ゴーストレストランとは何か 食料品減税をきっかけに外食企業が宅配を強化する理由編

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2027年4月から食料品の消費税率が8パーセントから1パーセントへ引き下げられる予定です。

一方、飲食店での店内飲食は10パーセントのままです。

この大きな税率差を前に、外食企業ではテイクアウトや宅配を強化する動きが出ています。

そのなかで注目されるのがゴーストレストランです。

ゴーストレストランとは、一般的な飲食店のように客席で料理を提供することを中心とせず、宅配や持ち帰りを中心として料理を販売する業態です。

食料品減税は、私たちがスーパーで支払う税金を減らすだけではありません。

外食企業の店舗や厨房の使い方まで変える可能性があります。

今回は、ゴーストレストランの仕組みと食料品減税との関係を考えてみます。

ゴーストレストランとは何か

一般的なレストランには客席があります。

消費者が店舗を訪れ、料理を注文し、店内で食べます。

一方、ゴーストレストランは宅配や持ち帰りを中心として料理を提供します。

客席を設けない業態もあります。

消費者から見ると、注文はスマートフォンなどで行い、料理は自宅などへ届けてもらいます。

そのため料理を作っている厨房を消費者が直接見ることなく利用するケースもあります。

通常の飲食店とは店舗の役割が違うわけです。

客席を持たないことで店舗の使い方が変わる

一般的な飲食店では、厨房だけでなく客席にも大きなスペースが必要です。

テーブルや椅子を置きます。

接客する従業員も必要です。

店内の清掃なども行わなければなりません。

ゴーストレストランでは宅配を中心とすることで、こうした客席部分を小さくしたり、持たなかったりすることができます。

料理を作る機能に店舗を集中させられます。

特に賃料の高い都市部では、客席をどこまで持つのかは経営上重要な問題です。

宅配需要が増えれば、厨房中心の店舗という考え方が広がる可能性があります。

既存の厨房を活用することもできる

ゴーストレストランは、必ずしも新しい厨房をつくらなければ始められないわけではありません。

既存の飲食店の厨房を活用する方法もあります。

例えば昼間と夜間で厨房の稼働率が違う飲食店があるとします。

比較的余裕のある時間帯に宅配用の商品を作れば、既存設備を有効活用できます。

さらに同じ厨房から複数のブランドの商品を販売する方法もあります。

実際の厨房は1カ所でも、消費者が注文するときには和食、弁当、スイーツなど異なるブランドとして表示されることがあります。

1つの厨房を複数の販売チャネルに利用できることが特徴です。

テイクアウトとは何が違うのか

テイクアウトとゴーストレストランは似ていますが、少し考え方が違います。

一般的なテイクアウトでは、店内飲食を行っている店舗が持ち帰り商品も販売します。

つまり店内飲食が中心で、持ち帰りという販売方法を追加する形が多くなります。

一方、ゴーストレストランでは最初から宅配や持ち帰りを中心に設計できます。

客席で食べてもらうことを前提としないため、店舗の立地や設備、商品構成も変えることができます。

外食企業から見ると、店内飲食とは別の事業モデルとして展開することも可能です。

食料品減税で宅配が注目される理由

2027年4月から対象となる食料品の消費税率は1パーセントになります。

一方、店内飲食は10パーセントです。

差は9ポイントです。

この税率差によって、消費者が店内飲食より持ち帰りや宅配を選ぶ場面が増える可能性があります。

もちろん宅配には配送料などがかかる場合があります。

そのため税率だけで宅配の方が必ず安くなるわけではありません。

それでも外食企業にとって、店内飲食だけに依存することのリスクはこれまでより大きくなる可能性があります。

そこで宅配や持ち帰りという別の販売経路を持つことが重要になります。

外食企業は客離れを警戒している

外食業界が宅配を強化する背景には、食料品減税による客離れへの警戒があります。

スーパーやコンビニで購入する対象食料品が1パーセントになる一方、外食は10パーセントです。

