イェール大学基金はなぜ高い運用成績を続けられるのか エンダウメント運用編

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世界には長期間にわたり優れた運用成果を上げ続けている投資機関があります。

その代表例が、アメリカのイェール大学基金です。

イェール大学は世界有数の名門大学として知られていますが、その教育や研究を支える大きな柱が「エンダウメント(大学基金)」です。

そして、その基金運用を世界的な成功へ導いた人物が、デビッド・スウェンセンです。

スウェンセン氏が確立した運用手法は「イェール・モデル」と呼ばれ、世界中の大学基金や年金基金、政府系ファンドにも大きな影響を与えました。

今回は、その運用哲学から、人生100年時代の資産形成に生かせる考え方を学んでいきましょう。

エンダウメントとは何か

エンダウメントとは、大学や公益法人などが長期的な活動を支えるために保有・運用する基金のことです。

卒業生や企業などから寄付を受け、その資金を運用し、得られた収益を教育や研究に活用します。

重要なのは、元本を使い切ることではありません。

資産を守りながら運用し、その果実を毎年活用することで、大学を永続的に支えていく仕組みです。

つまり、現在の学生だけでなく、何十年、何百年先の学生にも利益をもたらすことを目的としています。

デビッド・スウェンセンが変えた資産運用

1985年、イェール大学基金の運用責任者に就任したスウェンセン氏は、当時の常識にとらわれない資産運用を始めました。

当時、多くの機関投資家は、

  • 株式
  • 債券

を中心に運用していました。

しかしスウェンセン氏は、それだけでは十分な成果は期待できないと考えました。

世界経済の変化に対応するためには、より幅広い資産へ投資する必要があると判断したのです。

イェール・モデルとは

イェール・モデル最大の特徴は、資産を幅広く分散することです。

具体的には、

  • 世界の株式
  • 債券
  • 不動産
  • プライベートエクイティ
  • ベンチャーキャピタル
  • 天然資源
  • ヘッジファンド

など、多様な資産へ投資します。

これらは「オルタナティブ資産」と呼ばれることもあります。

従来の株式・債券だけでは得られない収益機会を取り込みながら、リスクも分散する考え方です。

なぜ未公開企業へ投資するのか

イェール大学基金は、上場企業だけでなく、未公開企業への投資も積極的に行っています。

理由は、企業価値の成長が上場前に大きく生まれることが多いためです。

もちろん、未公開企業への投資はリスクも高く、資金が長期間拘束されることもあります。

しかし、大学基金には短期間で資金を引き出す必要がありません。

長期で待てるからこそ、一般の投資家が参加しにくい投資機会にも挑戦できるのです。

長期だから市場の変動に動じない

イェール大学基金の大きな強みは、運用期間に終わりがないことです。

毎年の成績だけで評価されるのではなく、何十年という時間軸で成果を考えます。

そのため、市場が急落しても慌てて売却することはありません。

短期的な価格変動は避けられませんが、長期では世界経済が成長するという前提に立って運用しています。

時間を最大の味方にすることが、イェール・モデルの根幹にあります。

分散とは「数を増やすこと」ではない

分散投資というと、多くの銘柄を買うことだと考えがちです。

しかしスウェンセン氏が重視したのは、「異なる値動きをする資産」を組み合わせることでした。

例えば、

  • 株式市場が低迷しても、不動産が堅調な場合があります。
  • 景気後退時には、債券が値上がりすることもあります。

異なる性質を持つ資産を組み合わせることで、資産全体の安定性を高めることができます。

これが本来の分散投資です。

優れた運用者を選ぶことも重要

イェール大学基金は、自らすべての投資を行うわけではありません。

世界中から優秀な運用会社や専門家を選び、その能力を活用しています。

つまり、「何に投資するか」だけではなく、「誰に運用を任せるか」も重要な投資判断なのです。

専門家を適切に選び、長期間信頼関係を築くことも、高い運用成果につながっています。

個人投資家が学べること

イェール大学基金と同じ投資を、そのまま個人が実践することは現実的ではありません。

しかし、考え方は十分に参考になります。

例えば、

  • 長期投資を基本とする
  • 世界へ分散投資する
  • 一つの資産に集中しない
  • 短期の値動きに振り回されない
  • 定期的に資産配分を見直す

といった姿勢は、多くの人が取り入れられます。

NISAを活用した全世界株式への積立投資も、「世界経済の成長を長期で取り込む」という点では、イェール・モデルと共通する考え方があります。

人生100年時代に必要な運用哲学

人生100年時代では、資産を築く期間も、取り崩す期間も長くなります。

そのため、「今年いくら儲かったか」よりも、「20年後も資産が成長しているか」が重要になります。

イェール大学基金は、数世代先まで大学を支えることを目的として運用されています。

この超長期の発想は、老後資金や子ども・孫への資産承継を考える私たちにとっても、多くの示唆を与えてくれます。

結論

イェール大学基金が長年にわたり高い運用成果を維持してきた背景には、「長期」「分散」「専門性」という明確な投資哲学があります。

未来を正確に予測することではなく、不確実な未来に備えた資産配分を続けることこそが、長期運用の本質です。

人生100年時代の資産形成では、目先の値動きに左右されるのではなく、時間を味方につけながら世界へ分散投資を行い、自分自身の運用ルールを守り続けることが重要です。

イェール大学基金の運用哲学は、資産規模に関係なく、私たち一人ひとりが学ぶ価値のある長期投資の教科書といえるでしょう。

参考

・デビッド・スウェンセン著『Pioneering Portfolio Management』

・イェール大学 投資運用年次報告書

・各種エンダウメント運用に関する公開資料

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