法人住民税はなぜ法人税と連動するのか 地方税完成編

税理士
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外形標準課税の申告書を作成する際、多くの人は法人事業税や特別法人事業税に注目します。

しかし、最終的に忘れてはならない税目があります。

それが法人住民税です。

法人住民税は地方税でありながら、法人税額と密接な関係を持っています。

そのため国税である法人税の計算結果が変わると、地方税である法人住民税も変わります。

なぜそのような仕組みになっているのでしょうか。

今回は外形標準課税申告の最後を飾る法人住民税について解説します。

法人住民税とは何か

法人住民税は、法人が事務所や事業所を置く地方自治体へ納める税金です。

個人に住民税があるように、法人にも住民税があります。

地方自治体が提供する行政サービスの費用を広く負担するという考え方に基づいています。

企業は道路や上下水道を利用します。

防災や消防サービスの恩恵も受けています。

そのため地域社会の構成員として一定の負担を行う必要があるのです。

法人住民税は二つの税額で構成される

法人住民税は大きく分けて二つの税額で構成されています。

法人税割

均等割

です。

法人税割は法人税額を基礎として計算されます。

一方、均等割は資本金や従業者数などによって決まります。

この二つを合計して法人住民税額が算出されます。

なぜ法人税額を基礎にするのか

法人住民税の最大の特徴は、法人税額と連動していることです。

法人税額が増えれば法人住民税も増えます。

逆に法人税額が減れば法人住民税も減ります。

これは法人の担税力を簡便に把握するためです。

地方自治体が独自に所得計算を行うと非常に大きな事務負担が発生します。

そこで国税である法人税の計算結果を活用しているのです。

国税と地方税が連携している代表的な例といえるでしょう。

講義資料の事例で確認する

講義資料では、

法人税額

4億2,950万9,720円

が示されています。

この法人税額を基礎として法人住民税の法人税割が計算されます。

税率は都道府県ごとに異なり、

大阪府

2.0%

奈良県

1.8%

となっています。

同じ法人税額でも税率の違いによって税額が変わることになります。

均等割とは何か

均等割は利益とは無関係の税金です。

赤字であっても課税されます。

講義資料では、

大阪府

108万円

奈良県

56万7,000円

となっています。

均等割は企業規模に応じた最低限の負担という性格を持っています。

利益がなくても地域社会の行政サービスを利用している以上、一定の負担を求めるという考え方です。

法人住民税にも分割基準が関係する

法人住民税も複数の都道府県に事業所がある場合には配分が必要です。

本社所在地だけでなく、各事業所所在地へ税額が配分されます。

そのため法人事業税と同様に分割基準が重要になります。

従業者数や事業所の状況を正確に把握しなければなりません。

地方税の実務では分割基準の理解が欠かせない理由がここにあります。

予定申告税額との精算

実務では確定申告だけで終わりません。

多くの企業は中間申告で予定納税を行っています。

講義資料でも、

法人税割

大阪府167万6,800円

奈良県162万2,700円

均等割

大阪府54万円

奈良県28万3,500円

が既に納付されています。

確定申告ではこれらを差し引いて最終納付税額を計算します。

申告書完成までの流れ

ここまでのシリーズで学んだ内容を整理すると、

所得の計算

付加価値額の計算

資本金等の額の計算

分割基準の計算

法人事業税の計算

特別法人事業税の計算

法人住民税の計算

という流れになります。

第六号様式はこれら全ての結果を集約する最終ステージなのです。

税理士が果たす役割

法人住民税は税率を掛けるだけの単純な税金に見えるかもしれません。

しかし、その前提となる法人税額や分割基準が正確でなければ正しい税額は算出できません。

税理士には単なる計算作業ではなく、国税と地方税のつながりを理解したうえで全体を管理する能力が求められます。

外形標準課税の実務とは、まさにその総合力が問われる分野なのです。

結論

法人住民税は法人税割と均等割で構成される地方税です。

法人税割は法人税額と連動し、均等割は企業規模に応じて課税されます。

外形標準課税の申告では、法人事業税や特別法人事業税だけでなく法人住民税まで含めて初めて全体が完成します。

地方税申告の実務を理解するためには、それぞれの税目を個別に見るのではなく、一つの流れとして捉えることが重要です。

今回で「外形標準課税対象法人の申告書作成の基礎」シリーズは一区切りとなります。次回からは税務調査や実務上の誤りやすいポイントなど、より実践的なテーマへ進んでいきます。

参考

近畿税理士会「税法実務講座(法人税)事業税の外形標準課税対象法人の申告の基礎③ 外形標準課税対象法人の申告書作成の基礎」

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