生経験そのものが価値になるからです。

人生経験が仕事に生きる

若い頃には分からなかったことが、年齢を重ねると見えてきます。

親の介護。

配偶者との関係。

子どもの独立。

相続問題。

老後資金。

健康不安。

こうした問題は実際に経験して初めて理解できる部分があります。

税理士の顧客の多くも同じような課題を抱えています。

だから人生経験そのものが助言の質を高めます。

年齢を重ねるほど相談者の気持ちが分かるようになります。

これはAIにも若い専門家にも簡単には真似できない価値です。

知識は蓄積され続ける

税理士は毎年新しい制度を学びます。

税制改正があります。

判例が出ます。

新しい制度が始まります。

学び続けることが求められる職業です。

しかし、その学びは積み上がります。

例えば相続税の相談を100件経験した人と、1000件経験した人では見える景色が違います。

成功事例も失敗事例も蓄積されます。

経験が資産になるのです。

年齢とともに価値が下がるのではなく、むしろ高まる職業はそれほど多くありません。

信頼は最大の資産になる

本郷尚先生は「税理士は人に一生付き合っていられる仕事」と語っています。

これは税理士の本質を表しています。

税理士は単発の仕事ではありません。

長い付き合いになります。

会社設立。

決算。

事業承継。

相続。

親の代から子どもの代へ。

場合によっては孫の代へ。

信頼関係が何十年も続くことがあります。

こうした信頼は年齢とともに深まります。

若い頃には作れなかった価値です。

人生後半戦こそ伸びしろがある

一般的には年齢を重ねると成長が止まると思われがちです。

しかし本当にそうでしょうか。

税理士の世界を見ると違います。

60代で新しい分野を学ぶ人がいます。

70代で講師として活躍する人がいます。

80代でも現役で相談を受けている人がいます。

知的労働には定年がありません。

むしろ人生後半戦の方が伸びしろが大きい場合もあります。

なぜなら若い頃よりも経験があるからです。

経験と学習が結び付くことで、さらに大きな価値が生まれます。

人生100年時代の働き方のモデル

税理士という仕事は、人生100年時代の理想的な働き方を示しているように思います。

年齢で価値が下がらない。

経験が資産になる。

人とのつながりが続く。

学び続けることができる。

社会との接点を持ち続けられる。

これは税理士だけの話ではありません。

講師。

コンサルタント。

執筆業。

士業全般。

経験を活かせる仕事には共通する特徴があります。

人生後半戦において重要なのは、体力勝負の仕事から経験勝負の仕事へ軸足を移すことなのかもしれません。

働くことは社会とつながること

仕事には収入以外の価値があります。

人と会う。

学ぶ。

感謝される。

社会とつながる。

これらは生きがいにつながります。

退職後に急に元気を失う人がいる一方で、長く働き続ける人が若々しく見えることがあります。

その違いは社会との接点にあるのかもしれません。

税理士は顧客の課題解決を通じて社会と関わり続けます。

だから生涯現役が可能なのです。

結論

人生100年時代において、定年後の人生はますます長くなります。

その中で税理士という仕事は、年齢が価値になり、経験が資産になり、信頼が蓄積される数少ない職業です。

税理士に定年がない理由は、単に制度上の問題ではありません。

年齢を重ねるほど価値が高まる仕事だからです。

人生後半戦に必要なのは、若さで勝負することではなく、経験を価値に変えることです。

税理士という職業は、そのことを教えてくれているのではないでしょうか。

参考

税のしるべ 2026年6月15日

インタビュー等「私が見た 税を巡る 点と線」

本郷尚氏に過去のエピソード、資産税関係の最近の動向を聞く、貸付用不動産の相続税評価額の改正は根本的な問題に触れず

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