NPO法人は利益を追求する組織ではありません。
社会課題の解決や地域貢献を目的として活動しています。
そのため、
「良い活動をしていれば問題ない」
と考えられることがあります。
しかし現実には、活動内容だけでは十分ではありません。
どれほど素晴らしい活動を行っていても、組織運営が適切でなければ社会からの信頼を失う可能性があります。
そこで重要になるのがガバナンスです。
今回は、NPO法人におけるガバナンスの重要性について考えてみたいと思います。
ガバナンスとは何か
ガバナンスとは組織を適切に運営し、管理する仕組みのことです。
企業であれば、
取締役会
監査役
内部統制
コンプライアンス
などが代表例です。
NPO法人も同様に、
理事
監事
社員総会
情報公開
などの仕組みによって運営されています。
つまりガバナンスとは、組織が暴走しないためのブレーキであり、健全な運営を支える仕組みなのです。
NPO法人は社会から資金を預かっている
企業は商品やサービスの対価として収入を得ます。
一方でNPO法人は、
寄付金
会費
助成金
補助金
などを受け取って活動しています。
これらは社会から託された資金です。
そのため、
適切に使われているか
目的どおり使われているか
不正はないか
を説明する責任があります。
ガバナンスはその責任を果たすための仕組みでもあります。
不祥事は信頼を一瞬で失わせる
NPO法人の不祥事は決して珍しくありません。
例えば、
寄付金の私的流用
経費の不正支出
役員への利益供与
不適切な会計処理
などです。
一度問題が発覚すると、
寄付が集まらなくなる
助成金が打ち切られる
会員が離れる
という事態になりかねません。
信頼を失うスピードは、信頼を築くスピードよりはるかに速いのです。
理事会の役割は大きい
NPO法人のガバナンスの中心は理事会です。
理事会は、
事業計画
予算
重要な契約
人事
などを決定します。
理事長一人に権限が集中すると、組織運営が不透明になる可能性があります。
複数の理事による議論と監督が重要になります。
監事は組織の番人
監事の役割も重要です。
監事は、
会計監査
業務監査
を行います。
理事の業務執行が適正かどうかを確認する立場です。
企業の監査役に近い役割を担っています。
監事が機能している団体ほど、ガバナンスが強い傾向があります。
情報公開が信頼を生む
NPO法人は情報公開が求められます。
活動計算書
貸借対照表
事業報告書
役員名簿
などを公開する制度があります。
透明性が高い団体ほど信頼を得やすくなります。
逆に情報開示が不十分な団体は、不信感を持たれる可能性があります。
情報公開は最大のガバナンスともいえるでしょう。
会計の透明性が土台になる
ガバナンスの基礎になるのが会計です。
正確な帳簿
適切な領収書管理
定期的な財務報告
事業別損益管理
などが必要です。
会計が曖昧な組織では適切なガバナンスは実現できません。
その意味で会計はガバナンスのインフラといえます。
税理士が果たす役割
税理士は申告書を作るだけの存在ではありません。
NPO法人においては、
会計体制の整備
内部統制の構築
財務分析
情報公開支援
などを通じてガバナンス強化に貢献できます。
特に小規模なNPO法人では、外部専門家の役割が非常に重要になります。
人生100年時代とガバナンス
今後はシニア世代が地域活動や社会貢献活動に参加する機会が増えるでしょう。
その受け皿としてNPO法人の役割はますます大きくなります。
しかし活動が拡大するほど、
資金管理
人材管理
組織運営
の重要性も高まります。
社会から信頼される組織になるためには、活動内容だけでなくガバナンスの充実が欠かせません。
結論
NPO法人にガバナンスが求められるのは、社会から託された資金を適切に管理し、信頼に応えるためです。
理事会、監事、情報公開、会計管理などの仕組みは、単なる形式ではなく組織を守るための重要な土台です。
どれほど素晴らしい活動を行っていても、信頼を失えば継続することはできません。
NPO法人にとってガバナンスとは、活動を制約するものではなく、社会的使命を長く果たし続けるための支えなのです。
次回は、「税理士はNPO法人にどのような価値を提供できるのか 専門家支援編」について解説したいと思います。
参考
東京税理士会目黒支部
「NPO法人の会計について」 税理士 脇坂誠也
補助資料「NPO法人の会計について」