ゴルフ会員権の相場を見ると、70万円、100万円、300万円といった価格が表示されています。
そのため70万円の会員権なら、70万円を用意すればそのゴルフ場のメンバーになれるように思えるかもしれません。
しかし、実際にはそうとは限りません。
ゴルフ会員権を購入して正式な会員になるまでには、会員権そのものの代金以外にも、名義書換料や取引手数料、年会費、場合によっては入会預託金などが必要になります。
特に低価格帯の会員権では、会員権価格よりもその他の費用の方が大きくなることさえあります。
今回の記事で取り上げられたように、近年は入会諸費用などを含めて総額100万円程度から始められるゴルフ会員権にも需要が広がっています。
今回は、ゴルフ会員権を購入するときに重要な総額という考え方を見ていきます。
会員権価格とは何か
まず理解しておきたいのが会員権価格です。
会員権価格とは、基本的には既存の会員からゴルフ会員権を取得するために支払う金額です。
例えばAさんが持っているゴルフ会員権をBさんが70万円で購入するとします。
この70万円が会員権の売買価格です。
中古住宅を購入するときの物件価格に近いと考えると分かりやすいでしょう。
ただし住宅でも物件価格だけで購入できるわけではありません。
登記費用や仲介手数料、税金などが必要です。
ゴルフ会員権も同じです。
市場に表示されている会員権価格は、会員になるために必要な総額の一部分にすぎません。
名義書換料が必要になる
会員権価格以外の費用として特に大きいのが名義書換料です。
既存会員から会員権を購入すると、ゴルフクラブ側で旧会員から新会員へ名義を変更する必要があります。
その際に新しく会員になる人がゴルフ場側へ支払うのが名義書換料です。
例えば、
会員権価格70万円
名義書換料55万円
だったとします。
この時点で必要な金額は125万円になります。
会員権価格だけを見れば70万円ですが、実際にはその約1.8倍の資金が必要です。
さらに他の費用も加わります。
会員権価格と名義書換料は支払先が違う
会員権価格と名義書換料は、同じ入会時に支払うお金でも性格が異なります。
会員権価格は基本的に会員権を手放す売主へ支払います。
一方、名義書換料はゴルフ場側へ支払います。
例えば、
会員権価格100万円
名義書換料100万円
なら、合計200万円です。
しかし100万円の会員権を200万円で買ったわけではありません。
100万円で会員権を取得し、それとは別に会員として登録してもらうために100万円をゴルフ場へ支払っているのです。
この違いは、将来売却するときに重要になります。
名義書換料は売却しても回収できない
例えば100万円の会員権を購入し、名義書換料として100万円を支払ったとします。
合計200万円です。
数年後、会員権価格が購入時と同じ100万円だったため、100万円で売却できました。
一見すると、
100万円で買って100万円で売ったので損失なし
と思うかもしれません。
しかし実際には違います。
購入時に支払った100万円の名義書換料は基本的に戻ってきません。
したがって、その他の費用を無視しても、
購入時の負担200万円
売却時の回収100万円
となります。
会員権価格が変わっていなくても、名義書換料分の負担が残ります。
ゴルフ会員権を投資として考える場合にも、この取得コストを無視することはできません。
取引手数料も必要になる
ゴルフ会員権の売買では、会員権取引業者などが売主と買主を仲介することがあります。
その場合、取引手数料が必要になります。
会員権業者は、
売りたい人を探す
買いたい人を探す
相場情報を提供する
必要書類を確認する
名義書換手続きを支援する
といった役割を担います。
そのサービスの対価として手数料を支払います。
手数料の計算方法は業者などによって異なります。
そのため会員権を購入するときには、会員権価格だけでなく取引手数料がいくらになるのかも事前に確認する必要があります。
年会費も忘れてはいけない
ゴルフクラブの会員になると、毎年年会費を支払うことがあります。
例えば年会費が6万円なら、10年間保有すると単純計算で60万円です。
もちろん途中で年会費が変更される可能性もあります。
会員権を購入するときには初期費用に目が向きがちですが、長期間保有するのであれば年会費も大きな負担になります。
例えば、
入会時の総額150万円
年間の年会費6万円
だったとします。
10年間保有すれば、単純計算では年会費だけで60万円です。
入会時の費用と合わせると210万円になります。
さらに実際にプレーするときにはプレー料金も必要です。
会員権を持つということは、購入時だけでなく保有期間中にも費用が発生するということです。
入会預託金が必要な場合もある
ゴルフ場によっては、名義書換料とは別に入会預託金を求めることがあります。
例えば、
会員権価格200万円
名義書換料100万円
入会預託金100万円
