源泉徴収とは何か 会社が毎月の給与から所得税を差し引く理由編

税理士
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会社員の給与明細を見ると、所得税という項目で毎月一定額が差し引かれています。

これが源泉徴収です。

会社員の場合、自分で毎月税務署へ所得税を納めているわけではありません。

給与を支払う会社があらかじめ所得税を給与から差し引き、本人に代わって国へ納付しています。

そして年末になると、一年間に源泉徴収した所得税と本来納めるべき所得税を年末調整によって精算します。

令和8年分は所得税の制度改正が年末調整に反映されるため、源泉徴収と年末調整の関係を理解しておくことが特に重要になります。

源泉徴収とは何か

所得税は、所得を得た本人が税額を計算して納税する申告納税制度が基本です。

しかし、給与や一定の報酬などについては、支払う側が所得税をあらかじめ差し引く源泉徴収制度があります。

会社員の場合、会社が給与や賞与を支払う際に一定の所得税を差し引きます。

従業員には税引き後の金額が支払われ、会社は差し引いた所得税を国へ納付します。

税金が生じる源泉で徴収するため、源泉徴収と呼ばれています。

なぜ会社が所得税を差し引くのか

もし源泉徴収制度がなければ、会社員も一年間の所得を自分で計算し、所得税をまとめて納める必要が生じます。

源泉徴収制度では、給与が支払われる段階で所得税を少しずつ徴収します。

国にとっては税収を安定的に確保しやすくなり、給与所得者にとっては一年分の所得税を一度に用意する必要がなくなります。

さらに、多くの会社員は年末調整によって一年間の所得税の精算まで会社で行われます。

源泉徴収と年末調整は、会社員の所得税を考えるうえで一体となった仕組みといえます。

毎月の所得税はどう決まるのか

会社が自由に所得税額を決めているわけではありません。

給与については、国税庁が公表する源泉徴収税額表などに基づいて源泉徴収する税額を求めます。

給与の金額だけでなく、扶養親族等の数や扶養控除等申告書を提出しているかどうかなどによっても税額は変わります。

賞与についても一定の方法によって源泉徴収税額を計算します。

したがって、給与額が同じ人でも状況によって源泉徴収される所得税額が同じになるとは限りません。

源泉徴収された税額は仮の税額

ここが源泉徴収を理解するときの重要なポイントです。

毎月給与から差し引かれている所得税は、その人が一年間で最終的に負担する所得税額そのものではありません。

年の途中では年間給与が最終的にいくらになるのか確定していません。

生命保険料控除など、年末になってから会社へ申告する所得控除もあります。

扶養親族の状況が年の途中で変わることもあります。

そのため、毎月の源泉徴収だけでは年間の正確な所得税額を確定できません。

そこで年末調整が必要になります。

年末調整で一年分を計算し直す

年末調整では、その年の給与総額を基に一年間で本来納めるべき所得税を計算します。

給与収入から給与所得控除を差し引き、給与所得を求めます。

そこから基礎控除や社会保険料控除、扶養控除、生命保険料控除などを反映して税額を計算します。

こうして求めた一年間の税額と、それまで源泉徴収された所得税の合計額を比較します。

源泉徴収額の方が多ければ還付され、少なければ不足額が徴収されます。

源泉徴収は毎月の徴収、年末調整は年間の精算と考えると両者の関係が分かりやすくなります。

令和8年は少し特殊な年になる

令和8年分の源泉徴収事務では、税制改正との関係に注意が必要です。

令和8年度税制改正による基礎控除の引上げなどは、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。

一方、令和8年中の給与などについては、改正前の源泉徴収税額表によって所得税が計算されています。

そのため、令和8年12月の年末調整では、引上げ後の基礎控除額や令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表を使って一年間の税額を計算します。

そして、それまで源泉徴収した所得税との過不足を精算します。

毎月の所得税をさかのぼって直すわけではない

令和8年分について誤解しやすいのが、この点です。

制度が変わったからといって、会社が一月から十一月までの給与計算を一件ずつさかのぼって修正するという意味ではありません。

年末調整で改正後の制度に基づく一年間の所得税額を計算し、それまで源泉徴収してきた所得税との違いをまとめて精算します。

この仕組みがあるため、年の途中で税制改正が反映される場合でも、一年間の所得税を最終的に正しい金額へ合わせることができます。

年末調整が所得税の精算機能を持っていることがよく分かる事例です。

令和9年からは新しい税額表へ移る

令和8年12月の年末調整を終えた後は、令和9年の給与計算へ移ります。

国税庁は令和9年分の源泉徴収税額表も公表しています。

令和8年については年末調整の段階で改正後の制度を反映しますが、令和9年からは新しい制度を前提とした源泉徴収事務が始まります。

給与担当者にとっては、令和8年の年末調整と令和9年の毎月の給与計算を連続した制度変更として捉えることが重要になります。

結論

源泉徴収とは、会社などの給与支払者が給与を支払う際に所得税をあらかじめ差し引き、本人に代わって国へ納付する仕組みです。

ただし、毎月源泉徴収される所得税は、その人が一年間で最終的に負担する税額ではありません。

一年間の給与額や各種所得控除などが確定したところで年税額を計算し、それまで源泉徴収された所得税との過不足を年末調整で精算します。

令和8年は基礎控除や給与所得控除などの改正が年末調整に反映されるため、この関係が特に分かりやすく表れる年です。

毎月の源泉徴収で税金をいったん納め、年末調整で一年間の正しい税額に合わせる。

この二段階の仕組みを理解すると、給与明細から年末調整までの所得税の流れが見えやすくなります。

参考

税のしるべ 2026年9月7日 8年分年末調整のしかたを公表、昨年との変更点や留意事項など掲載

国税庁 2026年8月31日 令和8年分 年末調整のしかた

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