子ども・子育て支援金制度は会社にどこまで影響するのか(経営インパクト編)

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子ども・子育て支援金制度は、従業員の給与から控除される制度として認識されがちです。

しかし実務的には、

会社側も同額を負担する

という点が重要です。

この制度は、単なる従業員の手取りの問題ではなく、

企業のコスト構造そのものに影響する制度

です。

本稿では、企業側の負担と経営インパクトを整理します。


会社負担はどの程度発生するのか

制度は労使折半のため、

従業員負担と同額を会社が負担します。

例えば、

・従業員1人あたり月500円の負担
→ 会社も500円負担

となります。

一見すると小さい金額ですが、

従業員数に比例して積み上がる

点が重要です。


人数規模別のインパクト

単純に試算すると、

・従業員10人 → 月5,000円
・従業員100人 → 月5万円
・従業員1,000人 → 月50万円

となります。

さらに賞与にも適用されるため、

年間ベースではより大きな金額になります。

つまりこの制度は、

固定費として積み上がる人件費

です。


今後の最大の論点:料率の引上げ

現行の支援金率は0.23%ですが、

制度上は段階的な引上げが予定されています。

・2027年度:約0.31%
・2028年度:約0.4%

この変化は、

単純にコストが約2倍近くになる

ことを意味します。

したがって企業としては、

現在の負担額で判断するのは危険

です。


人件費構造への影響

この制度の特徴は、

給与に比例する

という点です。

そのため、

・高給与の企業ほど負担増
・人件費比率の高い業種ほど影響大

という構造になります。

特に以下の業種では影響が大きくなります。

・人材サービス
・IT・コンサル
・医療・介護
・小売・外食

つまり、

労働集約型ビジネスほど影響が大きい

制度です。


価格転嫁できるかという問題

企業が直面する本質的な問題は、

このコストを外部に転嫁できるか

です。

選択肢は大きく3つです。

・価格に転嫁する
・賃上げを抑制する
・利益を圧縮する

どれを選んでも、

何らかの歪みが発生します。

特に中小企業では、

価格転嫁が難しいケースが多く、

結果として

賃上げ余力の圧迫

につながる可能性があります。


賃上げとの関係

政府はこの制度について、

賃上げと組み合わせて負担を吸収する

という前提を示しています。

しかし実務的には、

・賃上げ → コスト増
・支援金 → コスト増

となるため、

企業側の負担は二重に増える構造

になります。

この点は、現場感覚とのギャップが大きい部分です。


見落とされがちな影響:採用戦略

人件費が増加するということは、

採用戦略にも影響します。

具体的には、

・採用人数の抑制
・外注化の検討
・非正規化の進行

といった行動につながる可能性があります。

つまりこの制度は、

企業の雇用行動にも影響を与える

制度です。


中小企業への影響の特徴

中小企業においては、

以下の特徴がより強く出ます。

・利益率が低い
・価格転嫁が難しい
・人件費比率が高い

このため、

わずかなコスト増でも経営に直結する

という構造があります。

資料でも、

経営層への説明や予算への反映が必要

と指摘されているとおり、

制度対応は単なる事務ではなく、

経営判断の領域

になります。


制度をどう捉えるべきか

企業として重要なのは、

この制度を「一時的な負担」と見るか、

「構造的なコスト」と見るか

です。

本制度は、

・恒久制度
・段階的引上げ
・社会保険方式

という特徴から、

明らかに後者です。


結論

子ども・子育て支援金制度は、

企業にとって

・見えにくい固定費の増加
・将来に向けたコスト拡大
・人件費戦略への影響

をもたらす制度です。

重要なのは、

今の負担額ではなく、

将来のコスト構造の変化をどう読むか

という視点です。

制度対応は単なる経理処理ではなく、

経営戦略の一部

として捉える必要があります。


参考

・こども家庭庁 パンフレット「子ども・子育て支援金制度」
・企業実務 2026年5月号「子ども・子育て支援金制度 徹底解説」

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