子ども・子育て支援金制度について、多くの人が最初に気になるのは、
結局いくら引かれるのか
という点です。
ただし、この制度は単純な定額負担ではなく、社会保険と同様に「所得比例」と「労使折半」を組み合わせた構造になっています。
本稿では、負担額の決まり方とその意味を整理し、見落としがちなポイントまで分解していきます。
負担対象者は誰か
まず、この制度の対象となるのは、
医療保険の被保険者
です。
具体的には、
・会社員(健康保険・協会けんぽ・健保組合)
・自営業者(国民健康保険)
・後期高齢者医療制度の加入者
といった、広い範囲の人が対象になります。
ここで重要なのは、
子どもの有無は関係ない
という点です。
この制度は個人の属性ではなく、「社会保険に加入しているか」で対象が決まります。
負担額の基本構造
負担額は以下の式で決まります。
標準報酬月額 × 支援金率
2026年度の支援金率は0.23%であり、労使折半となるため、
従業員負担は0.115%
となります。
つまり、実際の負担は
給与に比例して増える仕組み
です。
年収別の負担イメージ
資料に示されている代表的な水準を整理すると、以下のとおりです。
・年収200万円:約192円/月
・年収400万円:約384円/月
・年収600万円:約575円/月
・年収800万円:約767円/月
・年収1,000万円:約959円/月
このように、
負担は数百円レベルに収まる一方で、確実に増加する構造
となっています。
見落とされがちなポイント①:賞与にも課される
この制度は給与だけでなく、
賞与にも適用されます。
計算式は同じで、
標準賞与額 × 支援金率
となります。
例えば、
・賞与80万円の場合
→ 支援金額 約1,840円(従業員負担)
となります。
つまり、
年間で見ると負担額は想像より大きくなる可能性がある
点には注意が必要です。
見落とされがちなポイント②:会社も同額負担している
この制度は労使折半であるため、
会社も同額を負担しています。
例えば従業員が月500円負担している場合、
会社も500円負担しています。
この構造は、
・従業員の手取り減少
・企業のコスト増加
を同時に発生させます。
特に従業員数の多い企業では、
無視できないコストインパクト
になります。
見落とされがちなポイント③:今後は確実に上がる
2026年度の0.23%という水準は、あくまで初年度です。
制度上は、
・2027年度:約0.31%
・2028年度:約0.4%
まで引き上げられる予定とされています。
つまり、
負担は今後段階的に増加する前提で設計されている
という点が重要です。
見落とされがちなポイント④:控除は終わらない
この制度は時限措置ではなく、
恒久的な制度
として設計されています。
現時点では、
終了時期は定められていません。
したがって、
一度始まった控除は基本的に継続する
と理解する必要があります。
負担構造の本質
ここまで整理すると、この制度の特徴は次の3点に集約されます。
・所得比例(高所得ほど負担増)
・全員負担(子どもの有無に関係なし)
・長期継続(恒久制度)
これはまさに、
社会保険の典型的な構造
です。
結論
子ども・子育て支援金制度の負担は、
金額としては小さく見える一方で、
・対象は広い
・将来にわたり継続する
・段階的に増加する
という特徴を持っています。
そのため重要なのは、
「今いくらか」ではなく
「この構造が今後どう影響するか」
という視点です。
個人にとっては可処分所得、企業にとっては人件費に影響する制度であり、長期的な前提として捉える必要があります。
参考
・こども家庭庁 パンフレット「子ども・子育て支援金制度」
・企業実務 2026年5月号「子ども・子育て支援金制度 徹底解説」