反社会的勢力は税理士をどう利用するのか 実例研究編

税理士
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多くの税理士は反社会的勢力と直接関わることはないと思っています。

実際、その通りでしょう。

しかし問題は、反社会的勢力が「反社会的勢力らしく見えない」ことです。

スーツを着ている。

会社を経営している。

名刺を持っている。

立派な事務所がある。

そのような外見だけでは見分けることはできません。

だからこそマネー・ローンダリング対策が必要になるのです。

今回は反社会的勢力が専門家をどのように利用しようとするのかについて考えてみます。

反社会的勢力の目的は何か

反社会的勢力の最終目的は資金の獲得です。

しかし犯罪によって得た資金は、そのままでは自由に使えません。

銀行口座を開設する。

不動産を購入する。

会社を経営する。

投資を行う。

こうした経済活動を行うためには資金を合法的なものに見せる必要があります。

そこで専門家の知識や社会的信用が利用されることがあります。

なぜ専門家が狙われるのか

税理士には社会的な信用があります。

税理士が関与している会社。

税理士が作成した決算書。

税理士が関与した税務申告。

これらは社会的な信頼を得やすくなります。

もちろん税理士が不正に加担するわけではありません。

しかし反社会的勢力は専門家が関与していること自体を利用しようとすることがあります。

だからこそ税理士には適切な確認が求められるのです。

会社設立で利用されるケース

反社会的勢力が利用しようとする代表例が会社設立です。

法人を設立すれば、

銀行口座を開設できる

契約を締結できる

資金移動ができる

というメリットがあります。

しかも設立時には実績がないため、実態を見抜くことが難しい場合があります。

税理士としては、

事業内容

資本金の出所

設立目的

実質的支配者

を丁寧に確認することが重要です。

名義人が利用されることもある

反社会的勢力は自らの名前を前面に出さないことがあります。

親族。

知人。

従業員。

第三者。

こうした人を名義人として利用することがあります。

その結果、表面的には問題が見えにくくなります。

だからこそ犯収法では実質的支配者の確認が重視されています。

誰が本当に利益を得るのか。

誰が実際に支配しているのか。

そこを見ることが重要なのです。

不動産取引も要注意

不動産はマネロンに利用されやすい資産です。

高額である。

価値を保存できる。

売却によって現金化できる。

こうした特徴があります。

税理士が譲渡所得や相続対策の相談を受ける際にも、不自然な資金移動や取引の背景に注意を払う必要があります。

取引価格だけではなく、資金の流れを見ることが重要です。

税理士に求められる対応

税理士に求められているのは反社会的勢力を見抜くことではありません。

それは現実的ではないからです。

求められているのは、

本人確認を行う

実質的支配者を確認する

取引目的を確認する

記録を保存する

違和感を見逃さない

という基本動作です。

実はこれこそが最も有効な対策なのです。

「うちは関係ない」が最も危険

マネロン対策で最も危険な考え方があります。

それは、

うちの事務所には関係ない

という考え方です。

多くの問題は予想外のところから発生します。

地方だから大丈夫。

昔からの顧客だから大丈夫。

紹介だから安心。

こうした思い込みはリスクになります。

だからこそ全ての顧客に対して同じ基準で確認することが重要なのです。

信頼を守るための仕組み

税理士の最大の財産は信頼です。

もし反社会的勢力との関与が発覚すれば、事務所の信用は大きく傷つきます。

だからこそ犯収法への対応は単なる法令遵守ではありません。

事務所のブランドを守る活動でもあります。

顧客の信頼。

社会の信頼。

職業の信頼。

それらを守るための取り組みなのです。

結論

反社会的勢力は会社設立や不動産取引などを通じて、専門家の知識や社会的信用を利用しようとすることがあります。しかし税理士に求められているのは反社会的勢力を見抜くことではなく、本人確認や実質的支配者確認などの基本的な手続を適切に行うことです。

「うちは関係ない」という思い込みを捨て、全ての顧客に同じ基準で対応することが重要です。それが顧客を守り、税理士自身の信頼を守る最善の方法なのです。

参考

警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策第一課犯罪収益対策室(JAFIC)
「マネー・ローンダリング対策について」講義資料

警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策第一課犯罪収益対策室(JAFIC)
「疑わしい取引の届出方法について」補助資料

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