株式市場が好調な時期ほど、多くの投資家は「もっと利益を伸ばしたい」と考えがちです。しかし、本当に資産を増やし続けている人は、上昇相場の中でも「守る資産」を意識しています。
株価が大きく上昇した今だからこそ、債券という資産の価値を見直すタイミングが訪れています。
今回は、株高の時代にあえて債券へ目を向ける意味について考えてみます。
株式だけでは資産は守れない
新NISAの普及もあり、日本でも株式投資を始める人が大幅に増えました。
資産形成の入り口として株式投資は非常に有効です。しかし、株式だけに資産が偏ることには大きなリスクがあります。
どれほど優良企業でも、景気後退や金融政策、地政学リスクなどによって株価は大きく変動します。
世界中に分散投資していても、市場全体が急落する局面では、多くの株式が同じ方向へ値下がりすることも珍しくありません。
つまり、「分散しているつもり」が実は十分な分散になっていないケースもあるのです。
債券は利益を狙う商品ではなく守る商品
債券は株式ほど大きな値上がりは期待できません。
その代わり、一定期間ごとに利息を受け取り、満期まで保有すれば元本が返済されるものが多く、価格変動も比較的小さいという特徴があります。
つまり、債券は資産を大きく増やすためではなく、資産全体の安定性を高めるための存在です。
資産運用では「攻め」と「守り」の両方が必要です。
株式が攻めなら、債券は守りです。
この両方が揃って初めて、長期的な資産形成が安定します。
金利がある時代は債券の魅力が高まる
日本では長い間、超低金利が続いていました。
そのため、多くの人にとって債券は「あまり利回りが期待できない商品」という印象だったかもしれません。
しかし現在は金利環境が変わり始めています。
個人向け国債や社債などでも、以前より高い利回りの商品が増えてきました。
物価上昇が続く中でも、一定の利回りを得られる金融商品として債券への関心が高まっているのは自然な流れといえるでしょう。
投資環境が変化すれば、資産配分も見直すことが重要になります。
資産配分が運用成果を左右する
投資では、「何を買うか」より「どのように配分するか」が重要だとよくいわれます。
資産運用の世界では、運用成果の多くは資産配分によって決まるという考え方があります。
株式100%の運用と、株式・債券を組み合わせた運用では、長期間で見たリスクの大きさが大きく異なります。
急落局面で冷静に投資を続けられるかどうかは、精神的な安心感にも左右されます。
債券はリターンだけでなく、「安心して投資を続けられる環境」を作る役割も果たしているのです。
資産形成は増やすことと守ることの両立
資産形成というと、「いくら増やせるか」に目が向きがちです。
しかし、本当に重要なのは「増えた資産をどう守るか」です。
株価が高い時期ほど利益確定や資産配分の見直しを行い、守りの資産を少しずつ増やしていくことが、将来の安定した資産形成につながります。
海外では株式と債券を組み合わせることが資産運用の基本になっています。
日本でも今後、金利のある時代が本格化すれば、債券はこれまで以上に身近な資産になるでしょう。
結論
株価が上昇している今こそ、「もっと増やす」ことだけでなく、「どう守るか」を考える時期です。
債券は派手な金融商品ではありません。しかし、市場が不安定になったときに資産全体を支える重要な役割を担います。
長期的な資産形成で大切なのは、相場を当てることではなく、どんな相場でも続けられる資産配分を作ることです。
株式と債券、それぞれの特徴を理解し、自分に合ったバランスで運用することが、人生100年時代の資産形成においてますます重要になっていくでしょう。
参考
日本経済新聞 2026年6月30日夕刊
株高の今こそ債券の出番 #十字路