だったとします。
この場合、入会時に少なくとも400万円程度の資金が必要になります。
ただし入会預託金は、名義書換料とは性格が異なります。
名義書換料は基本的に返還されません。
一方、入会預託金は退会時など一定の条件を満たした場合に返還される仕組みになっていることがあります。
したがって総額を計算するときには、
返ってこない費用
将来返ってくる可能性のあるお金
を分けて考えることも重要です。
70万円の会員権を例に考える
具体的な例で考えてみます。
あるゴルフ場の費用が、
会員権価格70万円
名義書換料22万円
取引手数料5万円
年会費3万円
だったとします。
単純化すると、初年度に必要となる金額は100万円です。
市場では70万円の会員権として表示されていても、実際に会員としてスタートするまでには100万円程度必要になります。
このように考えると、今回の記事で紹介された総額100万円程度から始められるという意味が分かりやすくなります。
重要なのは、70万円という本体価格だけではなく、最初に自分の財布から出ていく金額を合計することです。
低価格帯ほど諸費用の割合が大きくなる
会員権価格が低いほど、名義書換料などの負担が相対的に大きくなることがあります。
例えば会員権価格1000万円に対して諸費用100万円なら、諸費用は会員権価格の10%です。
一方、
会員権価格50万円
諸費用100万円
なら、諸費用は会員権価格の2倍です。
この場合、50万円という表示だけを見て安いと思って購入すると、実際には150万円必要だったということになります。
低価格帯の会員権ほど、本体価格だけで判断しないことが重要です。
今回、70万円前後の低価格帯にも需要が広がっていますが、購入を検討する場合には総額を見る必要があります。
総額100万円なら高いのか安いのか
総額100万円と聞いて、高いと感じる人もいれば安いと感じる人もいるでしょう。
ここで重要になるのが利用回数です。
例えば会員になることでビジターより1回5000円安くプレーできるとします。
年間20回利用すれば、単純計算で年間10万円の差になります。
10年間なら100万円です。
もちろん実際には年会費などがありますから、これだけで元が取れるという話ではありません。
また、会員には予約の取りやすさやクラブ競技への参加など、金額だけでは測りにくいメリットもあります。
逆に年に2回しか利用しない人なら、高額な初期費用を払って会員になる経済的なメリットは小さくなるでしょう。
ゴルフ会員権は購入価格だけでなく、どれだけ利用するかによって価値が大きく変わります。
売却できることも総コストに影響する
ゴルフ会員権には、将来売却できる可能性があります。
例えば総額150万円で入会したとして、そのうち会員権価格が70万円だったとします。
10年後、その会員権を80万円で売却できれば、80万円を回収できます。
一方、会員権価格が20万円まで下がっていれば、回収できる金額は小さくなります。
したがって本当の保有コストを考えるなら、
購入時にいくら払ったか
保有中にいくら払ったか
売却時にいくら回収できたか
まで見る必要があります。
これは自動車を購入するときに、購入価格だけでなく維持費や売却価格まで考えるのと似ています。
ゴルフ会員権は総額表示で考える
ゴルフ会員権市場を見るときには、会員権価格だけが大きく表示されることがあります。
しかし購入者にとって重要なのは、その価格だけではありません。
会員権価格
名義書換料
取引手数料
年会費
入会預託金
などを確認する必要があります。
さらに長期間保有するなら、将来の年会費まで考える必要があります。
会員権価格が安いから安いゴルフクラブとは限りません。
逆に会員権価格が多少高くても、名義書換料や年会費が比較的低ければ、長期間の総負担では差が縮まる可能性があります。
結論
ゴルフ会員権の価格を見るときに最も注意したいのは、市場で表示されている会員権価格と、実際にメンバーになるための総額は違うということです。
例えば70万円の会員権でも、名義書換料、取引手数料、年会費などを加えると総額100万円を超えることがあります。
さらにゴルフ場によっては入会預託金が必要です。
特に低価格帯の会員権では、本体価格より諸費用の方が大きくなる場合もあります。
そのため会員権を比較するときには、70万円か100万円かという市場価格だけを見るのではなく、実際に会員になるまでいくら必要なのかを比較することが重要です。
さらに長期間保有するのであれば、毎年の年会費や将来の売却価格まで考える必要があります。
ゴルフ会員権の本当の価格は、相場表に表示されている数字だけでは分かりません。
購入時の費用、保有中の費用、そして売却時に回収できる金額まで含めて考えることで、初めてその会員権の経済的な価値が見えてきます。
参考
日本経済新聞 2026年8月27日 朝刊 ゴルフ会員権値上がり 5カ月連続 低価格帯も人気