日本では長く低金利環境が続いてきましたが、近年は金利上昇の話題が増え、国債価格の変動にも関心が集まっています。
国債は「安全資産」と呼ばれることが多い金融商品ですが、市場で売買される以上、価格は常に変動します。その最大の要因が金利の変化です。
特に重要なのが、満期までの期間が長い国債ほど金利の変化による影響が大きくなるという点です。金融の世界では、この関係を理解するために「デュレーション」という概念が用いられます。
本稿では、国債価格が金利の変化によってどのように動くのか、そしてなぜ長期国債ほど価格変動が大きくなるのかについて整理します。
金利が上がると国債価格は下がる
国債の価格は、市場金利と密接に関係しています。
基本的な原理はシンプルで、金利が上昇すると既存の国債価格は下落します。
理由は、新しく発行される国債の方が高い利息を受け取れるためです。
例えば、金利1%の1年国債を100円で購入したとします。この国債は1年間で1円の利息を生み、満期時には元本100円が返ってきます。
もし購入直後に市場金利が2%に上昇すると、新しく発行される1年国債は2円の利息を生みます。投資家にとっては、同じ100円を投資するなら利息が2円の国債の方が魅力的です。
そのため、利息が1円しか得られない既存の国債は、そのままでは売れません。
市場では価格が調整され、例えば99円まで値下がりすれば、1円の利息と満期時の償還額を合わせて、新しい2%の国債と同程度の利回りになります。
このように、金利の変化に応じて国債価格が変動することを金利リスクといいます。
長期国債ほど価格変動が大きくなる
同じ金利変動でも、満期までの期間が長い国債ほど価格変動は大きくなります。
例えば、金利1%の10年国債を100円で購入したとします。この国債は10年間で合計10円の利息を生みます。
ここで市場金利が2%に上昇すると、新しく発行される10年国債は10年間で20円の利息を生みます。
利息の差は10円にもなるため、既存の1%国債は大きく値下がりしなければ市場で競争力を持ちません。
例えば価格が90円まで下がれば、
- 利息:10年間で10円
- 満期償還:100円
となり、投資家が得るキャッシュは合計20円となります。
これは2%の10年国債と同じ水準となり、市場で取引が成立する可能性があります。
このように、満期までの期間が長いほど、金利変動による価格調整の幅も大きくなるのです。
デュレーションという考え方
金融市場では、金利変動に対する価格の感応度を「デュレーション」で測ります。
一般的に、国債の価格変動は次のように理解されます。
金利が1%変動すると、国債価格はおおよそデュレーションと同じ割合で変化する
例えばデュレーションが10年程度の国債であれば、
金利が1%上昇すると価格はおよそ10%下落
という関係になります。
このため、長期国債ほど金利変動の影響を強く受けることになります。
40年国債が大きく動く理由
近年、日本では超長期国債の価格変動が話題になることがあります。特に40年国債は、金利変化によって価格が大きく動きやすいことで知られています。
理由は単純で、利息が40年間固定されるためです。
もし金利環境が変化すれば、その影響が40年間のキャッシュフローに及びます。そのため、価格は大きく調整されることになります。
実際、金利上昇局面では超長期国債の価格が大きく下落することがあります。
これは市場が異常というよりも、金利リスクが長期にわたって積み重なった結果といえます。
結論
国債は安全資産と呼ばれることが多いものの、市場で取引される金融商品である以上、価格変動は避けられません。その中心にあるのが金利リスクです。
特に重要なのは、満期までの年限が長いほど金利変動の影響が大きくなるという点です。
金融市場ではこの関係をデュレーションという概念で捉え、投資判断やリスク管理に活用しています。
金利環境が変化する局面では、国債の年限によって価格の動き方が大きく異なることを理解しておくことが重要です。長期国債の価格変動が大きくなるのは例外ではなく、金融の基本的な仕組みによるものなのです。
参考
日本経済新聞 やさしい経済学
服部孝洋「初歩から学ぶ日本国債(5) 年限に比例する国債の金利リスク」
2026年3月5日 朝刊

