副業1000万円時代に個人事業税はどう変わるのか 新しい働き方編

税理士
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近年、副業を認める企業が増えています。かつて副業といえば月数万円のお小遣い稼ぎをイメージする人が多かったかもしれません。しかし現在は状況が大きく変わりました。

YouTube配信、オンライン講座、SNS運用支援、コンサルティング、コンテンツ販売、プログラミングなどを通じて、本業を持ちながら年間数百万円から1000万円以上の収入を得る人も珍しくなくなっています。

こうした新しい働き方の広がりは、税制にも大きな影響を与えています。その代表例が個人事業税です。

東京都や全国知事会では、個人事業税の見直しを求める声が強まっています。副業1000万円時代に個人事業税はどう変わるのでしょうか。

副業はもはや小遣い稼ぎではない

インターネットとAIの発達により、個人でも全国や世界を相手に仕事ができる時代になりました。

例えば、

・オンライン講師

・動画配信者

・インフルエンサー

・生成AIコンサルタント

・デジタルコンテンツ販売者

・サブスクリプション型サービス運営者

などです。

これらの事業は店舗も設備もほとんど必要ありません。

会社員として働きながら、夜間や休日に事業を行い、本業を超える収入を得る人も増えています。

税制が想定していた「本業か副業か」という区分そのものが曖昧になりつつあるのです。

現行の個人事業税は昭和型の制度

現在の個人事業税は、地方税法で定められた70業種だけを対象としています。

この仕組みは長年維持されてきました。

しかし制度が作られた時代には、

・YouTuber

・TikToker

・オンラインサロン運営者

・SNSマーケター

・AIプロンプト販売者

といった職業は存在していませんでした。

その結果、事業として大きな利益を上げていても、法定業種に該当しなければ個人事業税が課税されないケースが発生しています。

一方で、昔から存在する業種には課税されます。

これでは税負担の公平性に疑問が生じます。

副業1000万円でも非課税の可能性がある

極端な例ですが、ある人は副業で年間1000万円の利益を得ていても個人事業税が課税されない場合があります。

一方で、別の人は同程度の利益で個人事業税を負担しているかもしれません。

これは事業の実態ではなく、法定業種への該当性によって決まるためです。

税金は本来、担税力に応じて公平に負担することが求められます。

そのため、「どの業種か」よりも「事業として継続的に利益を得ているか」を重視すべきではないかという議論が強まっています。

今後は事業所得課税へ移行する可能性

東京都が提案しているのは、

「70業種限定課税」

から

「事業所得又は不動産所得を有する者への課税」

への転換です。

もし実現すれば、個人事業税は大きく変わります。

課税対象を業種で判断するのではなく、事業として所得を得ているかどうかで判断する方向になります。

これは法人事業税の考え方に近い仕組みです。

デジタル時代に対応しやすくなり、行政側の判定負担も減少すると考えられています。

副業会社員への影響

制度改正が実現した場合、副業収入が大きい会社員への影響は小さくありません。

これまで個人事業税を意識していなかった人も、

・所得税

・住民税

・国民健康保険

に加えて、

・個人事業税

を考慮する必要が出てくる可能性があります。

特に利益率の高いデジタルビジネスでは影響が大きくなるでしょう。

副業の収益管理や法人化の検討も重要になります。

法人化との比較がより重要になる

副業収入が大きくなるほど、法人化との比較検討が欠かせません。

個人のまま事業を続けるのか。

法人を設立するのか。

役員報酬をどう設定するのか。

社会保険への影響をどう考えるのか。

こうした判断は税金だけでなく、将来の事業拡大や資産形成にも関係してきます。

副業1000万円時代は、単なる節税ではなく「事業設計」の時代ともいえるでしょう。

税理士の役割も変わる

税理士の仕事も変化していきます。

これまでは確定申告や記帳指導が中心でした。

しかし今後は、

「副業は事業所得になるのか」

「個人事業税の対象になるのか」

「法人化のタイミングはいつか」

「本業とのバランスをどう取るか」

といった経営判断の相談が増えるでしょう。

税理士は税金を計算する専門家から、働き方と事業設計を支援するアドバイザーへ進化することが求められています。

個人事業税は働き方の変化を映す鏡

個人事業税の見直し議論は、単なる地方税改革ではありません。

それは日本人の働き方そのものが変わったことを示しています。

会社に勤めながら事業を行う。

複数の収入源を持つ。

AIを活用して一人で事業を運営する。

こうした働き方が当たり前になる時代に、昭和型の税制がそのままでよいのかが問われています。

個人事業税の見直しは、税制改革であると同時に働き方改革でもあるのです。

結論

副業1000万円時代の到来によって、個人事業税の在り方が大きく問われています。

現在の70業種限定方式は、新しいデジタルビジネスや多様な働き方への対応が難しくなっています。

今後は業種ではなく事業所得そのものに着目した課税制度へ移行する可能性があります。

税理士にとっても、副業時代の事業設計や法人化支援という新たな役割が広がるでしょう。

個人事業税の見直しは、税制だけでなく、日本人の働き方の未来を映し出す重要なテーマなのです。

参考

税のしるべ 2026年6月22日

個人事業税の見直し機運高まる、都税調が事業形態の多様化による事業性認定の課題を挙げる

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