消費者が食費を節約しようと考えれば、外食回数を減らしてスーパーの総菜や弁当を購入することも考えられます。

外食企業から見ると、店内へ来なくなった消費者との接点を失わないことが重要になります。

来店しなくても宅配で注文してもらう。

店内で食べなくても持ち帰ってもらう。

こうした販売経路を増やすことで、店内飲食だけに依存しない収益構造をつくるわけです。

複数ブランドを展開しやすい

ゴーストレストランには、商品を試しやすいという特徴もあります。

通常の飲食店で新しい業態を始める場合、新店舗を出店するには大きな投資が必要になります。

物件を借ります。

内装工事をします。

看板を設置します。

客席をつくります。

従業員も配置します。

一方、既存厨房を使った宅配ブランドであれば、こうした投資を抑えられる場合があります。

新しいメニューやブランドを投入し、注文がどの程度入るのかを確認できます。

需要が少なければ商品を変更することも比較的容易です。

デジタル注文と相性のよい業態でもあります。

外食企業の競争相手が広がる

ゴーストレストランが増えると、外食産業の競争の形も変わります。

従来の飲食店であれば、近隣にあるレストラン同士が競争することが中心でした。

しかし宅配では消費者がスマートフォンの画面から複数の店を比較できます。

さらにスーパーの総菜、コンビニの弁当、持ち帰り専門店なども選択肢になります。

消費者から見ると

外食

中食

宅配

という境界が次第に曖昧になります。

外食企業は飲食店だけでなく、食品スーパーやコンビニなどとも同じ食事需要を取り合うことになります。

税率差だけで成功するわけではない

ただし、食料品の税率が1パーセントになるからといって、ゴーストレストランが必ず成功するわけではありません。

宅配には別のコストがあります。

料理を入れる容器が必要です。

配送にも費用がかかります。

宅配サービスを利用すれば手数料が発生することもあります。

料理によっては、店舗で出来たてを食べる場合と宅配では品質に差が出ることもあります。

さらに消費者が画面上で多くのブランドを比較するため、価格競争が激しくなる可能性もあります。

税率差は追い風の1つですが、それだけで収益性が決まるわけではありません。

店舗は食べる場所から料理を作る拠点へ変わるのか

ゴーストレストランの広がりは、飲食店という店舗の意味を変える可能性があります。

これまで飲食店は

料理を作る場所

料理を食べる場所

接客を受ける場所

という3つの機能を一体として持っていました。

宅配中心の業態では、このうち料理を作る機能を切り離すことができます。

店舗は必ずしも消費者が訪れる場所である必要がなくなります。

厨房そのものが宅配商品の生産拠点になるわけです。

食料品減税によって中食や宅配への需要が増えれば、こうした店舗の使い方がさらに広がる可能性があります。

結論

ゴーストレストランとは、客席での店内飲食を中心とせず、宅配や持ち帰りを中心に料理を提供する業態です。

既存の厨房を活用したり、1つの厨房から複数ブランドの商品を販売したりできることが特徴です。

2027年4月から対象食料品の消費税率が1パーセントになる一方、店内飲食は10パーセントに据え置かれる予定です。

税率差は9ポイントになります。

外食企業にとっては、消費者がスーパーの総菜やテイクアウトなどへ移る可能性を考えなければなりません。

そこで店内飲食だけに依存せず、宅配や持ち帰りでも売上を確保することが重要になります。

ゴーストレストランは、そのための選択肢の1つです。

食料品消費税1パーセントという制度変更は、家計の税負担だけを変えるものではありません。

スーパー、コンビニ、外食、宅配の境界をさらに曖昧にし、外食企業が店舗や厨房をどのように使うのかまで変えていく可能性があります。

参考

日本経済新聞 2026年9月16日 朝刊 外食持ち帰り・宅配対応加速

日本経済新聞 2026年9月16日 朝刊 食品消費税、2年限り1% 税制大綱決定

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