債務免除を受けると消費税はかかるのか 借金を免除されても課税売上げにならない理由編

税理士
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会社の経営が悪化した場合などに、金融機関や株主、役員などから借りているお金について債務免除を受けることがあります。

例えば、会社が代表者の親族から4,000万円を借りており、会社を解散する際に、その4,000万円の返済を免除してもらったとします。

会社にとっては4,000万円の債務がなくなるため、経済的な利益を受けたことになります。

では、この4,000万円に消費税はかかるのでしょうか。

消費税では、利益が生じたかどうかではなく、その利益が資産の譲渡や役務の提供などの対価なのかを考える必要があります。

債務免除とは何か

債務免除とは、債権者が債務者に対して返済義務の全部または一部を免除することです。

例えば、会社が4,000万円を借りていたところ、債権者から返済しなくてよいとされた場合、会社の4,000万円の債務は消滅します。

会計や法人税では、債務免除によって生じた利益について債務免除益として処理することがあります。

しかし、利益として認識されることと、消費税が課税されることは別の問題です。

消費税は利益そのものに課税する税金ではない

消費税は、会社や個人事業者の利益に対して直接課税する税金ではありません。

国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供などが基本的な課税対象です。

そのため、会社に経済的な利益が発生したとしても、その原因となった取引に対価性がなければ、消費税の課税対象にならないことがあります。

債務免除は、その代表的なケースです。

借入金そのものには消費税がかからない

そもそも、お金を借りる行為そのものについて消費税が課税されるわけではありません。

例えば、会社が株主から4,000万円を借りたとしても、4,000万円の借入金について消費税を計算することはありません。

そして、その4,000万円について返済義務を免除されたとしても、会社が債権者に商品を販売したわけでも、サービスを提供したわけでもありません。

したがって、借入金に係る債務免除益は、資産の譲渡等の対価には該当せず、消費税の課税対象にはなりません。

値引きと債務免除は何が違うのか

ここで区別したいのが、仕入代金の値引きと債務免除です。

例えば、100万円の商品を購入した後、商品の品質などを理由として代金を10万円値引きしてもらったとします。

これは当初の取引価格を100万円から90万円へ修正したものと考えることができます。

消費税では、このような返品、値引き、割戻しなどについて、仕入れに係る対価の返還等として仕入税額控除の調整が必要になる場合があります。

一方、取引先の経営状態や支払能力などを考慮して債務を免除した場合は事情が異なります。

当初の商品やサービスの価格を修正したのではなく、その後の事情によって債権者が債務を免除したものだからです。

そのため、通常の値引きと同じように処理するわけではありません。

仕入税額控除を戻す必要もない

例えば、過去に商品を仕入れ、その際に仕入税額控除を行っていたとします。

その後、会社の資金繰りが悪化したため、取引先から買掛金の一部について債務免除を受けたケースを考えてみます。

債務免除を受けたからといって、必ず過去の仕入税額控除を取り消すわけではありません。

取引先の支払能力や資産状態などを考慮して行われる債務免除は、通常、個々の取引価格そのものを修正する値引きなどとは区別されます。

この違いを理解しておくことが重要です。

利息については別の課税関係がある

金銭の貸付けでは、元本と利息を分けて考える必要があります。

貸付金の元本そのものについて消費税の課税関係は生じません。

一方、金銭の貸付けに伴って受け取る利息については、消費税では非課税取引として取り扱われます。

つまり、元本については消費税の課税対象外となり、利息については非課税となります。

どちらも消費税を納めないという結果だけを見ると同じように見えますが、消費税法上の位置付けは異なります。

不課税と非課税は同じではない

消費税実務では、不課税と非課税を区別することも大切です。

不課税とは、そもそも消費税の課税対象となる取引に該当しないものです。

債務免除益は、資産の譲渡や役務提供の対価ではないため、基本的にはこの考え方になります。

一方、非課税とは、本来は消費税の課税対象となり得る取引であっても、政策的な理由などから消費税を課さないと定められている取引です。

金銭の貸付けに伴う利息などが代表例です。

会計処理をするときには、この違いを意識する必要があります。

結論

会社が借入金について債務免除を受けると、会計や法人税では債務免除益が生じることがあります。

しかし、利益が発生したからといって消費税が課税されるわけではありません。

借入金に係る債務免除は、会社が商品を販売した対価でもサービスを提供した対価でもないため、原則として消費税の課税対象にはなりません。

また、取引先の支払能力などを考慮して行われる債務免除は、通常の商品代金の値引きとは異なるため、仕入れに係る対価の返還等として仕入税額控除を調整するものでもありません。

消費税では、会社に利益が生じたかどうかではなく、そのお金が何の対価として発生したのかを確認することが重要です。

参考

税のしるべ 2026年9月7日 令和8年・役に立つ消費税実務問答集

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